復元検討web会議(第3回)
栄山寺八角堂に基づく原案
6月28日(月)午前、第3回復元検討web会議を開催した。参加者は5名。円形建物と周辺の囲繞施設に分けて討論した。まずは前者の問題から。
1.囲繞施設
1)回廊
①サス組の上の平三斗をマスに変える。サスの勾配は急になる。
②瓦葺きを檜皮葺きに改める。
2)北側建物:5間×2間
①妻飾をイノコ叉首、中間をサス組に(回廊も同じ)。
②平側前・後面の建具は、壁+連子窓+扉+連子窓+壁に(機能不詳)。
3)北西・西側の一本柱(掘立柱)塀
①屋根をかけるのが難しいので、屋根のない塀・柵にするか、
②上土塀、上土門・冠木門・烏頭門を(貫や挿肘木を使わずに)シンプルに古代的にしたような閉塞・開閉施設とするか?
回廊(叩き台)
2.円形建物コラージュ
栄山寺八角堂を母胎としながら、後代の安楽寺八重塔、興福寺南円堂などを参考にしてコラージュによりイメージをひろげていった。①下左の場合、屋根は栄山寺八角堂(野小屋をとってさらに緩くすべき)、軒は北円堂・南円堂系の隅の三手先をややおとなしく二手先に、一方、②右下は柱高を1.3倍とした場合。この案は裳階(土庇)上の組物(二手先か三手先)を外にみせようと意図したものである。この場合の二手や三手に尾垂木・秤肘木はつけない。通肘木は壁付の部分のみ。大屋根と土庇が近すぎるとシコロ葺きのようになって息苦しいのと、建物の高さを確保したいのであえて想定した。奈良時代にあるかと問われれば難しいが、興福寺北円堂がよく古代のスタイルを吸収しているとされるので、あえてコラージュを作成した(下左:会議当日の叩き台、下左:修正案)。
なお、裳階(土庇)については、法隆寺金堂・安楽寺八重塔いずれも建具をいれているので、これに倣うべきという意見が強かった。
3.栄山寺八角堂からのオーソドックスな復元(続)
前回描いた栄山寺八角堂をモデルとする案(一番上の図)は土庇をつけると、全体がやや低平なイメージがあるので、柱高を+1尺、+2尺、+3尺とする3つの案が示された。+3尺の案はあきらかに柱が長すぎて古代の建物にみえない。+1.5尺前後が限度ではないか。今回の案では、頭貫を垂木掛としているが、頭貫よりも少し低い位置に長押を打ち、そこに垂木をかけるようにしないtと、屋根の上面は組物にまで食い込んでくるようにも思われる。
この案は第1案として設計を進めるが、上にのべたように、大屋根と庇の間にスペースがなくシコロ葺きのようにもみえるので、隅の垂木を二手、三手にする案も併行して構想することにした。
また、庇柱の上端は、繋梁、隅木、などが錯綜と納まりあうところは難しい。庇柱が掘立柱である点を尊重し、繋梁を省略する手もある。また柱上の斗は変則的な五角形のものが必要になる(平城宮東院庭園で出土しているので採用)。
4.その他
・檜皮葺きは後世の優雅なものではなく、杉皮重ね葺きのような「原始檜皮葺き」をイメージして復元するか。ただし、平安後期の年中行事絵巻の紫宸殿には、ある程度厚みのある檜皮葺きも描かれているので尊重しなければならない。
・円形建物の全長を49尺としているが、奈良時代建築の場合、10尺を基本単位とする傾向があるので、やはり50尺としてとらえるべきではないか。但し、49尺の場合、1尺=29.65㎝であるのに対して、それを50尺として捉えると、1尺が29.4㎝程度になるので、奈良時代後期の天平尺としてはやや短かするぎるかもしれない(奈良時代前期の第1次大極殿では29.54㎝)。今後の検討事項とする。
栄山寺八角堂+2尺の案
【関係サイト】
復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2419.html
復元検討web会議(第3回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2428.html
復元検討web会議(第4回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html
行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2414.html
栄山寺八角堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2417.html
広隆寺から興福寺へ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2423.html
奈良新聞の報道(菅原遺跡)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2429.html
法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2436.html
6月28日(月)午前、第3回復元検討web会議を開催した。参加者は5名。円形建物と周辺の囲繞施設に分けて討論した。まずは前者の問題から。
1.囲繞施設
1)回廊
①サス組の上の平三斗をマスに変える。サスの勾配は急になる。
②瓦葺きを檜皮葺きに改める。
2)北側建物:5間×2間
①妻飾をイノコ叉首、中間をサス組に(回廊も同じ)。
②平側前・後面の建具は、壁+連子窓+扉+連子窓+壁に(機能不詳)。
3)北西・西側の一本柱(掘立柱)塀
①屋根をかけるのが難しいので、屋根のない塀・柵にするか、
②上土塀、上土門・冠木門・烏頭門を(貫や挿肘木を使わずに)シンプルに古代的にしたような閉塞・開閉施設とするか?
回廊(叩き台)
2.円形建物コラージュ
栄山寺八角堂を母胎としながら、後代の安楽寺八重塔、興福寺南円堂などを参考にしてコラージュによりイメージをひろげていった。①下左の場合、屋根は栄山寺八角堂(野小屋をとってさらに緩くすべき)、軒は北円堂・南円堂系の隅の三手先をややおとなしく二手先に、一方、②右下は柱高を1.3倍とした場合。この案は裳階(土庇)上の組物(二手先か三手先)を外にみせようと意図したものである。この場合の二手や三手に尾垂木・秤肘木はつけない。通肘木は壁付の部分のみ。大屋根と土庇が近すぎるとシコロ葺きのようになって息苦しいのと、建物の高さを確保したいのであえて想定した。奈良時代にあるかと問われれば難しいが、興福寺北円堂がよく古代のスタイルを吸収しているとされるので、あえてコラージュを作成した(下左:会議当日の叩き台、下左:修正案)。
なお、裳階(土庇)については、法隆寺金堂・安楽寺八重塔いずれも建具をいれているので、これに倣うべきという意見が強かった。
3.栄山寺八角堂からのオーソドックスな復元(続)
前回描いた栄山寺八角堂をモデルとする案(一番上の図)は土庇をつけると、全体がやや低平なイメージがあるので、柱高を+1尺、+2尺、+3尺とする3つの案が示された。+3尺の案はあきらかに柱が長すぎて古代の建物にみえない。+1.5尺前後が限度ではないか。今回の案では、頭貫を垂木掛としているが、頭貫よりも少し低い位置に長押を打ち、そこに垂木をかけるようにしないtと、屋根の上面は組物にまで食い込んでくるようにも思われる。
この案は第1案として設計を進めるが、上にのべたように、大屋根と庇の間にスペースがなくシコロ葺きのようにもみえるので、隅の垂木を二手、三手にする案も併行して構想することにした。
また、庇柱の上端は、繋梁、隅木、などが錯綜と納まりあうところは難しい。庇柱が掘立柱である点を尊重し、繋梁を省略する手もある。また柱上の斗は変則的な五角形のものが必要になる(平城宮東院庭園で出土しているので採用)。
4.その他
・檜皮葺きは後世の優雅なものではなく、杉皮重ね葺きのような「原始檜皮葺き」をイメージして復元するか。ただし、平安後期の年中行事絵巻の紫宸殿には、ある程度厚みのある檜皮葺きも描かれているので尊重しなければならない。
・円形建物の全長を49尺としているが、奈良時代建築の場合、10尺を基本単位とする傾向があるので、やはり50尺としてとらえるべきではないか。但し、49尺の場合、1尺=29.65㎝であるのに対して、それを50尺として捉えると、1尺が29.4㎝程度になるので、奈良時代後期の天平尺としてはやや短かするぎるかもしれない(奈良時代前期の第1次大極殿では29.54㎝)。今後の検討事項とする。
栄山寺八角堂+2尺の案
【関係サイト】
復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2419.html
復元検討web会議(第3回)
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復元検討web会議(第4回)
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行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
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栄山寺八角堂
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広隆寺から興福寺へ
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奈良新聞の報道(菅原遺跡)
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法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
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