先日の新文化に、《「本屋」をテーマにした書籍に関するトークイベント・セミナーが6月、7月、東京と沖縄で開催される》と、「本屋本」好きには気になるイベント紹介記事が載っていましたね。
- 「「本屋」本の関連イベント、東京と沖縄で開催」(6/9 新文化)
記事で紹介されているのは、以下、3冊の本屋本に関連するイベントです。
- 宇田智子『本屋になりたい この島の本を売る』(ちくまプリマー新書)
- 石橋毅史『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)
- 平野義昌『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』(苦楽堂)
新文化の記事から、それぞれイベント紹介に関する部分を引きます。《6月19日には沖縄・那覇のジュンク堂書那覇店で、市場の古本屋ウララ店主・宇田智子氏の著書『本屋になりたい この島の本を売る』(ちくまプリマー新書)の発売を記念し、トークイベント「本屋になりたい 『那覇の市場で古本屋』ばなし」を開催。宇田氏が、同市内の古書店・宮里小書店の宮里綾羽副店長と対談する》。イベントの詳細はこちらをどうぞ。
《同29日には東京・千代田区の岩波セミナールームで、岩波ブックセンター信山社・柴田信氏の書店人生を追った『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)の制作過程を著者・石橋毅史氏と担当編集者・斉藤典貴氏が語るセミナーを実施》。詳細はこちら。
「海の本屋のはなし」については先日の記事で紹介済みですが、あらためて。《7月5日には東京堂書店神田神保町店で、苦楽堂から『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』を上梓する元海文堂書店・平野義昌氏が、刊行記念トークイベントを行う。ゲストに柴野京子氏(上智大学准教授)を迎え、同書について語る》。イベント詳細はこちらをどうぞ。
宇田さん智子の『本屋になりたい この島の本を売る』は、本稿執筆時点ではまだ入手できていないので、版元の内容紹介だけ引いておきます。《東京の巨大新刊書店店員から那覇の狭小古書店店主へ、沖縄の「地産地消」の本の世界に飛び込んだ。仕事の試行錯誤の中で、本と人と本屋について考えた》。
宇田さんのお店、ウララのサイトには《新刊書店から古本屋に、東京から沖縄に、会社員から自営業に移り変わるなかで、感じて考えたあれこれを書きました。書き下ろしです》とあります。装丁は《クラフトエヴィング商會さん。ちくまプリマー新書の創刊以来、1点ずつ違ったデザインを施されています。明るく本屋らしく装ってくださり、嬉しいです》。さらに、《漫画家の高野文子さんが挿絵を描いてくださいました。絵を何度見ても、信じられません》と興奮気味の報告もあったりします。
著者の宇田智子さん、ご本人も大変にすてきな方なんですが、お書きになる文章が、端正な、人柄のよく出たいい文章で、これまたすばらしいんですよね。ほんとなら、宇田さんのお店で買えればいちばんいいのですが、さすがに沖縄はふらりと本を買いにかけつけるにはいささか遠いので、宇田さんの古巣、ジュンクのお店で手に入れる予定です。大変楽しみだなあ。
書き手や本の内容に縁のあるお店で買いたい、ということでいうと、石橋毅史さんの『口笛を吹きながら本を売る』は、やはり岩波ブックセンターで買いたいなあと思っていたんですが、発売日当日と翌日の昼休みに探しにいったら、たまたま並んでいなかったので、待ちきれなくて、結局いつものように吉祥寺のルーエで買ってしまいました。
本は、版元の内容紹介によれば《85歳の今も岩波ブックセンターの代表として、神保町の顔として、日々本と向きあう柴田信さん。1965年4月、芳林堂書店に入社以来、書店の現場から〈本・人・街〉を見つめつづける名翁に、『「本屋」は死なない』(新潮社)の石橋毅史が3年にわたり密着した渾身書き下ろし。柴田さんの書店人生を辿ると、本屋と出版社が歩んできた道のり、本屋の未来を考える礎、これからの小商いの姿が見えてくる……》という内容の1冊。
こちらは刊行されてすぐに読みました。柴田さんにはぼくもお会いしたことがあり、町本会の件で相談にうかがったこともあるんですが、お会いしたときに聞かせていただいた話がほとんど同じようなかたちで出てくる箇所があったりして、非常に興味深く、そして、おもしろく読み終えました。本屋さんのことをいろいろと考えさせられる本であり、知り合いの本屋さんとお互いの感想を交換したくなるような本でもありました。
↑タイトルも、装丁もいい感じです。。
↑石橋毅史さんの『本屋な日々』28「したたかな本屋」。『口笛を吹きながら本を売る』を読む前に読んでおきたかったなあと思いました。『口笛』を読まれる方、読まれた方はこちらもぜひ。
平野義昌さんの『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』(苦楽堂)については、先日のイベント案内記事にも書きました通り、刊行されたらまたあらためてふれたいと思います。