登録文化財を巡る-赤碕から倉吉へ
二股大根とねずみの装飾
河本家の調査を終えた私たちは、同じ赤崎にある登録文化財「塩谷定好写真記念館」の見学に行きました。塩谷定好さんは昭和の芸術写真界をけん引した革新的な写真家として知られています。記念館は塩谷定好の生家であり、彼の作品の展示とともに、当時の生活も感じとれる工夫がなされています。客間の天井に、部屋を広く見せるための演出があるのを発見したことや、縁起が良いとされる二股大根とねずみの装飾(↓左)があることなど、会長さんの解説付きで各部屋を見て回りました。また、土間の奥の方に進むと喫茶スペースがありました。土蔵もカフェになっていて、ジャズ喫茶マニアの教授は「これぐらいの面積がいいんだ」と感心しきり。レトロな感じが他とはまた違った雰囲気で、とても落ち着くところでした。(あやかめ)
登録文化財と国交省空き家対策事業
塩谷定好写真記念館は2015年に国の登録有形文化財になりましたが、それ以前から国交省の空き家対策事業で修復整備されており、登録以前の2014年10月に六弦倶楽部の第30回練習会で4曲披露し、登録後の2016年にも「男はつらいよ」などを熱唱しております。
それはさておき、最近、以下の記事が大学HPにアップされました。
http://www.kankyo-u.ac.jp/tuesreport/2018nendo/20180801/
大成功をおさめているかにみえる国の「登録」制度ですが、要は文化財(所有者)の表彰制度であって、補助金がほとんどでないところに数だけは異常に増えてしまった結果、解体を余儀なくされる物件が出始めている。卑近なところでは、摩尼寺本堂など登録文化財になったものの、今後の維持修理の見通しはまったく立っていません。そうした厳しい状況のなかで、塩谷定好写真記念館は国交省の空き家対策事業とリンクすることで見事に再生活用が図られています。他の模範というべき登録のケースとして強調されるべきでしょう。(教師)
↑土蔵カフェ
チョヌン ハングク サラミ アニムニダ
塩谷定好写真記念館を後にし、倉吉を訪れました。まずは打吹玉川重伝建地区から。猛暑のなか、表通りは大変な人出で、大きな声が飛び交っていましたが、よく聞くと日本語ではなく、ハングルのようです。しばらくして、ご婦人が教授にしつこく話しかけてこられたのですが、先生はキョトンとされていて、まもなく英語で「アイム ジャパニーズ」と答えると、こんどは相手がキョトンとして立ち去っていかれました。
それから河原町まで移動しました。登録文化財になったばかりの旧小倉家住宅を経由して、鉢屋川沿いを歩き、表どおり(八橋往来)にでると、昨年ゼミで来たときにはあった五軒長屋がなくなっていました。取り壊されるという噂は前に聞いてはいましたが、一年もたたないうちに、こんなにも景観が変わってしまったのかと、悲しくなりました。最後に苗屋のご主人マッド・アマノさんを尋ねました。店の前には立派な蓮が育っていました。お座敷に上がり、冷たい缶コーヒーもいただいて、いろんな話をしました。なんだか高度な洒落を先生と言い合っていましたが、内容は忘れちゃいました。すみません…。
とにかくこの日は様々な発見があり、濃い内容の一日でした。(あやかめ)
↑撤去された五軒長屋の敷地 ↓鉢屋川と旧小倉家住宅(登録文化財)
【教師補遺】 今回の倉吉訪問の目的は講義資料として、重伝建地区の表側の町並み写真を欲しいと思ったから。パワポの写真が玉川沿いにばかり集中していることの反省であります。以下に掲載して活用に供します。