先日の記事でリストアップだけしておいた、書店の開店・閉店に関するあれこれ。後日補足といいながら、ほったらかしですみません。さらに追加したうえで、それぞれにちょっと補足したいと思います。長いです。
- 「北見の老舗、福村書店破産申請へ 負債5.6億円」(7/7 北海道新聞)
- 「モスがコーヒーショップ展開 駅ナカ、空港、書店併設店舗も視野に」(7/22 オリコン)
- 「岡島にジュンク堂 10月進出 売り場、県内書店最大/文具の丸善も併設」(7/24 朝日新聞)
- 「信州・取材前線:旧市街に書店次々(その1) 善光寺や県庁近くで3店 /長野」(7/23 毎日新聞)
- 「信州・取材前線:旧市街に書店次々(その2止) 個性的な店舗作り /長野」(7/23 毎日新聞)
- 「7/31【閉店】島森書店大船店」(7/26 開店・閉店.com)
- 「新橋店 閉店のお知らせ」(7/15 書原)
- 「茗溪堂お茶の水店の お知らせ」(7/20 茗溪堂on the Web)
- 「JR札幌駅「パセオ」、9月第2次改装で道内初18店を誘致」(7/27 日経新聞)
- 「りーぶる天神、ショッパーズ福岡専門店街閉店で移転リニューアル」(7/28 天神経済新聞)
- 「「TSUTAYA」にフランチャイズ加盟ヘ 書店チェーン「啓文社」 広島」(7/29 産経新聞 )
まずは北海道・北見の福村書店の件から。《【北見】北見の書籍販売の老舗、福村書店(下斗米ミチ社長)は6日、事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。近く釧路地裁北見支部に自己破産を申請する。信用調査会社の東亜リサーチ(北見)によると、負債総額は約5億6千万円の見込み。》
創業は昭和23年ですから、半世紀以上続いていたお店だったんですね。北見には、この空犬通信でも紹介済みですが、コーチャンフォーの新規開店が決まっています。
次は、モスバーガーの件。《モスバーガーを展開するモスフードサービスは21日、セルフスタイルのコーヒーショップ『MOSUCO(モスコ)』を新たに展開すると発表した。30日に東武東上線成増駅構内に1号店をオープンし、駅構内や空港、書店併設など、今までモスバーガー店舗の出店が少なかった場所を中心に、2012年度までに5店舗の出店を目指し、検証を行っていく。》
気になるのは、この「書店併設」の部分ですよね。どんなふうになるのかなあ。などとツイッターでつぶやいたら、いろいろ反応があって、「スタバに対抗するのか」などといった意見のほか、「飲食店併設の本屋では買う気が起きない」「本が心配」「手が汚れそう」といった、飲食と書店が共存するブックカフェスタイル自体に抵抗があるという意見も。あと、書店部分はどこかと組むことになるのでしょうから、どの書店か、というのが気になりますよね。
次は、いろいろな意味で今年も話題のたえないジュンク関連を。
《書店大手のジュンク堂書店(本社・神戸市)が10月中旬、甲府市の岡島百貨店に進出する。売り場面積約2600平方メートルは県内書店で最大。会社設立75周年を迎え、集客力を改善したい岡島が、専門書の品ぞろえに定評があるジュンク堂側に出店を打診していた。》
記事にもあるとおり、甲信地区初出店となる今回の件。2600平米と言えば、坪換算で約780坪。これは、3月にオープンした博多の丸善と同レベルですよ。九州の「玄関」で、商圏の規模や勢いの点でもずっと上と思われる博多はともかく、甲府に800坪弱? うーん、大丈夫なのかなあ……。
《今秋にある岡島の大型改装に合わせて撤退する6階の三省堂書店(東京)の後継テナントだが、売り場面積は三省堂の約3倍になる。》《同じ大日本印刷グループ傘下の文具店、丸善書店(東京)も約260平方メートルの店舗を構えることで、6階フロアをほぼ埋め尽くす。》
先日の記事で大きく取りあげましたが、CHIグループは、丸善の人員削減が報じられたばかり。グループ内の別会社の話で、直接の影響はない、ということなのかもしれませんが、同じグループで、一方は人員削減、一方では超のつく大型出店、それも複数となると、よけいなことかもしれませんが、ほんと、大丈夫なのかなと思わざるを得ませんよね。《巽賢司・岡島社長室長は「郊外店と差別化できる。地域に文化を発信していきたい」と話す。》……もちろん「地域に文化を発信」する方向にすべてのことが進めばいいのですが……。このほか、丸善/ジュンク関連では、仙台についてもちょっと噂を聞いているのですが、まだ噂レベルのことなので、情報確認できたら、また紹介したいと思います。
なお、記事にもある現テナントの三省堂書店の甲府岡島店は、9/15に閉店となるそうです。「【甲府岡島店】閉店のお知らせ」(三省堂書店公式ブログ)
その甲府・岡島の書店が、先日、新聞で取りあげられていました。「やまなし百年企業 朗月堂 書籍販売」(7/28 朝日新聞)。
《県内の書店業界はいま、甲府市中心部の岡島百貨店6階に10月に進出することが決まったジュンク堂書店の話題で持ちきりだ。/全国ブランドの知名度はもとより、約2600平方メートルの売り場面積と約80万冊の圧倒的な品ぞろえは、市内にある県内最大書店、朗月堂書店を上回り、同業他社には脅威に映っている。/だが、運営会社朗月堂の須藤令子社長(41)は「何も脅威ばかりではない」と言い切る。》
先に福村書店を「老舗」としたけれど、こちらは明治創業の、文字通りの老舗。地元で長くがんばってきたお店が、今回の超大型出店をどんなふうに受け止めているのか、その前向きな感じがとてもよく出た記事になっているので、関心のある向きはぜひ元記事を。
次の長野の記事は、正確には、古書店関連のニュース。《長野市の善光寺門前や県庁近くの旧市街地に6~7月、古本などを扱う書店が相次いで3店オープンした。共通するのは、古い商店などの建物を利用し、個性的な趣向の改装を加えて新店舗にする「リノベーション物件」。しかも、経営者は3店とも30代だ。インターネットの普及で、紙の書籍も敬遠されがちな時代……。更に若い感性がなぜ、古い建物のリノベーションに向かうのか。3店を訪ね「温故知新」の店の魅力を探った。》という記事。遊歴書房、Book&Cafeひふみよ、ch.booksの3店が紹介されています。
大船の島森書店は、残念ながら訪問したことがないお店なのですが、この件をツイッターで流したところ、いくつか、閉店を惜しむ声が寄せられました。それらから察するに、大きくはないながらも個性的で、かつ、地元のお客さん目線の品揃えで、地元の書店として愛されてきたところのようですね。開店というと大型店で、閉店というと、こうした街の中小の書店、ということに、ついついなりがちなんですが、ほんと、さびしいものです。
次の書原の件以下の記事は、先の記事一覧をあげてから判明したものですので、それらは、記事を分けて紹介します。