先日の仲良し書店員さんたちとの忘年会では、今年のベスト本は何か、なんて話でもりあがったのですが、書店の店頭にもその手の話題の本や雑誌が目につきますね。
そんななかから、この3冊を購入しました。
- ダカーポ特別編集『今年最高の本 BOOK OF THE YEAR 2008』(マガジンハウス)
- 本の雑誌増刊『おすすめ文庫王国2008年度版』(本の雑誌社)
- 『本の雑誌』2009年1月号(本の雑誌社)
「今年最高の本」、タイトルと表紙を見て、あれれと思ったら、休刊になってしまった『ダカーポ』の定番だった特集がムックで復活です。
ちなみに、この本の「新聞雑誌の書評担当者が選ぶ「本当におもしろかった本」」第1位はこちら。プロが選んでもこうなるのね……。
「おすすめ文庫王国」、坪内祐三氏の「年刊文庫番」によれば、10年目なのだとか。10周年、おめでとうございます。年度版の文庫ガイドとして、すっかり定着しましたね。で、「本の雑誌」が選ぶ文庫ベスト10、第1位はこちら。らしいセレクトです。
その文庫王国の版元の本誌、特集はもちろん「本の雑誌が選ぶ2008年度ベスト10」。第1位はこちら。
これ、ぼくも読みたかったんですよ。宇宙もののノンフィクション。これはうれしいセレクトです。
ところで。
今月号、読む前に、「吉っ読」の花本氏から話を聞いて、気になっていたことがあったので、椎名誠氏の「今月のお話」から読み始めました。すると、
《二〇〇八年になって『本の雑誌』の経営が急激に悪化し、このままでは「休刊」に追い込まれるかもしれない、と現経営者に聞き、これはいかん、と思い》
などとあるではありませんか! 最後の編集後記にも同様の記述があり、
《継続的な刊行に力を貸してもらえるとうれしいです》
といった、書き方はソフトながら、切迫した感じが伝わってくる一文も見えます。
版元の倒産と雑誌の休刊の話ばかり見聞きしてきた感じさえするこの一年、12月も半ばを過ぎて、こんなショッキングな知らせに接することになるとは……。もちろん、まだ休刊になったわけではないけれど、雑誌作りに携わっている人たちが、誌面を使ってこんなふうに訴えているぐらいだから、きわめてきびしい状況であるのはまちがいないでしょう。
雑誌の休刊は、それがたとえ自分の愛読誌でなくてもさびしい気分にさせられる事件ですから、愛読誌やお気に入り雑誌であれば、そのショックたるやもう……。今回は、よりによって、本好き・書店好きにとってのオアシス的存在、出版界の良心といっていい雑誌の1つ、『本の雑誌』の話です。なんといっても、“本”の“雑誌”ですよ。こんな名前を名乗れる雑誌はほかにはありえないじゃないですか。そんな雑誌が生き残れない本の世界なんて、そんな雑誌を支えていけない本の世界なんて、そんなのおかしいじゃないですか……。
とにかく、ぼくら本好きにできることは、まず、本を買うこと。そして、そのおもしろさを周りに伝えることで、一人でも読者を増やすこと。『本の雑誌』本誌を買って読むのはもちろん、そこで取り上げられていた本も買って読んで、こんなおもしろい本が取り上げられていた、とか、こんなすごい本がベスト1になってた、とか、いろんな話を周りの人たちとして、この雑誌のすごさと、この雑誌が本の世界に必要であることを、伝えていきましょうよ。
ほかにできることってなんだろう。弘栄堂書店のときも、何か自分にできることはないのか、お店で買い物する以外に何かないのか、そんなことばっかりずっと考えていました。自分の会社の出版物でもなく、自分が仕事で関わっているわけでもない雑誌の《継続的な刊行に力を貸》すには、ほかに何をすればいいんだろう。これは、ぼくら本好きにとって、とりわけ、ぼくのような出版関係者にとっては、よその会社、よその雑誌の問題ではないのです。だから、きっと何かできること、しなきゃいけないことがあるはずで、しばらくは、そんなことをつらつら考えてみようと思うのです。