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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

まさか、賞にノミネートされるとは……

もちろん喜ぶべきことであることはまちがいないのですが、なんとなく、おこがましいような、恐れ多いような、そんな気がしてしまって、この空犬通信では報告しそびれていました……。『ぼくのミステリ・クロニクル』、ミステリ関連の大きな賞、2つの候補に選出いただきました。



いずれも本の世界ではよく名の知られている賞ですから、賞自体の説明は不要ですよね。



『ぼくのミステリ・クロニクル』以外の候補作を挙げておきます。まず、日本推理作家協会賞の〈評論その他の部門〉候補作。


  • 小野俊太郎『ドラキュラの精神史』(彩流社)
  • 梯久美子『狂うひと――「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)
  • 福田ますみ『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(新潮社)
  • 四方田犬彦『署名はカリガリ 大正時代の映画と前衛主義』(新潮社)

ミステリ直球のものはあまりありませんが、その分、本の力をより純粋に問われているような感じのするセレクトで、正直なところ、この候補作のリストを見ているとため息しか出てきません……(泣)。〈長編および連作短編集部門候補作〉と〈短編部門候補作〉については第七十回日本推理作家協会のサイトをご覧ください。

続いて、本格ミステリ大賞の【評論・研究部門】候補作。


  • 鈴木智之『顔の剥奪』(青弓社)
  • 稲村文吾『現代華文推理系列』全三巻(Kindle)
  • 原口隆行『鉄道ミステリーの系譜』(交通新聞社新書)
  • 喜国雅彦、国樹由香『本格力』(講談社)

こちらは「本格ミステリ」をうたう賞ということで、さすがにミステリ直球のものばかり。当然のことながら、強力な作品、強者が並んでいて、先の日本推理作家協会賞とはまた別の意味でため息しか出てきません……(泣)


【小説部門】の候補は、本格ミステリ作家クラブのツイッター(@honkakumystery)をご覧ください。


自分が手がけた本が、賞を、それも本の世界で権威のある賞をいただけたりしたらそれはもちろん飛び上がって喜びたくなるほどうれしいことです。そして何より、この本の主役であり、当方にとっては尊敬する業界の大先輩である戸川安宣さんへの、最高の恩返しにもなるわけです。ただ、上に書きました通り強敵は多いし、誤記などもけっこう指摘されたりもしていますから、事がそう簡単なはずはありません。何より、ミステリというジャンルを愛してやまないプロのみなさんの選考の目は当然大変厳しいものでしょうから、本来であれば、ノミネートの事実だけで当方のような門外漢はもう充分に幸せな思いをさせてもらったということなんだろうと思います。


とりあえず、これ以上は何も期待せずに、選考・発表日までの日々も、当日も、ごくごくふつうに過ごすことにしようと、そんなことを今から思っていたりするのでした。


選考・発表ですが、前者は4/20に、後者は5/12とのことです。



ところで。しばらく前に、喜国雅彦さん&国樹由香さんの『本格力』を読み終えました。いやはや。これがなんというか実におもしろい! 同じ賞の同じ部門にノミネートされている本ですから、ある意味、ライバル本でもあるわけですが、そんなことはまったく関係なく、とにかく楽しく読ませてもらいました。


本書は本格ガイドとしておもしろいだけでなく、読み終わると、喜国・国樹夫妻の仲良しぶりや、わんちゃんたちの愛らしさも大変印象に残ります。そんな感想をツイートしたところ、ご本人夫妻(@kunikikuni)がツイッターで反応してくださったり、なんてこともありました。『ぼくのミステリ・クロニクル』も読んでくださっていたそうで、《「本ミス」ノミネートおめでとうございますw》なんてレスまでいただいてしまいました。


ずいぶん前ですが、空犬通信にこんな記事を書いています。この記事に書いた通り、当方は〈本棚探偵〉シリーズの愛読者、大ファンで、新刊刊行時にはサイン会に行ったりしているほどなのです(サイン本を買うことはしても、サイン会にはよほどのことがないかぎり出向いたりはしないのです)


自分が好きで読んできた本の作者夫妻と、同じ賞同じ部門に、それも同じ年同じ回に、自分の書いた本がノミネートされることになるとは。とても不思議な感じで、これがぼくにっていちばん「ミステリ」な出来事なのかもしれません。



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