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空犬通信

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旭屋書店、久しぶりの新店、アトレヴィ大塚店を見てきましたよ

書店の開店閉店関連のニュースと、書店本の紹介はしていますが、このところ書店を訪問してのレポートというのがなかなか書けずにいました。というのも、新規店を訪問したり、ふだん行かないエリアの書店回りをしたりの時間が、ぜんぜんとれずにいたからです。


というわけで、久しぶりの書店レポートになります。オープンからちょうどひと月、お店の棚も落ち着いたころだろうということで、9/12にJR大塚駅直結の駅ビル、アトレヴィ大塚内にオープンした、旭屋書店アトレヴィ大塚店を見てきました。(写真は10/11の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)


お店は、アトレヴィ大塚の4階。エスカレーターをあがって正面にありました。開口部が広くとられた明るいお店です。


131011旭屋大塚1131011旭屋大塚2131011旭屋大塚4

↑写真ではわかりにくいのですが、入り口近く、レジの前あたりに、ゲート状の棚が設けられているのが目を引きます。入り口左側には文具が並んでいます。写真右は、側面から見たところ。


店内は、入り口から奥に通路3本が伸びる、シンプルな形状と配置。スチールと木を組み合わせた美しい什器が使われており、雑誌棚は、ポケットの部分と側面がアクリルになっていて、女性誌などの面陳が栄えます。


131011大塚 旭屋 カード

↑旭屋書店の他のお店ではあまり見かけたことのない、ショップカードも作られていて、レジに置いてありました。


サイズ的にも品ぞろえ的にも、駅ビルの中のお店としてはとてもバランスのいい、使いやすいお店のように思えました。気になったのは1つだけ。店内でどこになんの本が並んでいるのかを示す、ジャンルガイドの形状が、↓こんな感じです(絶望的に下手くそなイラストですみません……)
131011旭屋プレート

色やかたちはいいと思うのですが、肝心のジャンル案内の字が小さくて、少し離れたところからでは目立たないのが、やや残念に思われました。また、棚から飛び出すかたちにつけられているので、棚の正面に立つと見えません(棚では、棚番号の表示のほうが目立つぐらいです)


店内のデザインをしゃれた感じにするのは、立地や客層から必要な場合はどんどんそうすればいいと思いますし、そうするべきだとも思います。ただ、そこはやはり程度やバランスの問題。ときどき、デザインを優先するあまり、ジャンルガイドや店内案内・掲示などの字が、凝りすぎていて読みづらい書体になっていたり、フォントの色と地の色の組み合わせに難があったりする例が目につくことがあります。今回の旭屋の例は、好みの問題もあるでしょうし、ダメだとまでは思いませんが、店内のガイドとしての役割を考えれば、もう少し見やすいものになっていてもいいかなという気がしました。


新店オープン時には、お店へのアプローチの過程で、お店の存在がきちんと目につくように告知されているかどうか、という点を必ずチェックするようにしています。お店のことを地元利用者に認知してもらう、というのは、非常に重要なことだと思うからです。


JR大塚駅を降りて、ホームから周りを見渡すと、アトレヴィの建物の側面に、大きく「本」の字が見えました。南口側に出ると、「本」の1字の目立つお店の案内が、建物の外壁に大きく掲示されていました。実際、ぼくも、駅のどっち側にあって、どう行くのか、事前にまったく調べずにいったのですが、難なくたどりつけました。これならば認知的に問題なさそうですね。


131011旭屋大塚6

↑ご覧の通り。けっこう目立ちます。


銀座や水道橋の店がなくなってしばらくになり、赤坂の店もなくなってしまった旭屋書店。東京にいると、なかなかお店を利用する機会がなく、梅田やなんばの店に親しんで育った元旭屋利用者にはさびしいかぎりでしたが、久しぶりの東京での新店が、駅直結の商業施設内にあるワンフロア型の書店としては、コンパクトでいいお店になっていたので、安心させられました。近隣の方、大塚駅利用者の方はぜひのぞいてみてください。


大塚駅周辺には、新刊書店がいくつかありますので、それらにもふれておきます。まずは、同じ南口側にある大松堂書店から。南口を出て徒歩2、3分。南大塚通り沿いにある路面店で、立地的にも規模的にも見た目的にも、まさに町の本屋さんという感じのお店です。


131011大塚 大松堂

入り口の屋号の脇には、1階と2階の売場がある旨の案内がありますが、現在は1階のみ(になってしばらくたつ感じ)。写真にある通り、店頭にはたくさんの雑誌や児童書が並び、10坪ほどの店内にも雑誌はけっこうそろっています。文庫やコミックもけっこうそろっているようですが、やはり単行本はかなり厳しく、数が少ないため、すべてが面陳か平になっています。駅から直近の路面店ですから、立地的には悪くないはずなのですが……。



このタイプの個人経営の町の本屋さんが厳しい状況にあることは、ふだんの書店回りでも、『本屋図鑑』の取材でもさんざん感じさせられてきたことで、今さら驚くことではないのでしょうが、それでも、こうして実際のお店の様子、隙間の多い棚を目にすると、なんとも言えない気分になってしまいます。


これから旭屋の影響も出てくることでしょう。ますますお店にとっては厳しいことになるかもしれない。でも、やっぱり駅前の本屋さんにはがんばってほしい。子ども客がくるのでしょう、コミックを見れば、ジャンプコミックスなど少年コミックの人気タイトルはちゃんと並んでいましたし、もちろん、ジャンプもコロコロもちゃおもあります。子どもたちがお小遣いを握って買いにいけるのは、駅ビルの上のほうにあるお店ではなく、こういう店だと思うんですよね。


北口側に移動します。北口を出るとロータリーになっていますが、右方向に、地域最大級のお店、あおい書店が見えます。


131011大塚 あおい

こちらも路面店。1階と地階の2フロアで、コミックは地階に移動したとの案内が店内に貼り出されていましたから、最近、売場拡充がされたのでしょうか。入り口の印象よりも奥に広く広がったお店です。


棚の高さや配置のせいか、死角の多い造りになっているように見えるのが、防犯上大丈夫なのかどうか、なんとなく気になってしまいました。品ぞろえは、よく言えばオールラウンド、悪く言えばやや雑多な感じ、といったところでしょうか。あおい書店のほかのお店、たとえば五反田店などと雰囲気が似ていますね。


北口にはもう1軒、山下書店もあります。


131011大塚 山下1131011大塚 山下3

駅から見て、ロータリーの向こう、正面あたりで、こちらも路面店。お店の外、側面に雑誌の棚がずらりと並び、その上に、貼り紙がずらりと並ぶ、ドラッグストアか何かに見えなくもない、派手でにぎやかな外観です。店内も、入り口入ってすぐの新刊台や、各ジャンルの平台など、ディスプレイがいい意味ででこぼこしていて、お店の外にも中にも、とても活気があります。洗練やおしゃれとはぜんぜん違うあり方ですが、個人的には、こういう雰囲気は好きで、店内のあちこちを眺めているだけでうれしくなります。


文芸の棚に「本の本」を集めた一画があり、そこに『本屋図鑑』も並んでいました。今回の大塚書店回りは、とくに取材ということではなく、写真も外観ばかりなので許可を得ていませんが、ここだけ、お店の方に断って写真を撮らせてもらいました。


131011大塚 山下2

ちなみに、同店は24時間営業。大塚というのはふだんまず利用することのない駅なので、夜の街の様子もわかりませんが、24時間営業の書店のニーズがある街なんでしょうか。駅周辺にタイプの違う店がいくつもあり、24時間営業のお店まであるなんて、大塚利用の本好き書店好きがちょっとうらやましくなりますね。


大塚へは、神保町から、三田線で巣鴨乗り換えでいきましたので、巣鴨の書店もちょっとのぞいてきました。こちらも、駅を降りるのはいったいいつ以来だろう、というぐらい久しぶりのことです。


まずは駅の北口を出て、右に少しのところにある成文堂書店。


131011 巣鴨 成文堂

オーソドックスな造りの、駅前にあると便利なタイプのお店ですね。午後、夕方に近い時間帯だったんですが、たくさんの高校生が店の前を列をなして通っていました。そういう客層に合わせたものか、レジの右脇に辞書の棚が1本、店の左奥には学参の棚が並んでいます。そして、学参の棚の前には、友人と一緒に参考書をあれこれ選んでいる学生の姿が。なんということのない、街の本屋さんには当たり前の光景ですが、今ではなつかしい感じがしてしまいます。ほっとさせられると同時に、この光景が「なつかしい」だなんて感じること自体が、なんだかさびしことだなあ、という気も。


文庫の新刊台や平台を見ていると、面陳になっている文庫に(全部に、ではありませんが)輪ゴムがかけてあります。表紙の反り返り防止でしょうか。陳列に手をかけているなあ、という感じが、伝わってきます。


駅の近くにもう1店、新刊書店があるのですが、これは紹介したものかどうか……。店名はあげずにおきます。白山通りを渡ってすぐの路面店。駅から至近で、人通りもあり、立地的には申し分ない感じです。なのですが……店は、なんというか、完全に時代に取り残された感じになっていました。


2つある島の棚と壁側の棚は、がらがら。島の1つには、成人雑誌が並んでいます。天井からは、いつのものなのかよくわからないぐらい昔の、カッパブックスの案内(看板? パネル?)が下がっています……。


外からのぞいただけなので(というのも、外からの見た目に腰が引けたこともあるのですが、成人雑誌をずっと立ち読みしているおじさんがいて、ちらちらとこちらを見ては、「何見てんだ」という感じで、にらんできたり、舌打ちしたりするし、さらにはお店の人なのか客なのかわかりませんが、年輩の女性が、入り口付近にかなり長い時間仁王立ちしていたりで、入りにくいことこのうえない感じだったのです……)、くわしいことはわかりません。中に入って、じっくり観察したら、また違う印象だったのかも……いや、そんなことはないだろうなあ、きっと。


別に、棚に隙間が多くても、店内に古いポスターや販促物が残っていても、商品がアダルト中心でも、いいのです。くたびれていてもいいと思うんです。ぼくは、基本的に、お店のいいところを紹介したいので、どんなに商品の品ぞろえが自分の好みからはずれていても、雰囲気が自分の好みと違っていても、ちゃんと中を見さえすれば、お店のいいところをきちんと紹介できる自信があるんですが……店内に足を踏み入れることすらできないお店もあるのだなあと、そんなことを思い知らされた一日でした。


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