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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

神保町公式ガイド、毎日ムック、瑠璃玉……今日買った本たち。

おそらく「お好きな席にどうぞ」というつもりだったんだろうなあ。お昼に入ったお店でのこと。ぼくより後に入ってきた人が、お店の人に「大好きな席にどうぞ」と案内されていた。文字で1つ、音で2つしか違わないのに、とたんに、なんかすごーく楽しそうな雰囲気になるから不思議だよね(笑)。「お客さま、大好きな席にどうぞっ!」「はいっ! もう、よろこんで! ああ、この席、もう大好きっ!」みたいなさ。えっ、そんなことない? ないか。ないよね……。


さて。今日、お昼休みに買った本たちです。


  • 神田古書店連盟『神保町公式ガイド Vol.1』(メディア・パル)
  • 『神田神保町古書街2011』(毎日新聞社)
  • 津原泰水『瑠璃玉の耳輪』(河出書房新社)




空犬通信で紹介しておきながら、先週買いそびれていた『神保町公式ガイドVol.1』、やっと買えました。神保町の書店では、当然のことながら、あっちでもこっちでも平積みでした。新聞でも、先日紹介した東京新聞のほかに、読売新聞でも取り上げられてましたね。「神田古書店 初の公式ガイド 全158店網羅 「宣伝嫌い」店主も口説く」(9/24 読売新聞)。


《「世界一の本の街」を形成する神田古書店連盟がつくった 正真正銘の神保町公式ガイド!》をうたうだけあって、なかなかのボリューム。200頁超で、オールカラーで1200円はお得感あり、でしょう。これまで取材を受けてこなかったお店も取り上げられているというから、隅々までじっくり読んでみなくちゃね。


一方、毎年恒例の感のある毎日新聞社版のムック。これまでは、神保町のガイドといえば、このムックだったんですが、今年は公式の出現で、しかもあちらのほうが値段が安く、しかも分量も情報量も多いとあって、苦戦が予想されそう。単に発売日の関係だったのかもしれませんが、今日のお昼に各店をのぞいた印象だと、公式ガイドに比べると、神保町新刊書店での扱いもやや地味め。


ただ、こちらはこちらで良さはあるんですよね。巻頭の著名人古書店街ルポ、去年は、木村綾子さんと、知名度や本好きへの訴求力の点でちょっと地味な印象のあった人選でしたが、今年は角田光代さんと幅允孝さんで、アピールの点で問題なし。網羅性では公式ガイドにかないませんが、セレクトされたこれぐらいがちょうどいい、という方もいるかもしれません。それに、何より、ずっと神保町のガイド本を出し続けてくれたのは毎日新聞社ですから、その意味でも、やはり毎日ムックは応援したい。


ツイートやWebを見ていると、公式ガイドについて、「うるさい」「はしゃぎすぎ」などの感想もあるようでした。おそらくは、巻頭の特集、「古本と恋をめぐる一週間」他の特集記事などの印象が好悪を分けているのでしょうが、たしかに、個人的な好みからいっても、「古本と恋をめぐる一週間」のようなタイプの記事は要らないかな(苦笑)。


まあ、そのあたりは、多分に好みの問題。タイプこそ違えど、両者がいずれも神保町のガイドとしての魅力を備えているし、本好きには便利このうえないガイドであるのはたしかなので、店頭で比べ読みしてみて、気に入ったほうを買うのがいいでしょう。もちろん、ぼくのように、両方買うという手もありますよ(笑)。というか、ディープな古本者はぜひそうしていただきたい。


津原泰水さんの『瑠璃玉の耳輪』、三省堂書店神保町本店で、サイン本を買ってしまった。津原さんのサイン本は初めてではないんですが、なんというか、ダイナミックな字で、かっこいいんですよね。ちょっとうれしい。


さて、もともと映画の脚本として書かれたという尾崎翠の作品がベースになった作品。昭和初期の“探偵”小説の雰囲気が濃厚、つまり空犬好み、ということですな。この雰囲気、この感じ、まさに秋の夜長にぴったりな作品ではないですか。尾崎翠版は、全集の下巻、↓こちらに収録されてますよ。




津原さん、好きな作家で、これまでの作品もだいたい読んでますが、なにしろ前作『バレエ・メカニック』が、幻視者の真骨頂が発揮された、こちらの予想をはるかに超えるすさまじい傑作だったので、当然今作にはがぜん期待が高まります。楽しみだなあ。




というわけで、帯に踊る《探偵小説》《夜想》《猟奇》《魑魅魍魎》《阿片窟》《掏摸》《生人形》……このような文言たちに心踊らされる嗜好の持ち主なら、間違いなく“買い”の1冊だと思います。ちなみに、サイン本、神保町だと、三省堂書店神保町本店1F文芸書の平台、東京堂書店のサイン本棚に、今日の昼の時点ではそれぞれ数冊、在庫がありましたよ。



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