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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ブックンロールのこと

「ブックンロール2015」が終わって、なんとなく放心気味の空犬です。


イベント当日は、冒頭、ブックンロールがどんなイベントで、どんな思いで企画したものなのかを、主催者からの「あいさつ」として、少し、おしゃべりさせていただきました。何も、大した話をしたわけではないのですが、なにゆえこんなイベントを続けてきたのか、ということにふれたものになっていますので、当日参加しなかった、できなかった方にも読んでいただけたらなあ、と思い、また、自分の覚え、記録の意味も含め、そのときの下原稿を挙げておきます。


(なお、当日は原稿をそのまま読み上げたわけではありませんので、会場で聞いてくださったみなさんならお気づきの通り、実際のあいさつとはあちこちが違っています。ご了承ください。また、会場のシステムの紹介や案内などの部分は割愛してあります。)




「ブックンロール」の主催者の空犬太郎と申します。「空犬通信」というblogで主に新刊書店に関する情報を発信したり、本・書店・出版関連のイベントを企画・主催したり、ときどき本や雑誌に本屋さんに関する文章を寄稿させてもらったりしています。昨年は『本屋会議』という本を共著で夏葉社から刊行しました。本日は、司会進行をつとめさせていただきます。最後まで、よろしくお願いします。


ライヴとトークを始める前に、このイベント「ブックンロール」について、簡単にご案内させていただきます。


本の世界というと、二言目には不況だ苦戦だ閉店だと、そのような話ばかり読まされたり聞かされたりすることが多くなりました。すっかり斜陽産業の代表のような扱いです。


たしかに、本が以前ほど売れなくなり、市場規模が縮小しつつあるのは事実だと思います。ただ、それでも、いまも日々、たくさんの本が刊行され、多くの本好きの人たちが本を手にしています。平均すると毎日1店閉店しているなどとされる書店も、減っているとはいえ、1万数千店あるわけです。これは世界的に見ても、人口比を考えれば、決して少ない数字ではないわけです。


本を、書いたり、作ったり、売ったりする側がしょんぼりしていてはいけない……そんなふうに思い、ならば、そのしょんぼりしていない連中がどんなことをしているのか、どんなことを考えているのか、イベントのかたちでみなさんに聞いてもらおう、見てもらおう、ついでに、そういう連中はけっこう楽しんでやってもいるんだよ、というところも見てもらおう、ということで、このような、トークにライヴをくっつけたイベントを考え出しました。2010年のことでした。


最初は50人規模で始めた小さなイベントでしたが、何がよかったのか、ここ数回は、百数十人の方にお集まりいただけるような規模になりました。ある年は、キャパ50人の会場に、180人ものお客さんが集まってくださったこともありました。


このブックンロールですが、イベントの骨格や、出演者やテーマは、基本的にわたくし空犬が考え、企画してきたものです。ただ、全部を独りでやってきたのだなどと偉そうに言えるものでは決してありません。たくさんの出版関係者、書店関係者など、本の世界に関わるみなさんの善意に支えられ、協力していただけたことで成立してきたイベントです。


その意味で、これまでイベントに出演してくださったみなさんには、なかでも、地方から駆けつけてくれた、盛岡、さわや書店の田口さん、熊本、長崎書店の長崎さんのお二人には、本当にいくら感謝しても感謝したりないくらいです。出演料や交通費なしでみなさんに出演をお願いしてきたイベントです。それまでは関東近郊の知り合いにだけ出演をお願いしてきたのですが、お二人の話をどうしてもブックンロールのお客さんに届けたくて、あるとき、図々しくも出演をお願いしました。当方の出演の誘いに、お二人は、まさにふたつ返事でOKをくれました。出演料の有無も交通費の有無も何も確認せず、いっときも迷うことなく、です。残念ながらこの会場にはいらっしゃいませんし、直接ことばを届けることもできませんが、お二人はとくに名前をあげて、お礼を言いたいと思います。


出演者のことでいいますと、最初にお断りしておくことがあります。今回の人選は、最後の回ということで、過去に出演してくださった方のなかから空犬が選んでお願いしました。来月、リブロ池袋本店が閉店になるということで、そのタイミングに合わせてわざわざ辻山さんを指名したのではと思われた方もいるかもしれませんが、辻山さんにお願いをしたのは、閉店の件がWebで話題になったり報道されたりする前のことです。もちろん、内田さん、笈入さんにお願いをしたのも同じタイミングです。


今日の話のなかで、書店の閉店の件などに話題が及ぶこともあるかもしれませんが、ただ、リブロ池袋本店の件を話題のメインにするつもりはありませんし、この場で、閉店の裏事情や跡地に入る書店がどうこうなどのゴシップ的な情報を披露するつもりもありません。そのような主旨のトークではないのことをどうかご理解いただければと思います。


さて、そんな出演者のみなさんに支えられて実現してきたブックンロールですが、このイベントに刺激を受けてくださったのか、楽しんでいただけたのか、他の地域でもやりたい、または、やってほしい、などといってくださった方もいました。空犬が他の地域で開催することはありませんし、そもそも無理だと思いますが、そのように自分たちのお店の近くでも、自分が住むエリアでもイベントを、と思っていただけたのだとしたら、とてもうれしい話です。


個人が企画して、出演者と場所を確保し、音楽や詩を楽しんでいる仲間を数人見つければ、成立するイベントです。それほどハードルの高いものではありません。一箱古本市が全国に広がったように、地域ブックイベントが全国に広がったように、この種のイベントも、地域やかたちや関わる人を変えて、続いていったらこんなにうれしいことはありません。


あいさつが長くなりました。最後にこのTシャツの紹介を。名古屋にON READINGという、すてきな本屋さんがあります。そのON READINGの方が、こんなTシャツがあることを教えてくれました。


THE BOOKS ARE ALLRIGHT


本は大丈夫。


ブックンロールのときには必ず着ていた、吉祥寺の書店仲間と作ったオリジナルTシャツがあるんですが、みなさんと、この思いを共有したくて、昨年同様、今日もこちらのTシャツを着てきました。


THE BOOKS ARE ALLRIGHT


イベントが終わって帰るときには、みなさんにもそんなふうに思っていただけるような、そんなライヴとトークにできればと思います。長時間のイベントになりますが、最後までお付き合いください。


コメント

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  • 2015/06/29(月) 19:30:24 |
  • |
  • #
  • [ 編集 ]

ありがとうございました

コメント、拝見しました。
ありがとうございました

  • 2015/06/29(月) 20:55:33 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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