仕事でしょっちゅう書店には顔を出しているのですが、なにしろ仕事なもので、思うように買い物はできないし、一店あたりの滞在時間もかぎられているしで、なんだか最近ちゃんと買い物した気がしなくて、欲求不満気味の空犬です。
だいたい、開始前から何度も紹介、大いに応援しているつもりでいた紀伊國屋書店新宿本店の「ワールド文学カップ」でさえ、初日にのぞいただけで、その後ちゃんと訪問できてなかったぐらいだからなあ。
昨日、書店回りの合間にようやく時間とれたので、のぞいてきましたよ、「ワールド文学カップ」。Yさんに会えたので、立ち会ってもらってフェアの様子を撮影してきましたので、紹介します。
↑2階、フロア中央あたりにある催し物スペースで開催中。フェア台の上はこのように、運動会チックなにぎやかさ。壁にはボルヘス先生の巨大書影が複数目につきます。この特別扱いは、ディフェンディングチャンピオンだから、ってことでしょうか(前回、対決フェアのとき、たしか売上一位文庫だった)。
↑通路側から見るとこんな感じ。「日本文学代表選抜会」、裏は海外文学定番中心の「往年の名選手たち」でどちらも文庫中心。壁側に各国代表が並んでいるんですが、そちらは単行本もあり。超の付く在庫僅少本も並んでいたりして、なかなかにぎやか。
↑ピクウィック主催のフェアといったら、もちろん、この全点ポップが基本です。並んでいるのがすでに読んでいる本、知っている本でも、このコメントを拾い読みしていくだけでけっこう楽しめます。全コメント収録の強力な冊子(無料配布)もありますが、やっぱり店頭で本と一緒に見るのがいいよね。
以上です。えーっ、写真、これだけ? って言われそうですが、すみません、だってお客さんが何人もいて、じっくり本を見ていたりしたもので、さすがに奥の様子はお客さんを入れずには撮影できなかったんですよ……。というわけで、これではものたりない人は、ぜひぜひ、店頭の様子を実際に見に行ってください。
ちなみに、今回の購入本ですが、彼らのフェアはいつも困るんだよねえ。こちらのカバーエリアとかぶり過ぎてて、これぞという未読本をなかなか抜けなくて。
時間がなかったので、単行本は1冊も選べず。文庫も、2点既読と、いまひとつときめきのないセレクトになってしまいました。ブッツァーティ は既読、っていうか以前は親本(世界傑作童話シリーズですね)を持ってたんですが、今は手元にないので、そのうちに娘が読むかなと思ってセレクト。
「日本文学代表選抜会」には未読・未所有がほんとに少なくて、この久坂葉子は数少ない未読本ということでピックアップ。「元祖天才文学少女」、はたして40過ぎのおやじにも楽しめるかどうか(苦笑)。
『ジョナサンと宇宙クジラ』については、いつだったか書きましたね。そのときは結局買わなかったんですが、ここにセレクトされているのがちょっと意外な感じがして目にとまり、表紙を眺めていたら、なんだか急にノスタルジックなSFを再読したくなって、衝動的にピックアップ。
ああ、次はもっとゆっくり見にこないとなあ。っていうか、仕事抜きで、もっとゆっくり書店巡りをしたいものだなあ。
そうそう、書店と言えば。見出しに「書店」の文字がなかったので、気づかなかった人がいるかもしれませんが、今日のニュースに出ていたこの事件、覚えているでしょうか。「駅ビル無差別殺傷、懲役30年=無期を減刑-東京高裁」(4/14 時事通信)。八王子の啓文堂書店で起きた死傷事件……書店好きには非常にショックの大きい、悲しい事件でしたが、もう2年になるんですね……。当時、このblogに書いた記事はこちらです。
書店者には重要な件だと思うので、全文を引かせてもらいます。《東京都八王子市の京王八王子駅ビルで2008年、アルバイト店員ら女性2人が刃物で殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元会社員菅野昭一被告(35)の控訴審判決が14日、東京高裁であった。植村立郎裁判長は「被告の精神遅滞は強く、酌むべき事情に当たる」として、無期懲役とした一審東京地裁立川支部判決を破棄し、懲役30年を言い渡した。/植村裁判長は一審と同様、被告の完全責任能力を認定。その上で「当初から無差別大量殺人を計画していたとは認められず、被告の精神遅滞を考慮すると、一審判決は重過ぎる」と、減刑理由を述べた。/判決によると、菅野被告は08年7月22日夜、同駅ビル9階の書店で、アルバイト店員斉木愛さん=当時(22)=の胸を洋出刃包丁で刺し殺害、20代の女性客の腹なども刺し重傷を負わせた。》
「被告の精神遅滞は強く、酌むべき事情に当たる」「当初から無差別大量殺人を計画していたとは認められず、被告の精神遅滞を考慮すると、一審判決は重過ぎる」……この減刑の報道、遺族や関係者の方がどのようにお聞きになっているのかを考えると、なんとも言えない、やりきれない気分になります……。
幸いというかなんというか、このところ、大きく報道されるような書店での事件はありませんが、ずっとそのような事件とは無縁の世界であってほしいものです。書店はね、やっぱり楽しい場所であってほしいのですよ。まさに小学校の運動会みたいなにぎやかさで飾られた「ワールド文学カップ」の写真を見ながら、あらためてそんなことを思ったりしたわけです。