閉店間際のジュンク堂書店新宿店と紀伊國屋書店本店とを散策。その紀伊國屋1Fの奥、SFの棚前で、なぜかこんな本たちが平積みになっているのを発見、なんだか妙にうれしくなってしまいました。
この3冊、大好きなんですよ。クラシックSFに出てくるレトロ・フューチャーな世界をこよなく愛する空犬にとっては、チープでけばけばしくてバタくさくてばかばかしいレトロSFアートを集めたこの3冊はまさに愛読書、何度眺めてもあきません。
よく見ると、POPが立っています。「追悼野田昌宏」。そう、記事で取り上げそこねていたんですが、「SF作家の野田昌宏さん死去」だったんですよねえ。10日ほど前のことでした。メジャーとは言い難いせいか、追悼フェアなんてぜんぜん見かけなかったのに、こんなところで出会うとは。
昨日楽しいお酒を飲む機会があったもので、その続きで今日も終日多幸感に包まれたまま、地面から3センチぐらいのところをふわふわと過ごしているんですが、この発見でますますいい気分、独り麦酒を1杯だけぐいっと飲って、ごきげんで帰宅したのでありました。
さて、今日はこんな古本をピックアップ。
- 篠田一士『読書三昧』(晶文社)
「犀の本」シリーズの1冊です。前回も晶文社の本を取り上げましたが、1983年刊のこの本なぞは、装丁といいテーマといい著者といい、小降りな造本といい、まさに往年の晶文社テイストの本という感じですかね。
篠田一士と言えば、『二十世紀の十大小説』(新潮文庫)ほかの評論や訳書を見れば一目瞭然ですが、フォークナーにボルヘスに吉田健一にと、カバーエリアの広さはただごとじゃないわけで、さぞや本に、そして書店にどっぷりの生活に違いない、なんて感じがします。実際、本にはどっぷりのようですが、先の本、冒頭の一編は意外にもこんな文章で始まります。
《原則として、本屋へは入らないことにしている。》
ええーっ? そうなんですか。
よく読めば、別に本を買わないという話ではなく、ひいきの書店に注文すれば用事が済むからわざわざ行かないということのようなんですが、それにしても、本屋さんに行かないなんて言い切っちゃってるのは意外です。3編目も
《この十年来、洋書屋へ入ったことがない。》
と書き始めていますから、書店に無縁の生活だったことをよっぽど強調したかったんでしょうか。
書店に行かないと落ち着かないような生活を送っているこちらからすれば、なんだかもったいないような話ですが、篠田先生に言わせれば、書店巡りに時間を使って、肝心の読書の時間が削られているぼくのようなタイプは、とうてい読書人とは言えないことになるのかもしれません。うむむ……。
◆今日のBGM◆
- OST『The Harder They Come』
遠くに住む友人のこの曲を贈ります。
- You can get it if you really want
You can get it if you really want
You can get it if you really want
But you must try, try and try
Try and try, you'll succeed at last
("You can get it if you really want" by Jimmy Cliff)