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空犬通信

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『推し活英語』『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』……ユニークな英語本2冊

英語はそれなりに得意だったりするもので、よほど難しいものや専門書などでない限り、原書もそれなりに読めるし、映画を観たり音楽を聴いたりを趣味で楽しむ分には十分なくらいには聞き取れたりもするので、この年になって、これ以上勉強してまで英語力を上げようなどとは思わないのですが、それでも、もともと語学をやっていたこともあり、嫌いではないこともあって、気になるテーマの語学本が目につくと、ついつい手に取ってしまうのでした。



最近、こんな語学本たちに出会いました。



書影 推し活・ホームズ

『推し活英語』は、発売前に新刊内で見かけたときから気になっていて、発売を楽しみに待っていた1冊。版元の内容紹介によれば、このような本です。《日米のオタクが本気で作った、SNSや現場で使える単語・フレーズ集。「推し」「沼」「尊い」などの330語と、「待って無理しんどい」「オタク全員好きなやつ」「実質無料」などの477フレーズを掲載》。


こうしたオタク表現、さすがに年齢的なこともあって、日々駆使しているわけではありませんが、よく見かけるし、英語でなんというかすぐには浮かんでこないものがほとんど。これは、どんなふうに表現されているのか、確認してみたくなりますよね、おたく(およびその傾向がそれなりにある予備軍)ならば。


で、のぞいてみたら、案の定、おもしろいなあ。それなりに英語を知っているつもりの読み手から見ても、知らない表現が満載で、へえそんなふうに言うんだ、へえこんな言い方をするんだ、などとあちこちで思わされています。考えてみれば、それは当たり前ですよね。何しろ元の日本語の表現自体知らないものも多いし、知っていても自分では使えない、使えそうにないというものも多いんですからね。


日本語の推し語・表現の説明もなかなかにふるっています。たとえば、「召される」だとこんな感じ。《推しや作品に対する愛情が高まりすぎて、もはや天に召されてもおかしくないような精神状態になること》。笑。「もはや」が効いています(笑)


もちろんここに載っている表現は、基本的におたく、それも(監修者が女性であることや、イラストなど本の仕立て、例文のセレクトなどの感じから総合的に察するに)女性のおたくが念頭に置かれていると推測されます。いくらこちらもおたく界に片足を突っ込んでいる身とはいえ、50代男性がTPOもわきまえずに下手に使ったりするとと、社会的な死をまねきかねないことは明白です。


まあ、そもそも英語で推し活をする機会も、これらのすてきなフレーズを駆使してコミュニケーションをとるような相手もありませんし、そもそも、「まじ神回。」とか「わかりみしかない。」とか、50男が下手に使ったら社会的な死を招くだけでなく、相手を凍死させかねないので、気をつけなければなりません。なので、当方のような高齢男性おたくにとってはその意味では非実用的な語学書なわけですが、たとえ自分では使えなくても、なんだか楽しげな例文を眺めているだけで、十分に楽しめます。


『シャーロック・ホームズ』のほうは、版元の内容紹介によれば、このような本です。《シャーロキアンでもある、稀代の翻訳者と認知言語学者が、シャーロック・ホームズの英文を徹底的に解説しています》。さらに、《本書は、名文を通して英文法の「心」に触れられる、理想の学習書です》などと、なんだか自信にあふれまくった、熱い紹介文がすてきです。


シャーロック・ホームズ関連書と言えば、しばらく前に「建築」本が出たばかりで、そちらも大変おもしろく読み、そちらも、これから正典を読み返すときの座右の書になりそうな、お役立ち本なんですが、続けて今度は英文法本が出たというわけですね。ホームズ好きは忙しい。


アメリカ文学の専門家のイメージが強い柴田元幸さんが翻訳を手がけているのもいいですね。この本を機に、柴田元幸さんによるホームズシリーズの全訳が出たりするとおもしろいのになあ、なんて妄想しながら読むのもまた一興。


ホームズ読みで、原文も含めて楽しみたい、いきなり原文はつらいけど、対訳や解説付きなら挑戦してみたいかも、という人にはおすすめの1冊です。建築本も併せてぜひ。



書影 ホームズ建築

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