第10次ブータン調査活動概要(1)
カムティエンハウス(バンコク・スクンヴィット)
今夏もまたバンコクからブータンへ
2023年8月30日~9月10日、第10次ブータン調査を実施しました。私は昨年12月の第9次調査に引き続き、今回の調査も参加させていただきました。車酔いに腹痛、運転手の怪我などトラブルもないことはありませんでしたが、いきなりアシ(お姫様)との出会いがあって、天候にも恵まれ、充実した11日間を過ごすことができました。収穫はとても多く、ここでは毎日の調査記録を簡潔にまとめたものを掲載しておきます。調査メンバーは私と先生、ウェイチァンくんの3人です。なお、時間差については、日本時間=タイ時間+2時間、ブータン時間+3時間となっています。
①8月30日(水) @関空~バンコク [天候]晴
09:00 関空集合 11:35 TG623(タイ国際航空)便離陸。 15:10 スワンナプーム国際空港(バンコク)着。 18:00 スクンビットのホテルにチェックイン。夕食は、昨年同様スクンビットのインド・レストランでハイデラバード料理を満喫。タイ行きの飛行機は空席が多く、バンコクは昨年年末に比べると人が少なかった。これには季節が関係しており、雨季のタイは、激しいスコールが降った後であった。
②8月31日(木) @バンコク [天候]晴→雨
09:30 カムティエンハウス着。八幡造の屋根構造をしており、雨が降ると谷部に水が溜まってしまうという欠点があるのは日本の双堂系建築と同じです。この対策として、双子の屋根を大屋根で覆ったのが日本ですが、東南アジアにはそうのような変化はおきず、八幡造の形式そのままで、中央に大きな樋を残しています。10:30 ワットアルン(暁の寺)着。後期密教(チベット仏教)との関係が強いと思われる大型ストゥーパの視察。本堂を囲むインド系の仏像の前には中国系の武勇神と思われる偶像が多数並ぶ。インド系の仏像を中国の軍人が守るという趣。 12:30 ジム・トンプソン邸着。古民家・庭園・骨董・仏教美術を見学。 15:30 バンコク最大のスラム「クロントイスラム」着。クロントイスラムの支援活動を続けるシーカー・アジア財団の事務所を訪問。職員の山田さんに報告書『居場所とマイノリティ』を献呈。 17:00 ホテル帰着。
蓮の花とワットアルン(左)、カムティエンハウス(中央)、ジムトンプソン邸猫の尿瓶(右)
チュンドゥ寺
ハの姫様からポプジカの鬼女まで
③9月1日(金) @パロ空港、八地区(ブータン) [天候]晴
02:30 ホテル出発 05:00 KB153(王立ブータン航空)便離陸 07:30 パロ空港着。ガイドのタシさん、運転手のキンレーさんと合流。 11:45 ソナムジンカファームハウス着(ハ地区)。 13:50 チュンドゥ寺調査 本堂の正面に仏壇を置き、両脇隅に地域の守護神チュンドゥ(chundu 青鬼)とジョウヤ(joya 赤鬼)の像を配する。配置とは逆に日常的信仰の対象としては土地紙が圧倒的に重要。この日は 土地神チュンドゥを祝う年一度の祭日であった。この日だけ大きなチュンドゥ像の前に小さなチュンドゥ像を祀る。祭祀の司祭はドゥクパ・カギュ派の僧、すなわち寺の住職。仏教のリーダーが チュンドゥの祭も仕切っている。 ここで参拝に来ていた女性、ウゲン・チョデンさん(22)と出会う。カタールのスターバックスで働く女性が里帰りしていたのだ。以後、みなはアシ(姫様)と呼ぶ。 14:50 Jungu家着。2階の仏間正面には釈迦を祀っているが、左手にチュンドゥ、ジョウヤを祀っている。この村で偶像があるのはチュンドゥ寺とJungu家のみ。以前は仏間の撮影ができたが、現在は撮影不可に(政府の指示による)。村人にとっては、釈迦やグルリンポチェ、シャブドゥンより、ハの土地神chunduが大事だと強調される。 15:40 Dorji家(アシ・ウゲンの実家)着。ここでティーブレイク。バター茶が薄味で美味しい。仏間の調査。17:00 ファームハウス対岸の石風呂 19:30 ファームハウスで夕食。
チュンドゥ神へのお祈りとDorj家 姉(左)、姫(中央)、父(右)
④9月2日(土) @ハ地区、ティンプー [天候]晴→曇&雨
10:00 ハ地区の崖寺Juney drak(カツォ村)着。本堂、ストゥーパ以外はすべて瞑想場 (Tshamkhang)。 10:35 カツォ寺着。カツォ村の村人も、カツォ寺よりもチュンドゥウ寺を重視する。カツォ村生まれのガイドのタシさんによると、「カツォ寺のような仏寺は全国どこにでもあるけど、チュンドゥ寺はハにしかない。当然ハが大事な存在だ」とのこと。 12:00 Dorji家再訪 昼食絵ニューのポラロイド調査、チュンドゥについてのヒアリング。アプ・チュンドゥを祝う祭りの名称はTshebami(阿弥陀?) 16:20 ドゥブジラカン着。もともとドゥブジゾンと呼ばれる城であった。17世紀にシャ ブドゥンが全土を統一して、ゾンは廃城となるか、仏寺ラカンに変化していく。深い渓谷に囲まれており、高層の楼閣ウチはゾンの時代には中心に位置していた。 17:20 チュゾン着。パロ川、ティンプー川、2つの川の合流地点にストゥーパ群。左から ネパール 式、ラダック式、チベット式、ブータンの式のストゥーパ。 18:30 ホテル着(ティンプー) 19:00 中島さん(佛子園ブータン事務所長)と夕食@民俗遺産博物館
⑤9月3日(日) @ティンプー、ポプジカ [天候]晴→曇&雨
09:20 ディツェンプラカン(dechenphu lhakhang)着。ティンプーで一番重要な寺(この日からガイドはタシさんからドルジさんに交代)。外国の観光客は門より中に入ることができないため門外から撮影。本堂3階に土地神ゲンイェン(Geynyen)が祀られている。本堂前には大きな石があり、そこにゲンイェンが染み入っており、その石はご神体である(織田信長の盆山(ぼんさん)石を思わせる)。本堂の右にはグル・ラカン(1996年建設)。本堂も同じ年(1996)に建て替えられた。 13:30 今枝先生と面会@HOTEL LOBESA(プナカ) 15:25 ラワラ峠着。大きなストゥーパにはグルリ ンポチェなどの諸仏を祀る。 16:15 ガンテ・ゴンパ着。仏画のポラロイド、フォトスキャン調査 門の馬頭観音 (左)、金剛手菩薩(右)は門番の役割を果たしているのではないか。 17:30 ホテル・イエロキ着(ポプジカ泊)。 【続】
Juney drak(左に本堂、中央にストゥーパ、他は瞑想場) ディツェンプラカン(左から本堂、ストゥーパ、グル・ラカン)
ハの姫様からポプジカの鬼女まで
③9月1日(金) @パロ空港、八地区(ブータン) [天候]晴
02:30 ホテル出発 05:00 KB153(王立ブータン航空)便離陸 07:30 パロ空港着。ガイドのタシさん、運転手のキンレーさんと合流。 11:45 ソナムジンカファームハウス着(ハ地区)。 13:50 チュンドゥ寺調査 本堂の正面に仏壇を置き、両脇隅に地域の守護神チュンドゥ(chundu 青鬼)とジョウヤ(joya 赤鬼)の像を配する。配置とは逆に日常的信仰の対象としては土地紙が圧倒的に重要。この日は 土地神チュンドゥを祝う年一度の祭日であった。この日だけ大きなチュンドゥ像の前に小さなチュンドゥ像を祀る。祭祀の司祭はドゥクパ・カギュ派の僧、すなわち寺の住職。仏教のリーダーが チュンドゥの祭も仕切っている。 ここで参拝に来ていた女性、ウゲン・チョデンさん(22)と出会う。カタールのスターバックスで働く女性が里帰りしていたのだ。以後、みなはアシ(姫様)と呼ぶ。 14:50 Jungu家着。2階の仏間正面には釈迦を祀っているが、左手にチュンドゥ、ジョウヤを祀っている。この村で偶像があるのはチュンドゥ寺とJungu家のみ。以前は仏間の撮影ができたが、現在は撮影不可に(政府の指示による)。村人にとっては、釈迦やグルリンポチェ、シャブドゥンより、ハの土地神chunduが大事だと強調される。 15:40 Dorji家(アシ・ウゲンの実家)着。ここでティーブレイク。バター茶が薄味で美味しい。仏間の調査。17:00 ファームハウス対岸の石風呂 19:30 ファームハウスで夕食。
チュンドゥ神へのお祈りとDorj家 姉(左)、姫(中央)、父(右)
④9月2日(土) @ハ地区、ティンプー [天候]晴→曇&雨
10:00 ハ地区の崖寺Juney drak(カツォ村)着。本堂、ストゥーパ以外はすべて瞑想場 (Tshamkhang)。 10:35 カツォ寺着。カツォ村の村人も、カツォ寺よりもチュンドゥウ寺を重視する。カツォ村生まれのガイドのタシさんによると、「カツォ寺のような仏寺は全国どこにでもあるけど、チュンドゥ寺はハにしかない。当然ハが大事な存在だ」とのこと。 12:00 Dorji家再訪 昼食絵ニューのポラロイド調査、チュンドゥについてのヒアリング。アプ・チュンドゥを祝う祭りの名称はTshebami(阿弥陀?) 16:20 ドゥブジラカン着。もともとドゥブジゾンと呼ばれる城であった。17世紀にシャ ブドゥンが全土を統一して、ゾンは廃城となるか、仏寺ラカンに変化していく。深い渓谷に囲まれており、高層の楼閣ウチはゾンの時代には中心に位置していた。 17:20 チュゾン着。パロ川、ティンプー川、2つの川の合流地点にストゥーパ群。左から ネパール 式、ラダック式、チベット式、ブータンの式のストゥーパ。 18:30 ホテル着(ティンプー) 19:00 中島さん(佛子園ブータン事務所長)と夕食@民俗遺産博物館
⑤9月3日(日) @ティンプー、ポプジカ [天候]晴→曇&雨
09:20 ディツェンプラカン(dechenphu lhakhang)着。ティンプーで一番重要な寺(この日からガイドはタシさんからドルジさんに交代)。外国の観光客は門より中に入ることができないため門外から撮影。本堂3階に土地神ゲンイェン(Geynyen)が祀られている。本堂前には大きな石があり、そこにゲンイェンが染み入っており、その石はご神体である(織田信長の盆山(ぼんさん)石を思わせる)。本堂の右にはグル・ラカン(1996年建設)。本堂も同じ年(1996)に建て替えられた。 13:30 今枝先生と面会@HOTEL LOBESA(プナカ) 15:25 ラワラ峠着。大きなストゥーパにはグルリ ンポチェなどの諸仏を祀る。 16:15 ガンテ・ゴンパ着。仏画のポラロイド、フォトスキャン調査 門の馬頭観音 (左)、金剛手菩薩(右)は門番の役割を果たしているのではないか。 17:30 ホテル・イエロキ着(ポプジカ泊)。 【続】
Juney drak(左に本堂、中央にストゥーパ、他は瞑想場) ディツェンプラカン(左から本堂、ストゥーパ、グル・ラカン)