しばらく前の記事で紹介した絵本のガイドムック『子どもと読みたい絵本200』で、子どもの本を扱っているお店のセレクトと紹介記事の執筆の一部を担当させていただきました。
いくつかのお店については、取材も自分で担当しましたので、お店を訪問して店主の方からくわしいお話をうかがったり、店内の撮影をさせてもらったりしたのですが、ムックでは紙面の制約もあり、見聞きしたことを充分には書けず、写真も使えませんでした。そのままにしておくのはもったいないので、取材したお店の一部を何回かに分けて写真入りで紹介したいと思います。(写真は基本的には自分で撮影したものですが、一部、お店の方に提供していただいたものがあります。取材した内容と写真をblogにアップするにあたり、洋泉社とお店の両方に許可を得ています。)
2回目の今回は大阪・豊中市にある絵本屋 pieni silta(ピエニシルタ)。残念ながら、執筆までの時間がかぎられていたために、訪問取材はできなかったんですが、店主の樋渡さんに電話でお話をうかがうことができました。(店内写真はすべて樋渡さんにご提供いただいたものです。お店の様子は変わっている場合があります。)
店名pieni siltaは「ピエニシルタ」と読みます。ちょっと不思議な字面と響きですが、フィンランド語で「小さな橋」の意なんだそうです。
住宅街にあるお店は広さ5坪、こぢんまりした店内に1000冊ほどの本が並んでいます。品揃えの中心は日本語の絵本で、1、2歳ぐらいの小さなお子さん連れのお客さんが多いことから、乳幼児向けを意識した品揃えにしているそうです。手作りのおもちゃも少し置いています。
写真をご覧いただければ、白木の什器でそろえられ、明るくてしゃれた店内になっているのがわかると思います。プロの手が入ったものかと思ったら、樋渡さんが店舗デザインを手がけ、自ら造ったものだそうです。相談できる人がいたり、模範とするお店があったりしたのか聞いてみたら、とくになかったそうで、ゼロからの店造りだったそうですよ。すごいなあ。
樋渡さんは、もともと幼児教育を学んでいて、一度は保育士になったものの体調を崩して続けられなくなってしまったのだそうです。また幼児教育に関わる前、それこそ高校生のころから、図書館のお話会のお手伝いしていたこともあったそうで、本と子どもに関わる仕事をしたいと思いは以前から強かったようです。それが結実したのが、今のお店、ということですね。
読み聞かせなどのイベントにも熱心です。こちらに一覧がありますが、けっこう頻繁に開かれているのがわかります。イベントは全部樋渡さんが自分で企画したもの。店内にイベントスペースはないので、什器を移動してスペースを作り、店内で行っているそうです。写真にある通り、小さな店内にけっこうたくさんの親子連れが集まっています。お客さんとの距離が近くて、いい雰囲気ですね。
店は住宅街にあって、最寄り駅からさらにバスを利用しなくてはならないとのことで、決して地の利はいいとはいえません。ただ、お店があるのは子どもの多い地域で、絵本選びの相談にくるお客さんも多いのだそうです。
子育てママと子どもたちの居場所になればいい、樋渡さんはそんなふうに思ってお店を開いたのだそうです。オープンは2012年末。まだできたばかりといっていいお店です。地域のママや子どもたちに愛されるお店として、ぜひ長くがんばってほしいですね。次に大阪に行くときは必ず訪問の機会を作りたいと思っています。