麻生久美子の表紙が涼しげな今月の秘宝。
- 『映画秘宝』2007年9月号(洋泉社)
中川翔子の連載については以前にもふれたことがありますが、いやはや、この人すごいなあ。今回は戦隊もの(ゴレンジャーに始まる、○○ジャーのあれです)への愛を語りまくっているのですが、なんだかものすごいことになってます。そもそも、芸能界入りのきっかけが戦隊ものへの憧れだったんだそうで、当然、その思い入れは相当なもの。歴代のピンク(戦隊の紅一点)のふりをすべて覚えてオーディションに臨んだところ、本物のオタクが来たとドン引きされて、4回も連続で落ちた話などが語られています。いやあ、いい話だなあ(笑)。
さて、今はこんな本を読んでいます。
- 小野俊太郎『モスラの精神史』(講談社現代新書)
帯には、こんな文字が躍ります。《なぜ蛾の姿なのか?/あの歌の意味はなにか?/ゴジラとどこが違うのか?/多くの謎が、いま解き明かされる!》
引用しながら思わず笑ってしまいました。いい年して怪獣大好きなぼくのようなのはいいとして、新書の一般的な読者層にとって、これってぜひ解き明かしてほしい謎なんでしょうか(苦笑)。なんだかこの新書の刷り部数が気になってしまいます。だって、別にモスラの新作が来るという話も聞かないし、テレビでも最近放映されてないし、だいたい原作の単行本も品切れ・絶版だし……なんか本のテーマに“現在(いま)”な感じが欠けてるような気がするもので。
でも、もちろん、怪獣者のぼくにはそんなことはまったく関係ありません。即買いです。で、原作単行本は残念ながら持っていないのですが、『幻想文学』39、特集「大怪獣文学館」に収録されていますから、それで原作を再読、準備を整えてから早速読み始めました。
怪獣論ってむずかしいんですよね。怪獣をあんまり理屈っぽく語られても興ざめですし、なにより、ナントカ論のたぐいには、怪獣はあくまで素材で、怪獣への愛が決定的に欠けているものが少なくないのです。その点、この本は容れ物が新書だというのがプラスにはたらいたのか、怪獣怪獣していないところが読みやすく、文化論としてなかなかにおもしろく読めるものになっています。それでいて怪獣好きを置き去りにすることはなく、原作との違いや映画の分析など、怪獣好きにも十分に読ませる中身になっているようです。怪獣者はもちろんですが、むしろ「モスラ? ただの蛾じゃん」というような人にこそ、ぜひ本書を手にとってほしいです。読了後はモスラを応援したくなること請け合いです。
応援、で思い出しました。そういえば、『三大怪獣 地球最大の決戦』で、最初にキングギドラにつっかかっていったのってモスラだったよなあ、いちばん弱そうなのになあ、などと、我ながらまったくどうでもいいことを思い出したりしています。乏しい記憶力を無駄遣いしている気がひしひしとするこの頃です。