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2007.10.19

大原漁港「第二善助丸」乗船記

 本当の船酔いを教えてあげる!。
 えと、そんなの別に知りたくないとは思いますけど…。
 久しぶりに船酔い体験をして来ましたので、そのご報告でーす。
Oohara01_3
 実際の所、「第二善助丸」だったのか「第二喜助丸」だったのか、今となっては確認が出来ないのです。
 デジカメの写真でも分かんない。
 この船で、伊豆大島や青ケ島の方まで行ったりしてたんですって。
 でも、今は燃料が倍以上に値上がりしていて、なかなか厳しいみたい。
 往復で700リットル位は使うそうですし。
 間違いなく魚が居るなら行くけれど、実際にはそうでもないから、採算が合わないそうで…。

 ここ数年、私もかなりの回数フェリーに乗船して、あまり船酔いはしなくなったと思っていたけれど、それはとてつもなく甘かったのでした。
 そう考えると、大型フェリーって、実はあんまり揺れないって思うのですよね。
 船が弱いと思って心配している人も、フェリーなら、案外平気で乗船出来たりするかもっ。
 …なんて、無責任なことを書くと、恨まれちゃうかな?。
 船は揺れます。
 寄せては返すのが波なんですもん、その上に乗っている船が、揺れない訳はありません。
 だから、当然船酔いもします。
 釣りやホエールウォッチングの体験記を読むと、船酔いでダウンする話が頻々と出て来るので、内心おやおやと思っていたけれど、それも無理は無いって、つくづく思い知った私なのでした。

 というわけで。
 実は乗船記でも釣行記でも無い体験記、はじまりはじまり。
 写真は全く撮っていません。
 そんな状況じゃありませんでしたもん。
 少しだけ撮った写真を見た友人には、そんなに大した波じゃ無いよね、なんて言われてしまったけれど…。
 だから、船酔いしてたって言ってんだろーが!、そんなときにポケットからデジカメ出してシャッターを押すのが、どれだけ大変なことか知らないくせに!。
 あわわ(^^;。
 実際、ピークのときの写真なんか、とても撮れませんよお。
 落ち着いたときにだけ、なんとか。

 まずは、今回の旅の経緯から。
 月曜から、フェリーさんふらわあのスタンプラリー特典を使って、友人と北海道へ行くことになりました。
 そのつもりで休暇を取っていたのですけど…。
 船社への申し込みが遅過ぎて、乗船券の手配が間に合わなくなってしまったのでした。
 あらら…。
 秋に車で北海道を回るなら、今の時期がラストチャンスだったのにい!。
 相変わらず、段取りが悪いのですよ。

 その代わり、漁船をチャーターしてヒラメを釣りに行くので、乗ってみませんか?、なんていうお誘いを頂いて。
 あ、それは楽しそう!。
 てことで、即決でヒラメ釣りに同行することが決定したのでした。
 船釣りは完全にシロートなんですけど、お邪魔で無ければ。
 釣り道具は、引っ越しのときにみんな捨ててしまったし、装備はどうしようかな。
 そしたら、長靴とカッパとクーラーだけ持って来れば、他は全部用意しておいて貰えるんですって。
 すいません…。
 ていうか、クーラーも別に要らないような気がしますけど(笑)。

 ネットで事前に下調べをして、ヒラメ釣りのことを把握します。
 餌はイワシの生き餌を使うんだあ。
 アタリの取り方とか、結構難しそうだし。
 大丈夫かなあ。
 偶然、会社の上司に大原出身の人が居たので、船のこととかも聞いて。
 船酔いとか、やっぱりするのでしょうか?。
 する、って即答されちゃいました。
 本職じゃ無いとはいえ、何度も魚船に乗ってる地元の人でも船酔いするんじゃ、これは覚悟しておかないと…。

 午前0時半、友人に車で迎えに来て貰って、船橋から大原に向けて出発です。
 今朝は4時起きで会社に呼び出されちゃったりしたので、寝不足でふらふらだあ。
 体調は最悪。
 頭痛いよお。
 何だか、乗船する前から船酔いみたい。
 なんて、港に着く頃には、復活してましたけどね。
 やっぱり楽しみだもん。
 四街道で別の友人を拾って、大原には3時15分頃の到着になりました。
 待ち合わせは4時半なので、車内でちょっとだけ仮眠。
 酔い止めの飲み薬を忘れずに飲んで、と。
 甘いような、ヘンな味…。
 酔い止めの薬を飲んだのって、実は初めてだったりします。

 約束の時間になって、引率の方と合流したよ。
 実は、学生だった頃のアルバイト先の方なんですよね。
 その会社を定年で退職して、趣味の釣りを楽しんでおられます。
 同行の友人も、みんな当時のアルバイト仲間なの。
 他にも誰か居るのかと思ったら、全部で4人だけ。
 それでこの漁船を貸し切りだなんて、凄いなあ。

 それじゃ、荷物を積み込んで、出港の準備をするよ。
 タックルは、ネットで調べたのと同じだね。
 ハリスの号数とかは、さっぱり分かりません。
 船長と引率者任せなのです。
 あ、引率者のことを船長は「大将」って呼んでいたので、私も大将って表記することにしますねん。
 程なく、業者さんからイワシの生き餌が届けられました。
 無線を聞いていたら、今日の大原は風速4メートル、波高3メートルですって。
 いつものフェリーなら、別にどうってことのない数字なので、私は聞き流していましたけど…。
 風速4メートルって、結構強いよ。
 波高だって、冷静に考えてみたら、私の身長の倍近くあるんですもん。

 午前5時前に、出港。
 エンジン音が、何だかキハ40みたい。
 みんなでともに集まって座ります。
 船室なんか有りませんもん。
 ここなら波や飛沫を被らずに済むんですって。
 あ、本当だあ。

 大原の港外に出た途端、大波です。
 波の高さが、自分の目線よりもずっと上の方で…。
 一瞬、波しか見えなくなります。
 ジェットコースターのように、どん!どん!と乗ったり降りたり。
 その中を、船はエンジン音も高らかに、盛大な波の中を突き進んで行って。
 これは凄い。
 これが漁船なんだあ。
 と、私達は感心していたのでした。
 太東埼灯台を左手に見つつ、もっと遠くの沖合いまで行くみたい。
 この時点では、船酔いなんて全くしていなかったので、私は船に強いんだあ、なんて勘違いをしかけました(笑)。

 午前5時半前、ポイントに到着したよ。
 きっちり5時30分にならないと、竿を入れちゃいけないっていうのがお約束なんですって。
 時間になったので、さあ、始めますかあ。
 との声に呼ばれて、立ち上がって、ともからおもへと移動したら…。
 頭の中がぐるんぐるんと回って、その場にへたりこんじゃいました。
 うげ。
 立ってられない…。
 まさに、like a merrygoround。
 と、同時に、猛烈な吐き気が来たですよ。
 あ、船酔い、だあ…。
 胃の中には何も入っていなかったらしく、胃の中身をリバースしたりはしませんでしたけど…。
 3、4回もえづいてしまう私なのでした。
 そしたら、少しは楽になったみたい。
 のろのろと竿を受けとります。
 船酔いの薬、全然効いて無いじゃん。
 あ、でも、効いてるから、この程度で済んでるのかな?。
 何処でえづいても、吐く場所には困らないから、それなりに気は楽なのですよー。
 そういう問題じゃありませんけど。
 二人の友人は平気そうなのが悔しいな。
 でも、本当は似たような状態だったそうで…。

 船長も言っていたけれど、船酔いは気の持ちようも大きいって思うのです。
 普通の人なら、船酔いしちゃうと、バタンと倒れて、もう全てが嫌になって、早く陸に戻りたいって、それしか考えられなくなっちゃいますものね。
 でも、私達は普通の人じゃありませんから…(笑)。
 友人は、船旅好きとして、船酔いに挑戦する気満々だし。
 もう一人の友人は、意地でもヒラメを釣るっていう、そのやる気が全てを支えているみたい。
 私にしても、こんな美味しい状況、滅多に体験出来ることじゃないし、石にでも竿にでもしがみついて、最後まで付き合っちゃうんだから!。
 ある意味、前向き100%な人達なのです。

 簡単に釣り方の説明を受けて、竿を入れます。
 船は停まっていても、波はざぶさぶ高くって、揺れること揺れること。
 木の葉みたいって、こういうことを言うのかなあ。
 じゃばっと体に波を被ったりとかもして。
 油断なりません。
 ヒラメ釣りは、仕掛けを投入したら、後は基本的に待つだけなので、一番楽な体制を取って、竿先をしっかりと見ます。
 下手に立ち上がったり動いたりすると、猛烈な吐き気が来るんですもん。
 近くを見るより遠くを見た方が船酔いしない、なんて話もありますが、それは別に関係無いみたい。
 どっちでも症状への影響はありませんでした。

 そうこうするうち、大将に早速アタリが来て、ヒラメを釣り上げます。
 凄いなあ。
 流石だなあ。
 と感心していたら、私にもアタリがあり、せっせと巻き上げてみたら、でっかい魚が掛かっていました。
 イナダですって。
 サイズは30センチ位。
 私にしてみれば、こんなでっかい魚を自分で釣ったというのが驚異なのですが、船長や大将の反応は、イナダかあ、みたいな感じだし、今回の目標はあくまでヒラメなのですねん。
 ともあれ、素人でも魚が釣れるのは分かって、これでみんなやる気が出たよ。
 私もいそいそと2投目を…。
 しようとしたら、また何度もえづいてしまって、暫くイスに突っ伏していたのでした。
 はあはあ。
 と、とりあえず、落ち着いた、かな…?。
 この先、もういちいち書きませんけど、15分に1回位のペースで、こんな状況になっていました。
 2時間後辺りがピークで、今度は胃液をげろげろ吐き出したりとかして。
 すいません、キタナイ話で…。
 波が高いと言っても、釣りが出来る位だし、実はこんなの当たり前なのかもしれませんけどねー。
 素人には驚きの連続なのですよお。

 針をまるごと取られてしまったりして、ここにはフグも居るみたい。
 にしても、私にはアタリが殆ど全く分かりません。
 重りの重さも把握出来て無い位ですし。
 すると、左に座っていた友人が、立派なヒラメを上げました。
 わ、凄いなあ。
 羨ましいぞ。
 その後は何も釣れなくなって、釣り場を移動。
 ヒラメは自分であちこち泳ぎ回るような魚では無いので、船の方で移動しなくっちゃいけないのでした。
 この後も、無線で僚船と連絡を取ったりしつつ、あちこち移動して。

 お昼が近くなっても、船酔いは続くし、ちょっとだけ横になって、気持ちの悪さをやり過ごします。
 陽が差して来たら、暖かくなったね。
 風がちょっと冷たくて、寒かったんだもん。
 日なたぼっこ。
 まあ、これでこれで悪くはありません。
 気分は最悪なんですけどね(笑)。
 喉が乾いたけれど、とても持って来たジュースを取りに行くような余裕がありません…。
 細かいことをするのがかなり苦痛で、餌付けまで船長にやって貰っちゃいました。
 それを投げ込んで待ってるだけって、これで釣りと言えるのでしょうか。
 かなり微妙な感じが…。
 私はと言えば、頭の中で、何故かこどものじかんのED曲である「ハナマル☆センセイション」のメロディーがぐるんぐるんと回っていたのでした。

 さすが、大将はコンスタントにヒラメを上げてるみたい。
 左隣りの友人は、ヒラメを3枚とイナダを2枚上げました。
 凄いなあ。
 さすが、船酔いレベルが一番低かっただけのことはあるです。
 右隣りの友人は、坊主。
 お気の毒に…。
 船酔いのレベルは、私と同じ位だったのにね。
 あ、一度、1メートル位のサメが針掛かりしたんだって。
 私はどんなサメなのか見たかったけれど、サメなんか引き上げても始末に困るので、船長が糸を切ってしまいました。

 12時過ぎに、船長から終了の合図がありました。
 あ、もうちょっと釣りをしていたかったかも。
 私は結局ヒラメは釣れず、イナダを2枚。
 でも、楽しかった。
 後半、殆ど倒れながら竿を上げ下げしていたのは内緒です。
 実際、最後まで船酔いは回復しなかったなあ。
 船長が気さくな方で、色々とお話をして下さったのですが、私の体調がアレなので、あんまり会話は成立しませんでした…。
 残念です。

 港へ戻る30分は、またともに座って、と。
 移動中は結構平気だったみたい。
 停泊している方が、船酔いの症状は酷かったかも。
 まあ、じっとしてないせいもあるのでしょうけど。
 無線によると、釣り人が船から海に転落した事故があったみたいだけれど、ライフジャケットを着ていたので、無事に救助されたみたい。
 海は色々と危険なこともあるし、しっかりとした対処は必要なんですよね。

 というわけで、大原港に戻って来ました。
 やっぱり、陸はいいですねー。
 地面が大好き。
 んー♪。
 釣ったお魚は均等に分けて貰って、私もヒラメを頂きました。
 実家に持って帰って、捌いて貰おうっと。
 大将と船長には、本当に色々とお世話になりました。
 いつかまた、宜しくお願いしますです。

 あんなに船酔いしたのに、また船に乗るの?、と聞かれたら、答えは当然イエスです。
 だって、いつか船酔いは克服したいって思うし。
 釣り自体は楽しいし。
 まあ、最低、1ヶ月は遠慮したい所ですけどね。
 と、下船直後は思ったのに、1週間経ったら、すぐにでも乗ってもいいかな、なんて。
 同行した友人は、次は1年後かな、なんて言ってましたけどねん。

 帰りの車に乗ったら、また現実に引き戻されちゃいました。
 四街道で車を降りて、私は電車に乗り、仕事のお客の所へと。
 へとへとに疲れたので、千葉から東京までは、総武快速のグリーン車で。
 すやすや…。
 それでも、他の部署の人間との待ち合わせに40分遅刻した上、潮臭い髪のままでお客の所へ行くハメになったりとかして。
 すいません…。
Oohara02
 さあて、ヒラメとイナダ、どうやって食べようかなあ。
 あ、肝心の獲物の写真、撮っておけば良かったね。

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