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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

杉作J、メモリークエスト、江戸東京、ガウディ……ルーエで買った本たち。

昨日は、朝から晩までノンストップでゲラと格闘する一日、へとへとに憔悴しきって帰路についたんですが、こんなときこそ書店へ、ということで、吉祥寺のBOOKSルーエに寄ってきましたよ。


それほどごぶさたしていたわけでもないのですが、たまたま花本氏やS店長のいないときに訪ねたりが続いていたので、おしゃべりしながらゆっくりするのは久しぶり。なんだかんだで、1時間半以上、いました。長居しすぎだよね。で、買ってきたのは、こんな本たち。


  • 杉作J太郎『杉作J太郎が考えたこと』(青林工藝舎)
  • 高野秀行『メモリークエスト』(幻冬舎文庫)
  • 三津田信三編『江戸・東京 歴史ミステリーを歩く』(PHP文庫)
  • 田澤耕『ガウディ伝』(中公新書)

杉作J太郎はおもしろいなあ。イラストも写真もなし、ゆるーい文体の文章が2段組で200頁超。ノリが合う人なら、いつまででも読んでられそうな、なんかじんわり効いてくるアルコールみたいな本。飲み屋読書にぴったりだ。


探偵者におすすめしたいのが、『江戸・東京 歴史ミステリーを歩く』。空犬通信では何度も書いているとおり、ぼくは東京本、それも文庫の東京本が大好きなので、見かけると手にしてしまうんですが、この本、「歴史」「ミステリー」と、ぼくがあまり強くない、というか興味の薄いキーワードが2つも入っているので、スルーでもおかしくない本。


ところが、目次を開いてみると、岡本綺堂を取り上げた章はあるし、「乱歩の東京幻想空間を彷徨う」なんて章(書き手は、編者の三津田信三さん)はあるし、紀田順一郎さんによる「古本屋探偵、神田神保町に現わる」なんて章まで。これは買わないわけにはいきませんよね。『ワールド・ミステリー・ツアー』というシリーズの文庫化だそうですが、親本はまったく知らなかったので、ちょっとうれしい出会いです。


ルーエ ディスプレイ 徒花図鑑1ルーエ ディスプレイ 徒花図鑑2ルーエ ディスプレイ 徒花図鑑3

↑階段の踊り場のウインドウは、8/1からこのような感じになっています。芸術新聞社の新刊、齋藤芽生『徒花図鑑』がご覧の通り、大フィーチャー。よほど芸術関連雑誌のバックナンバーが充実している大型書店でもないかぎり店頭で目にする機会のない月刊誌『アート・トップ』のバックナンバーもずらり。


《本書は、絵画と同時に日々書きためている作者の詩文も収録しています。まだ37歳の作者があたかも幼い頃からのいままでの人生の旅路で拾い集め、再構成した、絵画と言葉を「図鑑」として仕立て上げた、画集であり詩文集です。》(サイトより)という本書。中身はサイトでも一部見られますが、やはり店頭で見ると、迫力や印象が違いますよ。花本氏いちおしのこの本、今月いっぱいの展示のようですので、ぜひルーエ店頭でご確認ください。


徒花図鑑平積み

↑芸術書の平台にはサイン本も。


将棋浪漫 フェア台将棋浪漫

↑フェア台では、花本氏渾身のフェア「将棋浪漫」が展開中。ただ、残念ながら、あんまり売れていないのだとか(苦笑)。さすがに将棋だと、ぼくが抜ける本もありません。小川洋子のチェス小説は持ってるしなあ。フリペ(選書リスト)もありますよ。将棋好きのみなさん、将棋に興味はあるけどよく知らないというみなさん、ぜひこのフェアをチェックしにきてください。フェアの時期は未定で、あんまり売れないと早めに片づけちゃうかも(涙)と、花本氏。



ルーエ ナオコーラさんサイン会

↑将棋フェアのお隣には、こんな案内が。8/6(河出のサイトには8/8と)発売の、山崎ナオコーラさんの新刊『ニキの屈辱』の刊行記念サイン会が、ルーエで行われるそうですよ。8/28(日)14:00から。受付はルーエの2階で、とのこと。


ルーエ やっぱり本が好き

↑文庫の新刊たちの間に、こんなコーナーが。POPのひとこと、「やっぱり本が好き」がいい感じ。面陳の『えびな書店店主の記』を中心に、左右には、『おかしな本棚』『本づくりの匠たち』、上林暁の講談社文芸文庫と夏葉社新刊、こういった本たちが、仲良く同居しています。すてき。


ルーエ棚のジャンル表示1ルーエ棚のジャンル表示2

↑「空犬さん、実はね、書店員として原点回帰することにしたんですよっ!」と花本氏。今度はいったい、どんなおもしろげなことをやらかしたのかと思って聞いてみれば、棚のあちこちに、これまではなかったジャンル表示が。これがその「原点回帰」なんだそうだ(笑)。いや、でも笑っちゃいけないよね。大事なことだもの。


ルーエはこちらが慣れすぎているせいもあって、そういう棚表示の必要性をぜんぜん感じなかったんだけど、もちろん、ルーエにだって、初めての方、たまにしかこない方、特定のジャンルの本を探している方がいるわけですからね。棚のジャンル表示は親切であったほうがいいに決まっています。仙台の金港堂のレポートや、鶴見のブックポート203のレポートでも、この種の棚表示についてふれました。派手なフェアやPOPだけじゃなくて、こういう地味なところに、きちんと手をかけるのはたしかに「原点回帰」と言えるかもしれませんね。


ルエ伝41

↑「ルーエの伝言」最新号、41号が配布中です。書店フリペの特集がニコラス・ケイジって、なんだそりゃ(笑)。実は、今回、久しぶりに空犬も寄稿することになっていたんですが、6月、イベントやら旅行やら何やらがあまりにも忙しくて、なんと、原稿を落としてしまいました……。編集者にあるまじき行為です。猛省。ルエ伝のみんな、ごめんね……。次はちゃんと書くから、また声かけてね。


というわけで、いまツイッター上でもりあがっている書店フリペとは、あまりにもノリの違う、独自過ぎる書店フリペ「ルーエの伝言」を、どうかよろしくお願いします。もちろん、フリペのコラボには不参加ですので(笑)、ルーエでしか手に入りませんが、吉祥寺に来られないみなさんで、どうしても読みたいという方は、空犬通信コメント欄にてご一報ください。



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