大型書店閉店の報、それも複数の店の閉店の報が続き、なんともやりきれない気分になっています。同一商圏に複数の大型店が共存するのが難しい状況であることはわかっていても、こうして具体的な店名があがると、やはり複雑な思いがするのです。
先般、閉店が報じられたのは、ジュンク堂書店の京都店とロフト名古屋店。いずれも2020年2月末の閉店だとのことです。それぞれ、店頭には閉店の案内を告げる貼り紙が出ているようですが、公式サイトの案内はこちら。
- 「ジュンク堂書店 京都店は2020年2月29日に閉店します」(1/11 丸善ジュンク堂書店)
- 「ジュンク堂書店 ロフト名古屋店は2020年2月29日に閉店します」(1/11 丸善ジュンク堂書店)
いずれも思い出のあるお店ですが、とくに、京都店は昔から出入りしているお店で、いい思い出がいくつもある好きな店おの一つだったので、とても残念です。関連の記事もあげておきます。
- 「大型書店「ジュンク堂」、京都と名古屋の2店同時閉店 2月末に」(1/12 京都新聞)
- 「ジュンク堂書店京都閉店!ロフト名古屋店も。時代は紙の本から電子書籍へ」(1/12 BLOGOS)
- 「書店消失 〜 私たちはどこで買い物するのか」(1/14 Y!ニュース)
- 「ロフト名古屋のジュンク堂が2月末閉店 激戦地の栄地区」(1/22 朝日新聞)
京都店がある河原町も、ロフト名古屋店がある栄も、いずれも政令指定都市のいちばんの繁華街。メガストアが複数共存していておかしくない規模の商圏のはずでした。人通りのない街でもありませんし、むしろ観光客で街の人出自体は以前よりも増えているくらいのはず。立地に問題があるわけでも、品ぞろえが悪いわけでもない。それでも、書店が維持できないわけです。
京都・河原町界隈(中高生のころから親しんできた街なので、個人的な思い入れもあります)には、(これらすべてが同時期に存在したわけではありませんが)丸善、ジュンク堂書店のほかにも、ブックファースト、紀伊國屋書店、ブックストア談/文教堂、駸々堂などなど、たくさんの新刊書店があったのになあ。気がつけば、多くの新刊書店が姿を消してしまいました。
とはいえ、アニメイト他のコミック系や古書店も含めると、今でもまだ多くの書店が残っているエリアではあると思います。でも、ジュンク堂書店京都店の退場には、やはり時代の移り変わりを感じないわけにはいかないでしょう。
京都を代表する2チェーン、大垣書店とふたば書房は、この数年も新しいタイプのお店を出すなど、それぞれ単に既存店舗を維持するだけではない取り組みを見せてくれていますが、この2チェーンには、ますますがんばってほしいものだなあと、そんなふうに思います。
ところで。今回の閉店の報、SNSなどの反応を見ていると、閉店を嘆く声に混じって、河原町も栄もすぐ近くに、大型書店まだあるじゃん、何なげいてんの、みたいな乱暴な意見も目にしました。書店なんてどこも同じ、本なんてどこで買っても同じと考えている人にはそうなのかもしれませんが、世の中にはそうでない人もいることには思いが及ばないのでしょうね。
(他の業種と比べてもせんないことではありますが)同じ町内にラーメン屋さんがいくらあっても、いくらカフェがたくさんあっても、自分が好きな店、自分がよく行く店とそうでない店はあるわけで。そういう店がなくなってしまうとき、隣にもあるじゃん、そばにもあるじゃん、他で飲み喰いできるじゃん、というのは慰めにも何にもならないんですよね。
あと、大型店の閉店ということでは、(ここではくわしくはふれませんが)在庫の処理の問題も出版業界に身を置く者としては気になるところです。