先日、出張で大阪と京都に行ってきました。大阪と京都に分けて、簡単にレポートを。まずは、大阪編から。(以下、写真と店内の様子は、大阪が8/21、京都が8/22時点のものです。)
今回は、いつも以上に空き時間が少なかったので、数を回るのはあきらめて、最近の新店で訪問できていなかった2店、三省堂書店ルクア大阪店とスタンダードブックストア茶屋町、そして、建て替えのために年内で閉店することになった旭屋書店本店の計3店を中心に見てきました。まずは、三省堂書店ルクア大阪店。
オープン時は大変なにぎわいが新聞他で報じられていたルクア。訪問したのが日曜の昼時だったこともあり、お客さんでいっぱいでしたね。三省堂書店は9階にあります。

↑商業施設内のお店なので、写真はエスカレータあたりからの1枚のみ。
施設自体が新しいことに加え、奥に窓の開放部があるせいか、とても明るくてきれいな印象のお店です。第一印象は、三省堂書店の他のお店でいうと札幌店のような感じかな。広さは255坪。札幌ほど大きくはないのですが、明るくて開放的な造りのせいか、数字よりも広く見えますね。お客さんは女性が多い感じだけど、それはこのお店に限らず施設全体の傾向でしょう。家族連れがもっと多いかと思ったけど、全体のにぎわいからすると子どもは少なめ。店内がにぎわっているだけに、コミック売り場に人が少ないのが目につく、という感じでした。
着いていきなりフリペコラボのウォールポケットが目に入りました。おお、ここでもやってるやってる。初めて見るフリペも発見、うれしいなあ。ルクア大阪店独自のものもあるんですね。フリペについては、後日まとめて紹介します。
フリペコーナーの近くにあるお店の売上ランキング(客層などを見るのに重要な情報ですからね)を見ると、売れ筋の本がふつうに並んでいるのですが、トップが上沼恵美子夫妻の本だったりするところが、おしゃれビルのなかにあってもやっぱり大阪だなあと、うれしくなってしまいました(笑)。
とくに、文芸コーナーに顕著ですが、店内の平台では、POPが目立ちます。美しくデザインされた台紙に、きれいなこまかい字でぎっしりとコメントの詰まったPOPがあちこちにたくさんあって、見ていて楽しい。三省堂書店京都駅店から異動された中澤めぐみさんの手によるものでしょうか。面識があるわけではないし、担当ジャンルも違うので、眺めるだけにしましたが、ああ、誰か知り合いがいれば写真を撮らせてもらえたのに!とちょっと残念。そうそう、京都と言えば、話題の文芸書の一画には、京都水無月大賞の南伸坊さんの本、『笑う茶碗』がPOP付きでジャーンと積まれていましたよ。
文庫の棚の奥は、窓になっていて、窓から駅と線路、ルクアと伊勢丹側をつなぐ(で、いいのかな)アトリウムを見下ろすことができて、なかなかいい感じ。後述する、旭屋書店本店は鉄道関連が充実したお店として有名なお店ですが、同店が閉店した後は、ここが鉄道本の聖地になったりしたらおもしろいのになあ、などと窓から駅を眺めつつ、暢気なことを考えたりしました。ぼくはあまりその方面は強くないのですが、駅や線路が見えるだけでうれしい鉄道好きの方もいると聞きますからね。
お店には、カフェ(スタバ)が隣接、そちらにも書棚があり、ブックカフェスタイルになっています。書店とカフェの境の棚には、写真集他のおしゃれ系の本(フロアガイド上では「アート/絵本」)が並んでいました。
商業施設の雰囲気に合わせつつ、さりとて、セレクトショップ的な品揃えには走らず、全ジャンルをカバー、幅広い客層に対応した、敷居が低くて居心地のいいお店になっているように感じました。大阪駅周辺のお店とも違う雰囲気になっていて、いいお店だと思いましたよ。
次は、茶屋町へ移動、開店前から楽しみにしていたスタンダードブックストア茶屋町へ。

いいなあ、この感じ。ミナミのお店ともちょっと雰囲気が違っていて、こちらはこちらで、にぎやかで楽しいし、お店が明るくて(店内の照明はちゃんと節電モードになっているにも関わらずそう感じさせる、の意)、棚が見やすい。本のセレクトや扱うジャンルにはヴィレッジヴァンガードと似ている点もあるけど、同じ雑貨を扱っていても、こちらのほうが「本屋さん」の感じが強いですね。いい意味でのごちゃごちゃ感と、すっきりと見せるディスプレイのバランスがうまくとれているんでしょうね、きっと。
ちょうどお昼どきだったので、席はないものとあきらめていたんですが、なんと座れてしまいました。ラッキー。と思ったら、楽しみにしていたカレーは、ご飯が切れているとかで食べられず。運がいいんだか悪いんだか、よくわかりません(苦笑)。でも、ホットドッグをおいしくいただいたので、いいんですけどね。
日曜のランチタイムなのに、ぼくが店内にいたときはBGMがずっとブルースでした。How blue can you getとか聴きながらのランチはなかなかいいもの(←ブラックミュージック好き)ですが、一般のお客さん的にはどうなんだろう(笑)。
ランチの前後は、店内の本を席で読ませてもらったんですが、こういう、店内の商品を席で閲覧できるタイプのブックカフェはちょっと緊張しますね。ホットドッグのチリソースをはねたりしないか、表面に汗をかいたコップの水滴を落としてしまわないか、などなど。自分が本を作る側の人間でもあるせいか、やっぱり飲食中に売り物にふれるのはとても気を遣ってしまうので、飲食中は自分の本にして、店内の本を見るのは、飲食の前後にするほうが、気を遣わず、本をゆっくり見られますね。
店内の本のセレクトは、いかにもそれらしいものなんですが、お店の入り口すぐ、メインの平台の1つに、新潮文庫の夏の100冊があるのが、目を引きます。3社のうち、夏文庫はこの新潮文庫だけ。店内の他の棚には、出来合のフェアを展開しているところはないので、ちょっと意外な感じでした。何かの戦略なのかな。
本のセレクトのノリが合う人なら、いくらでも長居できそうなお店です。これから訪ねる方は、ぜひ時間に余裕を持ってどうぞ。
最後は、旭屋書店本店を。


↑今さら写真を撮る必要もないほどなじんだ入り口だけど、もしかしたら最後になるかもということでパチり。

↑閉店告知の貼り紙。

↑入り口で冷たい水と冷たいおしぼりを配っていました。書店の入り口でチラシやら販促品やらを配っていること自体はめずらしくないけど、お水とおしぼりはめずらしいのでは? 長く書店好きやってますが、初めて見る光景です。
旭屋書店本店、今回はを上から下まで、たっぷり見てきました。年内にはもう来られないだろうから、今の姿のお店を見るのは、おそらく最後になるだろう、ということで。そう思うと、いつもは楽しい書店内探索も、なんだか急にさびしいものに……。
ふだんはとばしてしまう売り場・フロアもけっこうおもしろいんですよね。ジャンルの配置ってお店によって異なりますし、偶然、おもしろい組み合わせのものが隣り合わせになったりすることがありますが、マルチフロア店の場合、(場所的な問題でそうせざるを得ないという場合が多いのでしょうが)ワンフロア店以上に、おもしろい組み合わせが生まれたりすることってありますよね。
たとえば6階。エスカレータで上がるとフロア案内の看板が最初に目に入るんですが、その看板が
電気・コンピュータ
女性アイドル写真集
ってなってるんです(笑)。女性アイドル写真集の棚を除くと、専門書、それもかための理工書が並ぶフロアに、自然の写真集ならともかく、アイドルの写真集ですからね。フロアのバランスもおもしろくて、物量的には圧倒的に少ないはずのアイドル写真集の棚の存在感が半端じゃなくて(笑)。この組み合わせは、ほんと、いいですよねえ(笑)。フロア案内など見ない、というお客さんも多いでしょうから、知らないで見ていていきなりこの棚が出てきたら、びっくりするだろうなあ。
5階もいいですよ。医学関係と芸術書が並ぶフロア。医学書はさすがに縁がないので、ふだんは見ることがあまりないんですが、東洋医学の平台なんて、素人が見てもおもしろいなあ。じっくり見てしまいましたよ。芸術書の棚を端から眺めていて、モデルのポーズの本はここかあ、なんて見ていたら、いつのまにか、基礎医学の解剖関連書につながっていたりして、ジャンルが変わっていたことに気づかされたり(笑)。この流れ、わざとかなあ、偶然かなあ。いずれにしても、おもしろいよね。芸術書の棚の先、医学書の平台に置いてある人体模型が目に入ったりするんですよ。わざとならすごいな。
得意のジャンルの本ももちろんチェック。同じフロアの映画書の棚にあ、ちゃんと「特撮」の棚があり、数こそお店の規模からするとそれほど多いほうではないんですが、セレクトがいい感じ。そういえば、同じフロアでは、平成ライダーのグッズ扱ってたなあ。あと、医療関係の本が並ぶワゴンに、講談社の「ウルトラ怪獣DVDコレクション」が同居していたりもあったなあ。スペースの活用なのか、組み合わせの妙を楽しんでいるのか。もちろん、お客さんが探せないようなジャンル分けや配置は困りますが、こういう「遊び」はいいですよね。店内を散策していて、実に楽しいです。
このお店に来たら、7階も見ておかないとね。大阪で鉄道本と言えば旭屋書店本店。と言っても、ぼくはこのジャンルぜんぜん知らないのですが、知らなくても、この一画の雰囲気が他とまったく違うものになっていることや、棚のぎっしり感がすごいことはすぐにわかります。この日、店内でもっとも混雑していたのが、このコーナーでした(笑)。わからないなりに棚を見ていくと、本以外の商品(模型とか)が多い。そんななかに、特撮リボルテックが混じってたのがおかしい。これは、先の特撮棚の近くにあってもいいと思うんだけど、客層的には、こちらにあったほうがいいという判断なんでしょうか。プレートも何もなしで、鉄道関係の間におさまっているのがなんともいい眺めで、思わず笑ってしまいました。
最後に、一階のおすすめ本コーナーで、おすすめ本と、フリペ「おすすめ本処かわら版」をチェック。吉っ読のイベントでこのフリペを紹介する際にお世話になった担当のYさんは残念ながらお休みで会えず。せめても、と思い、おすすめ本にはさみこまれたコメント(「ひとこと言わせて」というしおり状の紙がはさみこんである)をチェックして、Yさんがおすすめしていた本をゲット。コメントの紙はレジで抜かれてしまったんだけど(POPと同じ扱いですから、当然ですね)、あの紙、欲しかったなあ。
同店にずっと通ってきた客なのに、今のお店での最後の買い物が文庫1冊……(泣)。時間と荷物を気にしているうちにこうなっちゃったんですが、それならいっそ、送料無料額までまとめ買いしてくればよかったと、今になって後悔しているところです。まだ年末の閉店までしばらくありますが、残念ながら、再訪の機会はないかもしれません。お店がなくなってしまうわけではないことはわかっていますが、今のお店の姿でなくなってしまうことはたしかですから、少し早めに書いておきます。旭屋書店本店の関係者のみなさま、これまで長い間、大阪の本好きに、すてきな売り場を、本との出会いの場を提供してきてくださり、本当にありがとうございました。新しい旭屋書店本店を訪問できる日を、今から楽しみにしています。
旭屋書店本店は大阪・梅田の、他のどのお店とも似ていない、ユニークなお店です。大阪の本好き書店好きはもちろん、大阪を用事で訪れる機会のある本好き書店好きのみなさん、同店をぜひ訪ねてみてください。そして、ふだんのぞくことのないフロアも含めて、同店の今の姿をたっぷり見ておいてください。もちろん、買い物もぜひお願いします。あと、フリペの入手も忘れずにね。
……例によって長くなってます。まだ大阪編、続きがあるんですが、いったん記事を分けます。