今回の奈良訪問は、仕事の用事で、とほん訪問以外にはほとんど自由になる時間はなかったんですが、偶然、翌日の用事が、ベニヤ書店と豊住書店を擁する近鉄奈良駅前の商店街のすぐ近くだったため、食事の時間を利用して、この2店を訪ねてみましたよ。
ちなみに、前回、このエリアを訪問したときのことは、こちらの記事にまとめてあります。
久しぶりにベニヤ書店を、と思って勇んで駆けつけたら、なんと!お休みでした……(泣)。残念。
↑シャッターが閉まっているところを撮ってもしかたないんですが、そのまま退散もくやしいので……。
豊住書店のほうは営業していました。店頭のラックには、週刊誌や児童雑誌、地元のガイドブックなどが並んでいて、一見、ふつうの街の本屋さんに見えますが、前回の記事にも書きました通り、店内に入ると印象が変わります。
↑木彫りのかっこいい看板も、店頭のショーケース(?)も健在。店舗の上の部分(お店の方の住居でしょうか)のデザインやバランスも含めて、すてきな外観のお店です。
前回の訪問が約3年前だから、品揃え、ひょっとしたら変わっているかもなあ、とおそるおそる店内をのぞくと、うれしいことに、店内の様子は(いい意味で)ほとんどそのままでした。
教養系・学術系の本がしっかりとそろっています。新書の在庫がこの規模の街の本屋さんにはありえないほど多めになっているのも、以前のまま。岩波文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫などに棚がしっかりと割かれているのもそのまま。岩波、講談社学術、中公など、文庫の一部に「絶版」「当分重版予定なし」などの表示がされているのも、そのままでした。これらについては、前回の訪問記事をご覧ください。
人文系がしっかりとそろっている。それも、新書・選書・学術文庫などを厚めにすることで、ハードルが高くなりすぎないかたちでそろえる。いまどき大学近くの書店や大学内の生協の書店でも、このような品揃えにはなかなかできないでしょう。前回訪問時もびっくりしましたが、あらためてこのような棚を目の当たりにして、感銘を受けました。いやはや、すごいなあ。
この品揃えや文庫の絶版情報表示などは、前回訪問時にお店の方にたずねたところ、店主の手になるものだとのことでした。そのときは店主はお店にいらっしゃらなかったので、直接話を聞くことはできなかったんですが、今回は、店主とおぼしき方がレジにいらっしゃいました。
名乗って話を聞こうかどうしようか、相当迷ったんですが、仕事の用事の合間で時間もほとんどなかったため、今回はあきらめ、大急ぎで買い物だけしてきました。もちろん、ちょっとかための文庫と新書から1点ずつを抜いてきましたよ。
↑今回も書皮をかけていただきました。2007年度の書皮大賞受賞作。お店の雰囲気、品揃えにぴったりの書皮。
↑豊住書店のすぐそばにある古書店、大学堂。古い文芸書や専門書が棚を埋め尽くす、古書店らしい古書店で、雑誌やマンガ他、新古書店の店頭にありそうな最近の本はほぼなし。
品揃え的にも、また(棚前の本の積み上げ方もすさまじいため)物理的にも、当方のような素人雑本読みが気軽に手を出せない雰囲気のお店です。ちょっと気になるのは、店内に、在庫整理のため全品2割引という主旨の貼り紙が出ていたことで、これ、たしか、3年前に訪問したときにも出ていたような……。気になる本は何冊も見つかったんですが、結局1冊も買えませんでした(前回も買えなかった……)。
残念ながらこの2店で時間切れ。今回は訪問できなかったんですが、ベニヤ書店も同じ道沿いにあり、こちらも大変個性的なお店です。また、奈良には駅周辺にいくつか、新刊書店もあります。本好き本屋好きのみなさんは、奈良に用事のあるときは、ぜひこれらの書店のチェックをお忘れなく。