恒例の新刊書店の開店・改装・閉店ニュースです。件数としてはそんなにたまっているわけではないのですが、いくつか気になる案件がありますので、あんまりためて、記事が長くなりすぎちゃったりしないよう、早めにまとめてみました。(かっこ内の数字は坪数。)
●オープン
- 4/14 bookunion CLASSIC(8)
- 4/25 未来屋書店イオンモール船橋店(241)
- 4/25 アニメイトイオンモール船橋店
- 4/25 未来書店蒲原店(100)
- 4/27 TSUTAYA WAY 名張店(260)
- 4/28 ヴィレッジヴァンガードマルイアネックス新宿(25)
- 5/17 啓林堂書店学園前店(200)
bookunion CLASSICは、ディスクユニオン新宿クラシック館内にできるクラシック音楽専門書店。ブックユニオンとしては4店舗目で、ショップインショップ形式だそうです。関連記事は、こちら。「新宿にクラシック音楽専門書店「ブックユニオン・クラシック」-輸入楽譜にも注力」(4/12 新宿経済新聞)。
品揃えについて、記事には《取扱書籍は、クラシック関連書籍から輸入楽譜、ポケット・スコアなどの楽譜まで幅広くラインアップし、新刊・中古書籍合わせて8000冊をそろえる》とあります。ショップインショップとはいえ、音楽書、ではなく、クラシック音楽に限定のくくりで、こうしたショップが成立してしまうところがさすがディスクユニオンというか、なんというか、すごいですね。
イオンモール船橋は、マックスバリュ新船橋店跡地にできるショッピングモール。未来屋書店が3階に、アニメイトが2階に入るようです。4/17にソフトオープン、4/25にグランドオープンとのこと。これは以前の記事で一度、「新船橋店」として紹介したものと同じもの、こちらが正式名称ということになるのでしょうか。
啓林堂書店は、奈良県奈良市、近鉄奈良線学園前駅前の商業施設「パラディ学園前」3Fのお店だそうです。関連記事は、こちら。「啓林堂書店、奈良市に「学園前店」出店へ」(4/10 新文化)。
●リニューアル(改装・移転・増床など)
- 4/10 文公堂書店(75)
- 4/16 旭屋書店堂島地下街店(47)
- 4/23 東京堂書店シェ・モワ店
- 4/21 アシーネ池田駅前店(95)
- 4/末? 三省堂書店ルクア大阪店
文公堂書店は、JR阿佐ヶ谷駅の駅ビル、ダイヤ街に入っているお店。阿佐ヶ谷の新刊書店としては、(JR駅からはちょっと離れている書原を別にすると)南口すぐの書楽もありますが、2店とも夜遅くまでやっているので、地元の本好きには重宝なお店。阿佐ヶ谷はぼくも一時期住んでいたことがあるので、両店とも昔からなじみのお店。
ずっと改装工事の続いていたダイヤ街ですが、4/20にリニューアルオープンとなるようです。プレスリリースはこちら(*PDFファイルです)。文公堂書店が残れたのはいいんですが、残念ながら、120坪から75坪へと、6割ほどの規模に縮小。これを機にブックカフェになったりしないのかと思ったら、文公堂書店はそのままで、同じくダイヤ街2階にある新星堂がタリーズコーヒーと初のコラボをするとあります。どんな形態になるんだろう。気になりますね。
阿佐ヶ谷の駅ビルは、ダイヤ街もゴールド街も、よく言えば庶民的、悪く言えばあかぬけない、昭和な香りを色濃く残してた、ぼくのようなおやぢにはとても居心地のいい感じだったんですが、ゴールド街の改装で、大好きだったクロンボや可否茶館も閉店になってしまい、今回ダイヤ街も一新されることに。こういう書き方がただのノスタルジーに過ぎないことは十分承知の上ですが、やはり、なんとなくさびしいものです。
先日の大阪書店レポでも少しふれた、旭屋書店堂島地下街店は、3/30から改装工事で4/15まで休業中。什器が入れ替えになるそうです。にぎやかで元気な印象のお店だったので、きれいになるのはいいですが、あまりしゃれた感じに走りすぎないといいのですが。
本店が改装になったばかりの東京堂書店。今度はふくろう店がリニューアルで、それに伴い、店舗名称が旧「ふくろう店」から「シェ・モワ店」に変更になるそうです。「【予告】 ふくろう店が、本と雑貨のお店にリニューアル」(東京堂書店) 。ふくろう店の営業は4/13までで、4/14~4/22 4/23は一時閉店とのこと。
↑店頭に貼り出されていた告知と、店頭で配布されていたチラシ。
ガーリーなイメージのチラシ表面からも想像がつきますが、チラシ裏面の説明を見ると、お店の感じもフェアも完全に女性向け。すぐ斜め前に本店があるわけですし、それを言えば、周囲には強力な大から小まで、硬から軟まで、新刊書店がいくつもあるわけですから、本店に似たような感じにする必要はないわけで、思い切って、少し極端なぐらいの路線・品揃えにして特色を出すのは、戦略的にはごくごく自然なこと。それはわかっているんですが、なんとなく違和感を覚えてしまうのは、やはり東京堂書店のお店だから、でしょうか。だって、まさか東京堂書店のお店のチラシに、《こころにも、おしゃれしない?》なんてコピーが踊っているのを目にすることになるなんて、昔からの利用者にしてみれば、まさか、って感じですからね。4/23のオープンが、いろいろな意味で楽しみです。
アシーネは、大阪府池田市、ダイエー内のお店。東館3Fから西館2Fへ移転になり、わずかに縮小となるようです(99→95坪)。
●閉店
- 4/21 誠和書房(15)
誠和書房は、横浜市保土ケ谷区、駅でいうと、相鉄線西谷駅の徒歩圏、商店街内にあり、同地で33年営業してきたお店。同店の閉店について、「文化通信」4月2日号に記事が出ています。その「消せない地域書店の灯り」によれば、《店主の吉田直行さんは、日本出版販売を通じて後継者を求めているが、まだ見つかっていない》とのこと。記事には店主吉田さんのこんなことばも。《外商や配達ができればもっと売り上げを望める。若く体力のある人にこの場所で書店を続けてもらいたい》《資金面で役に立てないが、ここで書店を続けてもらえるのであれば、経験やノウハウをぜひ伝えたい》。
記事によれば、お店は駅から徒歩5分ほど、同店の近隣に競合店はなく、お店の向かいには全国チェーンのスーパーがあって、人通りもあるとのこと。閉店を決めたのは売上低下が原因とのことではあるものの、書店の立地的には悪くないし、上の店主の方のことばにあるように、改善策もありそうだし、ベテランのバックアップも得られそう。
ゼロから書店を始めるのは、とくに個人が新刊書店を始めるのはきわめて大変なことで、ほぼ不可能ぐらいに言われたりするこの世界ですが、それを考えると、どうしても書店をやってみたいという方には、悪くない条件にも思われます。閉店まであと10日を切っています。《このままでは、地域書店がなくなってしまうという》。我こそはという若き書店人志望者が、街の本屋さんの歴史をつないでくれたらなどと、思わずにはいられません。この件、興味のある方は、同店に直接か、もしくは文化通信の編集部へ。