2016居住環境実習・演習Ⅱ中間報告会(その5)
(2)町家等建造物データベース
撮影した写真データに基づき、町家等建造物データベースを作成する。そのプロセスと目的は以下のとおり。
(1)撮影した町家等建造物のデータベースを作成し町並みカルテとして使用する。
(2)建造物の用途・外観・形式などを調査票にまとめ、建物保全度と景観貢献度を評価する。
(3)建物保全度や景観貢献度が秀でている建物の保全について考えるとともに、町並み保全について検討する。
調査票の作成にはデータベースソフト「FileMaker Pro」を使用する。「FileMaker Pro」を使用する利点は、データシートの表示だけでなく、必要な事項を抽出して一覧での表示が可能な点である。
調査票の項目は以下のようにした。
①家屋番号は撮影時のラベルと同じものである。所有者の氏名が分かるものは記載するが、個人情報保護法の問題があるため、氏名の公開はしない。
②用途・階数・建築の形態は基本的に撮影写真から判断するが、分かりにくいものは現地でヒアリングする。
③「鳥取城天守跡が見えるか否か」は調査成果に基づいて記載する。天守のみえる場所は城下町の風情をよく残していると評価する。
④「建築家の関与」については、写真とヒアリングで確認する。建築家の作品は歴史的景観にポジティブな場合とネガティブの場合の両方があるので、前者の場合は「有P」、後者の場合は「有N」に分類する。
⑤建物保全度と景観貢献度の詳細は以下のとおりである。
建物保全度と景観貢献度
これからの作業になるが、データシートの諸要素を総合的に判断して、建物保全度と景観貢献度の評価をする。歴史的な町並みを評価する場合、建物保全度がそのまま景観貢献度になりがちだが、建物が近代化していても、植栽や塀の多さ、さらには建築家による上質のデザインなどについては、景観貢献度を高く評価すべきと考え、以下の指標を用いることにした。建物保全度は伝統的な外観をどこまでとどめているか、なので、比較的客観的に評価できるが、景観貢献度は主観によって多様な評価になることが予想されるので、複数のメンバーでのクロスチェックを行う予定である。
建物保全度(5段階)
秀: 伝統的な外観をほぼ完全に保持している木造建造物
優: 建具・壁材などを改変しているが、伝統的外観を保持している木造建造物
良: 伝統的外観を部分的に保持している木造建造物
可: 伝統的景観を保持していない木造建造物
不可:プレハブ住宅・鉄筋コンクリート造建築・鉄骨建築・駐車場・空き地
景観貢献度(4段階)
優: 町並み景観の中核的存在となっている
良: 町並み景観に調和し貢献している
可: 町並み景観に必ずしも貢献していない
不可:町並み景観に不調和をもたらしている
評価例を示してみよう。上図を参照いただきたい。
左上: 登録有形文化財「岩田家住宅」は建物保全度、景観貢献度ともに高い評価とする。
右上: 最近建立された近代和風住宅で、コンクリート造か。建物自体は新しいので建物保全度は低くなるが、傾斜屋根などデザインは歴史的景観と調和しており、植栽も豊かなので、景観貢献度は高く評価する。
下: 鳥取市立歴史博物館(やまびこ館)は建築家の設計による現代建築。樗谿の自然景観と不調和でスケールアウトしているので、建物保全度・景観貢献度ともに低い評価とする。(かっきーさん)
これからの作業になるが、データシートの諸要素を総合的に判断して、建物保全度と景観貢献度の評価をする。歴史的な町並みを評価する場合、建物保全度がそのまま景観貢献度になりがちだが、建物が近代化していても、植栽や塀の多さ、さらには建築家による上質のデザインなどについては、景観貢献度を高く評価すべきと考え、以下の指標を用いることにした。建物保全度は伝統的な外観をどこまでとどめているか、なので、比較的客観的に評価できるが、景観貢献度は主観によって多様な評価になることが予想されるので、複数のメンバーでのクロスチェックを行う予定である。
建物保全度(5段階)
秀: 伝統的な外観をほぼ完全に保持している木造建造物
優: 建具・壁材などを改変しているが、伝統的外観を保持している木造建造物
良: 伝統的外観を部分的に保持している木造建造物
可: 伝統的景観を保持していない木造建造物
不可:プレハブ住宅・鉄筋コンクリート造建築・鉄骨建築・駐車場・空き地
景観貢献度(4段階)
優: 町並み景観の中核的存在となっている
良: 町並み景観に調和し貢献している
可: 町並み景観に必ずしも貢献していない
不可:町並み景観に不調和をもたらしている
評価例を示してみよう。上図を参照いただきたい。
左上: 登録有形文化財「岩田家住宅」は建物保全度、景観貢献度ともに高い評価とする。
右上: 最近建立された近代和風住宅で、コンクリート造か。建物自体は新しいので建物保全度は低くなるが、傾斜屋根などデザインは歴史的景観と調和しており、植栽も豊かなので、景観貢献度は高く評価する。
下: 鳥取市立歴史博物館(やまびこ館)は建築家の設計による現代建築。樗谿の自然景観と不調和でスケールアウトしているので、建物保全度・景観貢献度ともに低い評価とする。(かっきーさん)