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空犬通信

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『移動図書館ひまわり号』の夏葉社島田さん講演会終了後に、本物の移動図書館車を見てきました【更新】

今日は先日の記事で紹介した夏葉社島田潤一郎さんの講演会に参加してきました。


160911 三鷹図書館講演会

会場は、三鷹図書館本館。島田さんの人柄全開のあたたかいトークに、会場からは時折笑い声も漏れ、終始、なごやかな雰囲気に包まれた講演となりました。自社立ち上げの経緯、これまでの出版活動のことはもちろん、本のこと、本屋さんのこと、図書館のことなど、幅広い話題をカバーした講演で、島田さんの本を読んでいるのはもちろんのこと、プライベートでも話を交わす機会の多い当方のような身にも楽しめるものでしたから、初めての方にはさぞ聞き応えのある、印象的なものとなったのではないでしょうか。


160911 三鷹図書館 島田さん

会場は熱心な聴き手の方でいっぱいになっていました。知り合いの顔もちらほら。お近くに住むライターの北條さん、プーの森の野村さん、以前当方企画のイベントに来てくださった現&元三鷹図書館の方々、それに、ツイッターでつながっている書店員さん(お一人はなんと奈良からの参加!)にもお会いすることができました。


本日の講演会、トーク本編と質疑応答の終了後に、特別コーナーとして、団体貸出用書庫と移動図書館ひまわり号の見学ツアーがありました。ふだん見る機会のないバックヤードや移動図書館車を図書館長さんの解説付きで案内していただくというツアー。事前に知らされていなかったこともあり、ちょっと得した気分になれました。



以前、三鷹に住んでいたことがあるのですが、そのころ、三鷹図書館本館には、まだ幼かった子を連れて毎週のように親子で通ったものです。三鷹図書館本館には思い出がたくさんあり、今なおぼくにとっては特別な図書館の1つです。そんな慣れ親しんだ図書館なんですが、もっぱら本館を利用していたこともあり、移動図書館サービスがあること自体知りませんでした。


移動図書館ひまわり号のルートなどの詳細は、三鷹図書館の公式サイトにあります。こちら


160911 三鷹図書館 移動図書館スケジュール

移動図書館(車)を見たことがない、使ったことがない、という方もたくさんいらっしゃると思います。(ぼくは以前の記事に書きましたが、小学生のころに利用していたことがあります。)今日の見学ツアーは撮影可ということで、たくさん写真を撮ってきましたので、どんなものかをお見せしたいと思います。(写真はすべて図書館の方に断って撮影したものです。ブログでの紹介も事前に許可をいただきました。)


三鷹の移動図書館がどのようなものか、公式サイトには、こんな説明が掲載されています。《移動図書館ひまわり号は、三鷹市立図書館各館から遠かったり、行くのが不便だったりするかたに身近に本を提供するシステムで、三鷹市内13カ所を2週間に1度巡回しています》。


『移動図書館ひまわり号』(夏葉社)で描かれている日野の移動図書館と同名ですが、これは日野にちなんで命名されたとか、そういうことではなく、市民の公募で選ばれたものなんだそうです。


以下、車の様子を、正面から、左右側面、内部、背面の順に見ていきます。


160911 三鷹図書館 移動図書館 前面

↑正面から見たところ。


左右の側面の覆い(何と呼べばいいんでしょうか)を上に開けると、それぞれが本棚で、内部も両側が本棚になっています。左側面にあるドアと、背面に設けられたドアから内部へ出入りできるようになっています。


160911 三鷹図書館 移動図書館 左側面入り口160911 三鷹図書館 移動図書館 左側面書棚

↑左側面の書棚とドア。反対側の棚も同様で、左右側面の棚は、天地、奥行きが、それぞれ本のサイズに合わせて造られていて、スペースに無駄がありません。上の写真で、単行本がぴったりと収まっている様子がよくわかります。


160911 三鷹図書館 運転席横160911 三鷹図書館 移動図書館 右側面前から160911 三鷹図書館 右側面書棚

↑右側面の書棚。前から見ると、側面の書棚の覆いがどのようになっているのかがよくわかりますね。他の方が図書館の方に雨のときはどうするのかと質問していたのが聞こえたんですが、多少の雨ならば、この覆いで防げるそうです。


160911 三鷹図書館 移動図書館 内部1160911 三鷹図書館 移動図書館 内部2

↑内部の様子。電気がついていないのでまっ暗に写っていますが、実際、稼働中は内部は電気がつきます。天窓があるのもわかりますね。中の棚には児童書などが並んでいました。本棚のある車の中に足を踏み入れるだけで、なんだかわくわくしますよね。このときも、うわー、いいね、これ、とあちこちから声が上がっていましたし、ここに住みたいね、という声も聞こえていました(笑)。口に出さなかった人の多くも、そんなふうに思ったのではないかと思います。


160911 三鷹図書館 移動図書館 内部3160911 三鷹図書館 移動図書館 かご

↑このように「新着」コーナーもちゃんと設けられているんですね。新着雑誌の向かい、足元にはカゴが置いてあったんですが、これは展示用に使われるものなんでしょうか。用途を質問し損ねてしまいました。


160911 三鷹図書館 背面ドア

↑背面のドアには、このように、ロールアップ式のビニールが設置されていましたから、これが出入り部分を覆う庇になるのでしょう。


現在の車両はバスを改造したもので、これ1台で約3500冊を積むことができるそうです。平成13年度から運用されているそうで、老朽化のせいだったか、リース期間のせいだったか忘れてしまいましたが、この車両の運用は来年の春までで、廃車になってしまうそうです。移動図書館のサービス自体がなくなってしまうわけではなく、新しい車両に買い換えて、移動図書館サービス自体は継続されるとのことです。


次の移動図書館車は現在のものよりひとまわり小型のもので、積載冊数も2000冊ほどになるのだそうです。小型になるのは、現在のサイズだと、住宅街などの狭い道には入れなかったりすることがあるためだそうです。より小回りの利く車両に変えることで、これまで行けなかったエリアにも行けるようになるため、ルートやステーション(バス停に相当する場所)も見直し、現在13のステーションを20ほどに増やしたいという考えもあるようです。さらに、現在は火木金と週3回の巡回ペースを、週4回にする案もあるようです。小型になって1回に運べる冊数が少なくなる分、より多くのエリアに、より多くの頻度で回ることで、利便性をむしろ高めることになれば、という方針のようです。


移動図書館は、基本的には、近くに図書館がない方向けのサービスですが、高齢の方や、小さいお子さんがいらっしゃる方など、図書館に出向くのが難しい方にもぜひ利用していただきたいとのことです。図書館に関心のある当方のような者でも、地元の図書館に移動図書館サービスがあることを知らなかったぐらいですから、もしかしたら、こういうサービスがあること自体を知らずに利用の機会を逸してしまっている方もいるかもしれませんね。


移動図書館は、図書館に出向くのが難しい方にとって便利な存在であるというだけではありません。本好きなら、本を満載した車が自分の住む街まで、家の近くまで来てくれるというだけでうれしくなってしまう人も少なくないでしょう。何より、実際に、こうして外も中も本棚で覆われ、本がたくさん積んである車を目の前にすると、それだけで楽しい気分にさせられること必至です。自分の住む街に、移動図書館がないかどうか、調べてみてはいかがでしょうか。もしそのようなサービスがあったら、ぜひ一度、移動図書館がどのようなものか、実際に見てみてください。きっと楽しい時間を過ごせることになると思いますよ。



追記:ここまでの話とは直接関係ありませんが、移動図書館と言えば、こんなユニークなものも。




追記(9/12):車両内部の写真に写っている黄色いかごは、よく貸し出される本が入っていることもあれば、ステーションごとに入れ替える本が入っていたりすることもあるそうです。ひまわり号リニューアルは、老朽化とリース満了、両方の理由によるものだそうです。以上、ブログ記事を早速読んでくださった三鷹図書館の方に教えていただきました。


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