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空犬通信

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蔦谷熊本三年坂、金龍堂、長崎書店……熊本書店レポート その1

すっかり遅くなってしまいました。昨年11月の初め、ブックオカ開催中の福岡の後に訪ねた熊本の書店レポートです。(取材に協力してくださったお店のみなさまには、紹介記事が遅くなってしまったことをあらためて、お詫び申し上げます。)


熊本を訪問するのは、今回が初めて。夏葉社の島田さんから、熊本の書店はいいと前々からすすめられていましたし、なんといっても、長崎書店がある街ですから、ずっと気になってはいたのです。でも、「遠い」というイメージがあって、なかなか機会を作れずにいたんですが、聞けば、新幹線に乗れば博多から1時間もかからない、というではないですか。で、今回、思い切って足をのばしてきた次第です。午前中に博多駅周辺の書店を回ってから新幹線に乗っても、昼過ぎにはついてしまいました。


改装してまもないのでしょうか、あちこちがやけにぴかぴかした感じの熊本駅をおりると、さすが全国一の人気キャラ、くまモンの姿があちこちに目につきます。JR駅と市の中心街はちょっと離れているので、JR駅からは市電で向かいました。


熊本市内の中心にある、徒歩で回れる新刊書店はひと通り見てきたんですが、今回は、うち、3店に絞って紹介したいと思います。


まずは地域の一番店にして、九州全体でも、数々のジャンル・本の売上ランキングでトップクラスに入ることも多いという、蔦谷書店熊本三年坂。


121104蔦谷 外観121104蔦谷 フロアガイド

↑蔦谷書店熊本三年坂。全3フロアのうち、書籍・雑誌は2フロア。サイズは、資料によって、400数十坪だったり、500、600坪だったりし、公式サイトでは1200坪ともあって、よくわかりませんが、3フロア全体で1200坪、書籍・雑誌売場が約500坪ということでしょうか。メインの商店街から、1本、筋を入ったところにあります。


とにかく、すごいにぎわいです。日曜日の午後に訪ねたこともありますが、店内はお客さんでいっぱい、人の流れが絶えません。とくに2階は、ぼくがお店にいた間(けっこう長い間いました)、常にレジに行列ができているような状態。お店の方に取材して、店内を撮影させてもらおうかと考えていたのですが、アポなしではとてもそれどころではなく、レジでお店の方に声をかけることすらできませんでした。いやはや。


お店は、これまでに見てきた他のTSUTAYAとは棚のイメージが異なる、独特の雰囲気で、硬軟幅広い品ぞろえ。かための本もけっこう置いてありました。さすが、地域の一番店であるだけでなく、九州全体でも売上ランキングの常連だというお店です。棚の様子をくわしく取材できなかったのが、ほんとに残念。書店好きならば、必ずおさえておきたいお店です。


次は金龍堂まるぶん店。2フロアで、260坪。市電の通りをはさんでいますが、こちらも先の蔦谷書店熊本三年坂と同じ、メインの商店街の途中にあります。後述の長崎書店とは少し離れているだけ。


121104金龍堂1121104金龍堂2

↑訪問時は改修中で、改装をしながらの営業でした。ちなみに、ぼくが訪れたのは11/4なんですが、11/10に、リニューアルオープンとなったようです。お店の公式サイトの案内はこちら。数日違いで、リニューアル後の様子を見逃してしまったわけです。ついてないなあ。サイトの写真を見ると、リニューアル後の店構えも印象的ですね。


サイトに、「日本医書出版協会認定書店・教科書特約指定店」とうたわれている通り、学参や教育書、医学書などの専門書が充実しているお店のようです。


121104長崎書店 外観121104長崎書店 外のウインドー

↑今回の熊本訪問でもっとも楽しみにしていたお店がこちら、長崎書店。商店街の中にある路面店で、100坪。ワンフロアのお店ですが、同じビルの3階に、イベントスペース「リトルスターホール」があります(坪数は、イベントスペースを含めない、店舗部分のサイズ)


(ちなみに、上の金龍堂も長崎書店も(後で紹介する喜久屋書店も)、写真がぼけぼけですが、この商店街、とにかく人通りが多くて、お客さんの流れがぜんぜん途切れないんです。長崎書店も、お店の外観だけで何枚も撮っているんですが、正面の写真は、お客さんが写っていないものはゼロ。しかも、人の流れの合間に大急ぎで撮っているので、もともと下手な写真がこのような悲惨な結果に……(泣)。以上、ただの言い訳です。)


以前から見てみたかったお店の1つだったんですが、いやはや、想像をはるかに上回るすてきなお店で、圧倒されました。このお店のすばらしさについては、あれこれと駄文を費やすよりも、写真を見ていただくのがいちばんだと思いますので、稿をあらため、へたくそな素人写真ではありますが、多めに画像をあげながら紹介したいと思います。


上に紹介した3店は、みないずれも同一商圏内、徒歩で2、3分の距離にあります。タイプが異なる店とは言え、同じ一般新刊書店ですから、決してラクではないはずです。でも、こうしたお店が共存できる街というのはいいですね。しかも、ほかにもまだ書店があるわけですからね。本好き書店好きとしては、うらやましくなります。



ちなみに、ぼくが訪問した直後の11/7には、熊本の老舗デパート、鶴屋百貨店東館1Fに、「カフェ&ブックス ビブリオテーク熊本・鶴屋」がオープンしています。サイトによれば、《居心地のよいカフェスペースに、ブックストアを併設した、人が集まる、人を集めるカフェ》というお店。実際のお店の様子を見ることはできなかったのですが、ビブリオテークは、サイトや、東京・大阪にもある他の店舗を見るかぎり、それほどたくさんの本をそろえたお店ではなく、セレクト系のお店ですから、直接は周辺の新刊書店とバッティングすることはないかもしれません。ただ、すでに書店がこれだけある街に本を置く店が新しくできるわけですから、やはり影響は気になりますね。


他にもまだ新刊書店がありますから、簡単に写真だけあげておきます。


121104喜久屋 外観121104喜久屋 看板

↑喜久屋書店熊本店。ダイエー内のワンフロア型書店、420坪。蔦谷書店熊本三年坂のすぐそばです。なぜこんなぼけぼけなのか、については、上に書きましたね(苦笑)。


121104橙

↑橙書店。表通りから少し奥に引っ込んだ、雰囲気のある小さな商店街の入り口あたりにあります。「趣味のいい本好きのリビング」みたいなお店、と言えば雰囲気が伝わるでしょうか。1階は、入り口側から見て左側の壁一面のみが本棚で、量はそれほど多くはありません。2階にはじゅうたん敷きの部屋(靴を脱いであがる)があり、そちらは、beco cafeの奥にある本棚部屋(通称「うさぎ部屋」)みたいな雰囲気。お隣の雑貨・カフェスペース「orange」は、女性客でいっぱいで入れませんでした。(しばらく待っても、お店があかず、お客さんが写ってしまうので、写真も撮れませんでした。)


複数の方からおすすめされていたお店で、人気のあるおもしろいお店だと聞いていました。たしかにすてきなお店だと思うのですが、当方の書店の好みからすると、やや本が少なすぎ、また、セレクトされすぎな感じも受けました。長崎書店や蔦谷書店熊本三年坂のような、(いい意味で)雑多な、いろいろな本に出会える書店、自分は興味がないと思いこんでいるジャンルの本も置いている、非セレクト系な新刊書店のほうが、自分は好きなんだなあ、自分には合っているのかなあ、などと、お店を出た後に思いました。


橙書店は、先日、記事で取り上げた、『わたしのブックストア あたらしい「小さな本屋」のかたち』で店内の様子がくわしく、写真入りで紹介されていますので、興味のある方はそちらをチェックしてみてください。ちなみに、同じ記事でふれた『HUgE』2013年2月号(講談社)には、次の記事でくわしくふれる長崎書店の長崎さんも寄稿しています。1頁の文章ながら、長崎書店がどんなお店で、どんなことに取り組んでいるのかがよくわかる一文になっていますので、ぜひそちらもお読みください。


次回は、その長崎書店さんのレポートを続けます。



追記(1/16):記事で紹介した金龍堂のリニューアルの様子が新聞で紹介されていました。「郷土の本ずらり8千冊 熊本市・金龍堂まるぶん」(1/16 くまにちコム)。《「郷土の本コーナー」を拡充。売り場面積を約100平方メートルと県内最大級に広げた》。《「郷土の本コーナー」は、「より地域に根差した書店を目指す」との目的で昨年11月に拡充。これまでの約8倍の約8000冊を扱う》とあります。郷土本だけで約30坪ですから、小さな書店ぐらいのスペースをとっているわけですね。すぐそばの長崎書店の郷土本コーナーが、小さいながらすばらしい棚だったと紹介したばかり。これは強力なライバルになりますね。1週間違いでリニューアル後のお店の様子を見逃してしまったのが、ほんとに残念です。


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