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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

夏には夏休みっぽい本を読みたくなる

8月になりましたね。


街中や電車内には、夏休み満喫中の子どもたちの姿が目立ちます。連日の猛暑日で、原則運動禁止などというアラートが毎日のようにスマホに表示される事態が続いていますが、この気候をものともせずに、真夏の休みを目一杯楽しんでいるちびっ子たちを見ていると、こちらもなんだか(ほんの少しは)元気になりそうな、そんな気がしますね……というのは、もちろん、気のせいなので、ちびっ子たちみたいにふるまって倒れたりしないよう、年齢相応の夏の過ごし方を心掛けています。



夏休み。いい響きだなあ。大人にも、長い夏休みがあったらいいのになあ。割に真剣に思います。


そんなことばかり考えているお子様脳の持ち主だからなのかなんなのか、8月になると、別に自分は夏休みでもなんでもないのに、夏休みっぽい本が読みたくなります。


どのような本を「夏休みっぽい」と思うかについては、個人差が大きいと思いますが、ぼくの場合は、たとえば、ドリトル先生シリーズとか、アーサー・ランサムの諸作とか、子どものころに読んだ諸作、とくに冒険要素の含有度が高いものたちが頭に浮かびます。当時、それらをすべて夏休みに読んだわけではないですが、でも、なんとなく、夏休みっぽく感じるのです。


夏休み読書

↑自宅で夏休みっぽい読書を実践中の様子。児童書とビールを組み合わせると、なんとなく、いけない感じがします。


先日、仕事の用事で大阪に行ってきたんですが、旅先で深夜独り、本を読んでいたら、そこでも夏休みっぽい本を読みたくなってしまったのでした。リゾートホテルか何かなら、ロビーの一画に本棚があって、そこに、宿の人がそろえたり、家族連れの利用者が残していったりした蔵書があり、そういうところにはたいてい「夏休みっぽい本」が並んでいたりするのですが、ビジネスホテルには、もちろんそんなものはありません。


電子書籍を買う手はもちろんあります。ただ、この場合は電子書籍ではないんですよね。ぼくは電子書籍を否定する者ではありませんが、やはり、「夏休み読書」に電子はないなあ、と、そんな気がするのです。


その晩はがまんして、翌日、駅ナカの本屋さんで、宮澤賢治『銀河鉄道の夜』(新潮文庫)を買い求め、帰りの新幹線で、独り、夏休み読書を満喫したのでした。


書影 銀河鉄道の夜

↑『銀河鉄道の夜』、新潮文庫のプレミアムカバーは、濃紺に銀の箔押しと、作品内容にぴったりの賢治っぽい色の組み合わせで、なんとなくうれしい。もちろん、『銀河鉄道の夜』は既読で、複数の版を所有していたりするのですが、いいのです。賢治の文庫は何冊重なっても別にかまわないのです。


それにしても。夏休み読書をしていると、脳内の時間感覚や感性の一部も、子どものころの夏休み気分に引き戻されてしまったりするんでしょうか。『銀河鉄道の夜』は何度読んでも、そして、こんな年になっても、
「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」
のところでは、のどなのか鼻なのか、なんだかよくわからない奥のあたりがつーんとなってしまうのですが、やはり今回も、そんなふうになってしまったのでした。



ふだんは、どうしても買った新刊を読むのに追われる日々になりがちです。せめて「夏休み」(実際にはそうじゃないけど)くらいは、そういう「追われる」読書とは、ちょっと違った読書ができてもいいのではないかなあと、そんなふうに思うのです。だから、8月は、「夏休み」(実際にはそうじゃないけど)気分全開で、ふだんならなかなか手にしないような本を、じゃんじゃん読んで、楽しい「夏休み」(実際にはそうじゃないけど)を過ごそうと、そんなふうに思うのです。


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