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オランダ(Ⅲ)

 全治4週間のはずのデ・ヨングが出場してメッシをマンマークするだろうという予想はあたった。結果論ではあるけれども、その選手起用がオランダに致命傷を与えることになってしまった。
 そもそもメッシの調子はよくなかった。あの出来ならば、負傷上がりのデ・ヨングでなくとも抑えられる。アルゼンチンは緊張感のあるよいゲームをしたが、それはメッシを除く10名の献身的なプレーによるものであった。しかし、勝敗を決したのはやはりメッシであったのかもしれない。かのファンハールでさえメッシの存在に過敏になり、デ・ヨングにメッシ封じを託したのだから。
 デ・ヨングを使うべきではなかった。好調時のデ・ヨングならば、これ以上頼もしい存在はいない。しかし、アルゼンチン戦のかれは本来の力を取り戻していなかった。実際、後半17分にクラーシと交替を強いられる。 クラーシはオランダの中盤にリズムを与え活性化させたが、ここで1枚のカードを切ったことが後々おおきく響く。
 後半17分までに、ファンハールは2枚のカードを切った。嫌な予感がした。ファンハールにしては、動きが早すぎるように思えたのである。延長戦になって、焦点はただ一つ。ペルシーを下げるのか、あるはまたコスタリカ戦と同様にキーパーを交替させるのか。

   柳の下に二匹目の泥鰌はいないさ・・・

 わたし自身そう思ったし、ファンハールも同じように考えていたような気がする。コスタリカ戦と同じ采配をしても、PK戦に勝てるとは限らない。あんなものは博打だ。
 延長前半6分、ファンハールはついに決断を下した。ペルシーを下げ、フンテラールを投入したのだ。テレビの画面はクルルの表情を何度も映した。まるで映画の伏線のようだった。ファンハールはPK戦を捨て、120分以内での勝負にでた。気持ちは分かる。しかし、試合内容が伴わなかった。あそこはカイトも前線にあげて怒濤のパワープレーを反復して欲しかった。この日のカイトはサイドで機能していたとはいえない。むしろ2トップの一人として、フンテラールのこぼれ球を拾いまくり、アルゼンチンの守備組織を攪乱して欲しかった。
 結局、パワープレーらしいパワープレーのないまま延長戦終了のホイッスルを・・・・じつは聞かなかったんです。延長後半10分ころにわたしはソファで眠りに落ちた。2時間ばかりして目がさめ、録画でPK戦の結果を知った。クルルが守っていたら、アルゼンチンのシュート4本のうち2本をとめていた。オランダ支持勢力は、みなそう思っているだろう。
 しかし、すでにカードは残っていなかった。最後のカードを失ったのは、意表をついたデ・ヨングの先発起用に端を発する。それはオランダがメッシを怖れたからだ。ほとんど走らないメッシ一人でオランダを倒してしまったと述べた所以である。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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