岐阜の古本屋さん、徒然舎。ツイッターで、佐藤ジュンコさんの手になるイラストのアイコン(こちらです)を毎日のように目にはしていましたし、ずっと気になってはいたのですが、岐阜にはなかなか行く機会がなかったため、訪問は初めてです。
仕事の用事を終えて建物の外に出てみると、外は雪がちらついていました。お店は、用事のあった場所から駅へ戻る途中にあるのですが、駅までずっと歩くと30分ほどかかってしまいます。雪のなかを歩くことを考えると、決心が揺らぎかけたのですが、次にいつ機会をつくれるかわからないということで、雪と風のなかを歩いていて行ってきました。うれしいことに、徒然舎は、寒さに震えながらわざわざ歩いて訪ねたかいが充分すぎるほどにあった、とてもすてきなお店でした。
↑お店の外観。長良橋通りを少し入ったところにありました。地図によれば、美殿町通りという通り沿いになるようです。
外観からしてしゃれた感じですが、店内もこの外観のイメージ通りです。よく選び抜かれた本がジャンルごとにきれいに整理され、丁寧に並べられていました。ごちゃごちゃと本が積み上げられ、どこに何があるのか宝探しのような気分にさせてくれるカオスなタイプの古本屋も好きですが、こういう丁寧に本が並べられた古本屋さんもいいものです。
こぎれいな店内ではありますが、気取った感じ、敷居の高い感じはありません。コミックはごくわずかで、アダルトはありませんし、ビジネスや自己啓発系、生活実用系などもないようですが、それ以外はバランスよく各ジャンルがカバーされているようで、当方の得意な特撮だのSFだのも少ないながらもちゃんとありましたよ。おそらく意識して力を入れているのだろうと思われるジャンルの一つが児童書で、状態のいい絵本が多めにそろっているのも目を引きました。
棚の並べ方にも余裕を持たせてあって、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていないため、点数的にはそれほど多いわけではないようでしたが、それぞれのジャンルに、おお、この本が!というようなものが必ず見つかるという感じでした。
店名に「古書と古本」とある通り、古本がメインですが、直取でしょうか、一部、新刊の取扱もあるようで、夏葉社の『冬の本』などが並んでいましたよ。
数は少なめですが雑貨の扱いもあり、さらに入り口の近くには岐阜のブックカフェで作られているというお菓子も売られていました。古書店ですが、什器も店内の雰囲気もきれいなので、食品がおいてあっても違和感はまったくありませんでした。
↑読書喫茶「本と道草」でつくっているお菓子なんだそうです。鳥型のクッキーを買ってきました。野鳥好きとしては、こんなのが売られていたら買わないわけにはいきませんよね。
お店のタイプとしては、中央線沿線の古書店でいうと、たとえば水中書店などに近いものを感じるといえば、古本好きにはお店の雰囲気が伝わるでしょうか。
↑しおりを兼ねた(と思われる)ショップカード。裏面には地図も。
もっと時間をかけてじっくり棚を見たいところでしたが、帰りの電車の時間のこともあり、短時間しかいられなかったのが残念。また岐阜を訪問する機会があれば、ぜひ再訪したいなと思いました。
↑この本を買ってきました。1995年に世田谷文学館で開催された展覧会の目録。これ、探してたんだよなあ。東京・世田谷で開催された文学展の目録に、岐阜の古書店で出会うことになるとは。ちょっとうれしい出会いでした。
出張や旅行で出かけるときは、必ず行き先周辺にどんな本屋さんがあるかを調べていきます。今回もGoogleやYahoo!のマップで書店を検索してからいきました。Yahoo!で見ると、長良橋通り沿いだけで、5軒も本屋さんがあるではありませんか。雪のちらつくなか、JR岐阜駅までは徒歩だと20分以上かかり、しかも帰りの電車までいくらも時間がない、と、本屋散策にはきわめて不向きな条件がそろっていたんですが、がんばって歩いてみました。
これで、徒然舎以外にもすてきな本屋さんがあるのが確認できた、などとここで報告できたら、寒中散歩のかいもあったというものなんですが、なんと、マップに載っていた通り沿いの本屋さんはほぼ全滅(泣)。
長良橋通り沿いの本屋さんを駅から遠いほうから見ていきます。
↑栄文堂書店。後で調べたら閉店してしまっていたようでした。
↑信省堂書店。こちらは昨年の閉店だったようで、まだ閉店のお知らせの貼り紙が店頭に残っていました。
↑自由書房/ふるほん書店。自由書房は岐阜タカシマヤの中にも入っている新刊書店のようですが、こちらの店は自由書房の古本の支店だったということなんでしょうか。こちらも昨年冬の閉店ということなのか、「ふるほん営業は12/10で終了」という貼り紙が出ていました。
↑昭文館書店。通り沿いで唯一営業中だったお店ですが、ごらんの通り、店頭には雑貨類が、雑誌よりも目立つほどの存在感でずらりと並んでいます。新刊書店のようですが店内の棚には空きが目立ち、いつから置かれているのかというような焼けてしまった本も多く、棚や品揃えを云々するような感じではない雰囲気でした。
Yahoo!の地図では、昭文館書店のすぐ近くに我楽多書房が載っています。1964創業だという老舗の古書店だったようですが、調べると2014年に閉店になってしまったようです。うーん残念。
↑我楽多書房を探して近くをうろうろしていたら、自由書房の看板が。店舗跡には見えないので、事務所か何かなんでしょうか。
↑南陽堂書店。「年中無休」と看板に出ている店のシャッターが降りている、ということは閉店になってしまったってことですよね……。
わずか30分ほどの間に、これだけの閉店書店跡地や貼り紙を続けて目にすることになった本屋好きのがっかり感がいかほどであったか……。途中、徒然舎というすてきな本屋さんにめぐり会えたからよかったものの、それがなかったら、ショックで、雪のなか、途中で行き倒れていたかもしれません……。
JR岐阜駅の駅ビルには三省堂書店が入っています。
↑三省堂書店。時間切れで、レジ周辺をざっと見るのが精一杯で、店内を一周することさえできませんでした。けっこう広そうなお店でした。
以上が岐阜の書店回りレポートです。岐阜市立中央図書館と徒然舎がすばらしかったので、全体としては収穫大いにありといっていい岐阜訪問だったんですが、雪のなかの閉店店連続訪問はちょっとこたえました(苦笑)。