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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

夏葉社の新刊『本屋図鑑』が7月に出ます

やっと、正式に発表できることになりました。7月に出る本の告知です。


    『本屋図鑑』
    著者:得地直美/本屋図鑑編集部
    発行:夏葉社
    判型・頁数:四六判・並製・240ページ・1色刷
    予価:1,785円(本体1700円)
    発売:7月19日
    ISBN:978-4-904816-09-7 C0095 ¥1700

昨年の夏に、東京・西荻窪のブックカフェ、beco cafeで開催したトークイベント(公開編集会議)で告知した本です。その後、かなり細部が変わり、このような本になります。《「生活のなかにはいつも本屋さんがある」というコンセプトで、日本全国の、駅前の、商店街の、ショッピングモールの中の、島の、町の書店の魅力を紹介する》本、それが『本屋図鑑』です。



これまでも雑誌の書店特集では多くの書店が紹介されてきましたが、一部の有名店に偏ってしまうきらいがありました。もちろん、そうした有名店がすばらしい店であるのはたしかですが、それだけが書店ではない、という思いをもたれた方も多かったのではないかと思います。


『本屋図鑑』では、よく取り上げられるそうした有名店だけではなく、「町の本屋さん」をたくさん取り上げています。この本の特徴の1つは、全国各地、それも、全都道府県から必ず最低1軒は取り上げるという方針で、日本全国の書店を取材していること。最終的に本で紹介するお店は80店ぐらいになりそうなんですが、そのすべてを夏葉社の島田さんがほぼ一人で実際に訪問して取材しています。資料のみ、電話やメールのみの取材は一切なしです。


ぼくも、取材には同行したり協力したりしていますが、実際に訪問したのはごく一部(その、ごく一部の取材が、これまた楽しかったのです)。その点、島田さんは、北は北海道から南は沖縄まで、文字通り全国をカバー。しかも、南北いずれも離島にまで足を運んでいます。それを、1人出版社ですから他の本の作業もすべて独りでこなしつつ、わずか半年でやりとげたのですから、驚きです。


書店営業が本業の方には、広いエリアの大変な数のお店をカバーしている人はもちろんいるかと思いますが、書店営業専任ではない出版関係者としては、島田さんは、全国の書店をもっとも広範かつ熱心に回った1人になるのではないでしょうか。ぜひ、その広範な取材の結果を、この本で見てみていただければと思います。


この本の、もう1つの大きな特徴は、すべての書店をイラストで紹介していること。雑誌にしろ単行本にしろ、従来、書店の様子は写真で紹介するものが多かったのですが、今回は概観も棚もすべてイラストです。イラストを手がけたのは、得地直美さん。書店好きの方なら、東京堂書店元店長の佐野衛さんの書店エッセイ、『書店の棚 本の気配』(亜紀書房)の装画を手がけた方だと言えばぴんとくるでしょうか。神保町の喫茶店ラドリオで配布されている無料紙『ラドリオかわら版』にもイラストを寄せています。とてもすてきなイラストを描かれる方で、書店の外観や、本棚の様子(棚に並ぶ本の背文字まで描き込まれています)は、書店好きならきっとうれしくなるはずです。


得地さん 佐野さん本書影

↑『書店の棚 本の気配』。得地さんの絵は、ご本人のサイトでも見られますよ。


著者の「本屋図鑑編集部」というのは、夏葉社の島田さんと空犬の2人。うち、わたくし空犬が担当したのは、取材と執筆の一部で、本文の文章部分のだいたい6割ぐらいかな。ぼくは出版関係者ではありますが、あくまで本業は編集者で、プロの書き手ではありません。文章に拙いところは散見されるかと思います(このblogでご覧いただいている通りです;苦笑)。でも、今回は、相当がんばりました。何しろ、本の本に関わるという長年の夢が実現する最高の(かつ、おそらく最後の)機会を与えてもらったわけですから。本気を出さずにはいられませんよね。これまで実際に見てきた書店やお話した書店員さん、読んできた書店関連本などから得た知識や記憶、書店への思い、とにかく、自分の中にある書店に関するものはすべて注ぎ込んだつもりです。どれぐらいうまくいったかなあ……。


『本屋図鑑』の作業中は2人で毎週のように打合せをしながら進めたんですが、打合せのたびに、島田さんが、各地の取材の様子を、現地の写真なども交えて聞かせてくれたんですが、これがもう、ぼくが一人で聞いているにはもったいないような、実におもしろい話ばかり。もちろん、さびれてしまっている商店街の様子や、ぜひここをと思って訪ねたお店がなくなっていたり、お店が本で紹介できるような状態になかったりといった話もありました。でも、それらも含め、地方の書店の事情をこんなにもリアルに聴ける機会というのは、まずありませんから、その意味でも書店好きには貴重かつありがたい体験でした。


『本屋図鑑』は書店ルポのような本ではありませんから、こうした話のすべてを本に盛り込めるわけではありません。『本屋図鑑』が無事刊行されたら、全国書店訪問記みたいな文章を島田さんに書かせてくれる出版社やサイトが出てきてくれないかなあ。きっとおもしろい本や文章になると思うなあ。あと、7月に本屋図鑑関連でトークイベントを3つ企画しているんですが(記事をあらためてご案内します)、ほかにも、島田さんの全国書店取材裏話を披露できる機会があるといいのになあ、と、関係者だからとか知り合いだからとかではなく、純粋にそんなふうに思います。


今回は書誌情報のみになってしまいましたが、イラストの一部や、チラシなどをお見せできる段階になったら、また記事でご案内したいと思います。というわけで、まもなく刊行の『本屋図鑑』、ぜひよろしくお願いします。



追記(6/10):島田さんの「本屋図鑑」取材レポ、連載が1件決まりました。詳細は後日、あらためて空犬通信でご報告します。島田さんのトークイベントについては、引き続き、募集中です。



コメント

書店勤務です。いつもこちらのブログで勉強させてもらってます。刊行、楽しみにしてます!

  • 2013/06/05(水) 21:46:55 |
  • URL |
  • lieu #-
  • [ 編集 ]

うれしいです

lieuさん>
訪問&コメント、そしていつもお読みくださって
いるとのこと、ありがとうございます。

> 刊行、楽しみにしてます!

書店でお仕事をしている人にそのように言っていただけると
うれしいです。がんばります。

  • 2013/06/05(水) 22:19:01 |
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  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

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