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学長の探し方

 携帯を下宿に置き忘れて奈良に帰り、数日ぶりに下宿で手にした。着信はもとより少ない。少ないなかに広島の知人の名前があった。音信不通の同業者である。
 広島出身のゼミ生を3名抱えているものだから、その話かと思ったりした。電話したが、でない。その5分後、当該の人物から電話があって「試験中だからまたあとで」と息を殺している。あらま、うちの学生が大学院入試でも受けているのかしら、と案じて研究室にあがると、全学生が顔を並べて卒業研究展のパネルを作成していた。

 半時間ばかりして、その人物から電話がまたあった。おかしな話さ。

   「学長の探し方、教えてください」

というのである。そんなの知らないよ。しばらくして、候補者の名前が2名でた。T0とH0である。全共闘世代の二人は反骨精神の塊のようで、じつは権力欲の塊であることを今やだれもが知っている。この二人に絞るならH0がいい。間違いない。

   「でも、若い時分、お江戸でだいぶオイタされてるみたいでして・・・」

 みんな似たようなもんだろ・・・じゃぁ、T0にするか? ありゃ神保ないぜ。

   「そうなんですよ、鰰ふってたみたいですし・・・、わたしも好きじゃない」



  T2さんがいいよ。退官後2年めで、いまフリーなはずだぜ。

   「そうですか、副学長とかのキャリア、あるんでしょうか?」

  そこまではないけど、学部長も研究科長も博物館長も歴任してきたから、言うことないんじゃないの? 先輩のT4さんよりずっと良いよね。

   「T4さんは駄目です、あれはアカン」

 よその大学の人事に首をつっこむなんて滅多にないこと、絵空事のお喋りとはいえ、時を忘れた。
 このお噺は、もちろん、フィクションで





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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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