お休み期間をはさんだため、前回の開店・閉店情報から、ひと月ほど間があいてしまいました。書店の開店・閉店関連情報のまとめです。
●オープン
- 8/ 7 正文館書店緑区グリーンプラザ店(63;名古屋市緑区)
- 8/17 栞日(しおりび)(20;長野県松本市)
- 9/5 MARUZEN丸広百貨店飯能店(290;埼玉県飯能市)
- 9/20 未来屋書店弘前ヒロロ店(150;青森県弘前市)
- 9/20 ツタヤ渋川店(60;群馬県渋川市)
- 9/20 喜久屋書店東急プラザ新長田店(215;神戸市長田区)
- 9/20 球陽堂書房まちなと店(140;沖縄県浦添市)
- 10/ 2 夢屋書店アピタ初生店(130;静岡県浜松市北区)
- 10/ 4 蔦屋大分森町店(200;大分市)
- 10/ 9 夢屋アピタ西大和店(120;奈良県上牧町)
- 10/10 ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店(650;大阪市阿倍野区)
- 10/19 ESPACE BIBLIO(エスパス・ビブリオ)(東京都千代田区)
- 12/? TSUTAYA盛岡店(2117;岩手県盛岡市)
件数が多いので、大きな案件以外は、ごく簡単に。名古屋の正文館書店、関連記事はこちら。「正文館書店、緑区グリーンプラザ店オープン」(8/13 文化通信)。《2年ぶりの支店開店で、6店舗目となる》とのこと。
松本の栞日は、新刊だけでなく、リトルプレスや古本も置く、カフェ併設のお店とのこと。関連記事はこちら。「松本・駅前大通りに書店「栞日」-作り手と読み手をつなぐ「届け手」に」(9/6 松本経済新聞)。
飯能のMARUZEN(丸善)は、東飯能駅近くの丸広百貨店内、6階のワンフロア店。東飯能・飯能は、行く機会のないエリアで、周辺の書店事情はまったく知らないのですが、検索してみると、両駅周辺だけで、複数の新刊書店がヒットします。そのようなエリアに、300坪近いサイズの書店が加わることの影響は大きそうです。
なお、ジュンク/丸善系列の新店は、毎回どのブランド表記になるのかが気になるところですが、今回は丸善ブランド。ただ、お店の店舗紹介ページでは「MARUZEN」表記になっていますので、それに合わせました。なお、ジュンク堂書店のサイト、会社案内のページでは、「丸善」表記になっています。
くまざわ傘下入りしてから1年少しになる、沖縄の球陽堂書房。今回は、くまざわグループに入ってからは、2店舗目の出店となります。
御茶ノ水の、ESPACE BIBLIOは、原宿にあった旧「ブックス&カフェ ビブリオテック」が、移転・改称となったもの。リニューアルに入れるべき案件かもしれませんが、ここで紹介しておきます。
今回紹介する新規案件のなかで、話題を呼びそうなのが、あべののジュンクと盛岡のTSUTAYAでしょう。まずは、あべのから。噂レベルの段階で、すでに記事では少しふれたことがありますが、大阪市阿倍野区の大型商業施設「あべのハルカス」内に、ジュンク堂書店がかねての噂通り、大型店を出店します。
あべのハルカス近鉄本店ウィング館の7、8階の2フロアで、売場面積650坪という数字は、超大型出店の続いたジュンク堂書店の新店としては控え目な数字に思えてしまいますが、十分に大きなサイズ。5階にはMARUZENの文具が入るそうですから、文具を含めた総売り場面積は、800坪を超えるようです。
あべのには、ビッグウィル阿倍野店がありますが、後述の通り、入れ替わるようなかたちで、10/6に閉店。
以前の記事でふれたこともありますが、天王寺・あべのエリアでは、開店・閉店が続き、書店事情がこの数年でずいぶん大きく動きました。くまざわ、旭屋、リブロ、喜久屋など、すでに複数の書店がしのぎを削るエリアに、今回の大型出店です。周辺各店への影響は、相当大きなものになることでしょう。
子どものころを大阪で過ごしている身には、天王寺は思い出の多い街。小学生のあるころまでは、百貨店イコール、天王寺の近鉄百貨店でした。それだけに、天王寺の書店事情は、やはり気になります。次に大阪に行く機会がありましたら、ぜひ天王寺・あべのエリアの書店をじっくり見てきたいものだと、そんなふうに考えています。
続いて盛岡。全国のあちこちに、超のつく大型複合店を、ものすごいペースで出店しているツタヤ。旧ホーマックスーパーデポ盛南店跡地にできるという今回も巨大店で、既報の数字は坪換算で約2117坪。関連記事はこちら。「盛岡・本宮にツタヤ カフェ一体、12月開店」(8/30 岩手日報)。
《全国で書店やCDなどのレンタル店約1470店、県内では12店を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京都渋谷区)は、盛岡市本宮4丁目の旧ホーマックスーパーデポ盛南店跡に大型書店「TSUTAYA(ツタヤ)」を出店する。12月ごろオープンの見通し》。
書店好きにとっては、盛岡といえば、やはりさわや書店。さわや書店への影響が気になるところです。地図で見ても、どの程度離れていて、商圏的にどうなのか、よそ者にはよくわかりませんが、駐車場完備の大型施設になるでしょうから、当然、相当広い範囲まで影響が及ぶことでしょう。心配です。ちなみに、盛岡には、ほかにも、地元の東山堂もありますし、大型店で、営業形態的には完全に競合しそうな、エムズエクスポもあります。
《書籍販売とカフェが一体になった新業態で展開。運営は子会社の盛岡蔦屋書店(盛岡市)が行う。店舗面積は約7千平方メートル》。
《購入前の書籍でもコーヒーなどを飲みながら自由に閲覧できる。売り場は旅行やアートなどテーマを設ける。DVDなどのレンタル、ゲームや玩具なども扱う》というあたりは、いつものツタヤの複合店のスタイルですね。《CCCの広報担当者は「本をきっかけに発見の場を提供し家族で安心して訪れることができる文化の広場づくりにつなげたい」と語る》とありますが、はたして、名店、さわや書店を抱える盛岡の街で「文化の広場」になれるのかどうか。大変気になります。
●リニューアル
- 9/ 5 くまざわ書店丘の上プラザ店(70;東京都多摩市)
以前は、多摩センター駅の徒歩圏に2店をかまえていたくまざわ書店。イトーヨーカドーなどが入る丘の上プラザ店の4階に入っていたお店が、3階に移転になり、売り場面積も半分になったようです。以前のお店は、横長で、窓が広くとられ、児童書売場など、実に広々とした、ファミリー層・子連れ客によさそうな、ショッピングセンター内らしいお店でしたが、訪問するたびに様子が変わっている、という印象でした。新しいお店はどんな感じになっているのでしょうか。
●閉店
- 7/21 文教堂六会店(神奈川県藤沢市)
- 7/26 ブックカフェ・ビブリオテック
- 7/30 旭屋書店堂島地下街店
- 9/ 1 旭屋書店イオンモール鹿児島店(605;鹿児島市)
- 9/23 流水書房妙典店
- 10/ 6 ビッグウィル阿倍野店(203)
- 10/14 高坂書店石切日下店(大阪府東大阪市)
ブックカフェ・ビブリオテックは前述の通り、改称・移転に伴う閉店です。旭屋書店が2店あるのが目を引きます。しかも、1つは、リニューアルの印象がまだ新しい堂島で、もう1つは600坪超という大型店の鹿児島。後者の関連記事はこちら。「旭屋書店、9月1日閉店 鹿児島市のイオン鹿児島店」(8/9 南日本新聞)。《旭屋書店(本社・大阪市)のイオンモール鹿児島店(鹿児島市は、9月1日の営業を最後に閉店する。併設のカルチャー教室も8月31日で閉鎖する。同書店は2007年10月、ショッピングセンター開業時にオープンした。2階フロアの約2000平方メートルで書籍・雑誌24万7000冊や文具を販売、カルチャー教室は手工芸・語学など約120講座を開設していた》。
梅田の旭屋書店本店に思い入れのある当方にとって、旭屋書店の苦戦のニュースはなんともさびしい感じなんですが、すでに紹介しました通り、今週9/12には、久しぶりの新店となる、アトレヴィ大塚店がオープンとなります。がんばってほしいものです。近く、お店を見に行き、様子を空犬通信でも報告したいと思います。
流水書房は今回の閉店でとうとう、関東圏にはお店がなくなってしまいました。サイトによれば、「流水書房」名義のお店は、カインズモール名古屋みなと店だけ、となるのでしょうか。一時は、都内に、何店もあったのに……。さびしいことです。ビッグウィルは、前述の通り、ジュンクあべの開店に伴う閉店です。
閉店と言えば、この9月末には、すでに記事でご紹介しました通り、神戸の名店、海文堂書店が、その歴史に幕をおろします。ことばもありません。