これ、しばらく前からよく見かけるようになりましたね。これを見るたび、うーん、という気分にさせられる本屋さん好きは、おそらくぼくだけではないのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
セブンイレブンの店頭に掲示された「セブン-イレブンは街の本屋」というポスターです。
コンビニが本や雑誌を扱うのは今に始まったことではないし、それなりの規模になっていることもわかっていますから、そのこと自体をどうこういうつもりはもちろんありません。ぼくは本屋さん派なので、本や雑誌を買うことこそしませんが、コンビニ自体、とくにセブンイレブンは、ぼくもよく利用するので(ビールと白くまアイスとお菓子ばっかりだけど)、別にコンビニがダメだのなんだのと言うつもりもまったくありません。ありませんが、だからといって、自分たちが圧迫・駆逐してきたといっていい隣接業種の1つである「街の本屋」を名乗るのは、さすがにどうかと思うのです。
調べてみたら、このような動きは、この4月からのことなんですね。こんなページもできています。セブン&i HLDGSのサイトを見ると、「新社長インタビュー 戸井和久」が掲載されていて、その中に、「セブン-イレブンを「街の本屋さん」に」という一項がありました。一部を引きます。
《この 4月から「セブン-イレブンは街の本屋さん」と位置づけ、本(書籍と雑誌)の販売に注力していきます。これは、セブンネットショッピングが取り扱っている 150万アイテムに上る本を、セブン-イレブン店頭の端末からご注文いただき、各店舗やご自宅で受け取れるようにするもの。従来もネット通販商品のセ ブン-イレブン店頭受け取りサービスは実施していましたが、今回、店頭に置いた端末を使用し、従業員が接客を通じてサポートすることで、ネット購買になじみのないお客様も容易にサービスが利用できるようになります》。
ぼくはテレビを観ないので、ぜんぜん知らなかったんですが、テレビCMまで打っているんですね。「セブンイレブン セブンネットショッピング のCM「街の本屋になります」篇が公式サイトで公開。出演 黒澤はるか。」(4/25 動画NOW!!)。
近くにコンビニがあるだけで雑誌やコミックの売上には大きな影響があるというのに、このうえ、本屋宣言などされて、取り置きや定期購読といった、本屋さんでできることは全部うちでできますよ、などとされたら、商圏の重なる個人商店や小規模チェーン店はたまったものではないでしょう。
この件、出版・書店関係者の間ではまだそんなに大きな話題になっていない気がするのですが、本屋さんの今後を考えるうえでけっこう深刻な問題なのではないかという気がします。