fc2ブログ

空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

YMOの重要文献が登場……『YMOのONGAKU』

YMO結成40周年ということで、アルバムのリマスターが発売されたり、音楽誌で特集が続いたりしました。本書もそうした流れで登場した1冊ですが、今後、YMOを語る際の基本文献の1つになるでしょう。




書影 YMOのONGAKU

版元の内容紹介にはこのようにあります。《レコーディング・スタッフとして『散開』までを見届けた著者が、豪華ゲストとともに解き明かすテクノ・ポップの魔法》。


著者の藤井さんは音楽プロデューサー。アルテスの公式サイトでは、《80年代にYMOのアシスタントを務めたのち、サザンオールスターズ、布袋寅泰、玉置浩二、JUDY AND MARRY、ウルフルズなどを手がけ、現在は音楽プロデューサー/アレンジャー/シンセサイザー・プログラマーとして活躍中》と紹介されています。


そんな著者が、《その後の世界のポップスを変え》た《78年のデビュー作から93年の『テクノドン』まで、YMOが発表した6枚のスタジオ・アルバム》について、当時の記録をもとに録音の様子、機材のこと、3人の関わり方をアルバムごとに詳細に解説。現場にいた人の手になるものだけあって、とにかく情報量が多く、圧倒されます。


読みやすくて情報量が多くて、YMO関連をおさえてきた読み手にとってもおそらくは新情報が多いであろう本文がいいのは当然として、加えて資料的に貴重なのが、YMO関連人脈との対談。ゲストに選ばれたのは以下の方々(肩書きはアルテスのサイトより):松武秀樹(シンセサイザー・プログラマー/作編曲/音楽プロデューサー)、飯尾芳史(レコーディング・エンジニア/プロデューサー)、砂原良徳(ミュージシャン)、木本ヤスオ(サウンド・プロデューサー/アレンジャー/シンセサイザー・プログラマー)


YMOファンは当然として、70年代末から80年代にかけての日本の音楽シーン、ニューウェーブやテクノなどのジャンル、ヴィンテージシンセ他の電子音楽機材などに興味のある方もおもしろく読めること必至です。


本書の魅力について、『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』(SPACE SHOWER BOOks)などでおなじみのプロデューサー、牧村憲一さんがこんなふうにツイートしていました。


《音楽の記録本を編纂し残せるのは、音楽を愛せる者たちだけだと、あらためて思いました。藤井丈司さんの著書『YMOのONGAKU』(アルテスパブリッシング)。YMOのすべてを一冊の本に閉じ込められるものではありませんが、間違いなく最良最高のYMOの記録本であり解説本であります》。


発売前から楽しみにしていた1冊。読み始めたら、予想通りというか予想以上におもしろくて、あっという間に読んでしまいました。あらためて音源を聴き直しながら再読しているところです。


発売前から増刷が決定するなど、音楽本としては異例といっていいほど話題を集めた本書、まだの方はぜひチェックを。なお、読むと必ずYMOの音楽を聴きたくなりますから、音源を用意して聴くのがおすすめです。



ついでに、関連雑誌特集にもふれておきましょう


書影 キーボードマガジン YMO2

以前の記事で1回目の特集を紹介した『キーボード・マガジン』のYMO特集、2019年1月号 WINTERには、YMO結成40周年記念企画の第二弾、特集「楽器で巡るYMOサウンド」が掲載されています。


《作品やライブで使用された楽器・機材を振り返り、関係者の証言も交えながらYMOサウンドの裏側に迫る》というもので、YMOのファン、とくに機材に興味のあるファンは必読の内容になっていますよ。p.35以降の機材の写真がカラーだったら最高なのになあ。


書影 レココレ YMO書影 レココレ YMO2

『レコード・コレクターズ』(ミュージック・マガジン)でも2回にわたってYMO特集が掲載されています。第一弾2019年2月号は特集「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」、第二弾2019年3月号は特集「YMO的増殖1979-2019」。



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する