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2015年9月23日 (水)

シリアで、ロシアは実際、一体何をしているのだろう?

The Saker
The Unz Review
2015年9月13日

Ynetが、シリアでのロシア軍介入に関する話を掲載してから一週間たった今、シリアに対する帝国戦争へのロシアの関与を禁じることを狙った、現実に何の基盤もない、典型的な英米シオニスト心理作戦だったと、確信を持って言えると思う。

それとも、基盤はあったのだろうか?

こうした話には、わずかの事実があることが分かっている。ロシアは“ダーイシュを爆撃するため、ミグ31戦闘機 ”を送ってはおらず、ロシアは、SSNB (大陸間弾道ミサイルを搭載した潜水艦)をシリア海岸に送ろうとしているわけでもない。こうしたうわさは全て全くのたわごとだ。だがロシアが二つのことを行っている兆候は高まっている。

1) シリア紛争への外交的関与の強化

2) 詳細不明ながら何らかの重要軍事機器のシリアへの送付

二つ目のものは大いに興味深いは。言うまでもなく、こうした場合の典型として、ロシアが空輸と海運で送り込んでいる貨物の本当の内容は公表されていないが、推測は可能だ。第一に、シリアが多数の保守部品と、機器の修理を必要としていることを我々は知っている。この戦争は、もう4年間も続いており、シリアは手持ちの装置を酷使している。第二に、シリアは、大いに役立つある種の戦場システムが不足している。そうしたものの例には、対砲兵レーダー(敵砲撃が一体どこからのものかを探知するレーダー)や、電子戦システムがある。さらに、ロシアの情報筋は、シリアは多数の装甲兵員輸送車を必要としていると述べている。

ロシアとシリアには、長年の軍事契約があることを我々は知っており、ロシアは、現在、重い機器は海運で、軽いシステムは空輸で送っていることも知っている。こうしたこと全てが、何らかの形勢を一変させるものを意味するだろうか?

そうではない。少なくとも、現時点では。

英米シオニストがパニックになっているのは一体なぜだろう?

連中を大いにいらだたせているものの一つは、ロシアが、どうやら、ラタキア市を“受け渡し地点”に選んだように見えることだと私は感じている。ダマスカスと異なり、ラタキアは理想的な位置にある。ラタキアは、安全だが、前線から離れ過ぎてはいないし、タルトゥースのロシア海軍基地にも比較的近い。この空港と軍港は、防衛し、隔離するのも容易だといわれている。既に、ロシアが、滑走路を延長し、ラタキア空港のインフラを改良し、大型のAN-124が着陸するのが観察されているという報道がある。ロシア海軍は、ラタキア空港に船舶を送っている。

言い換えれば、タルトゥースだけに限定したり、非常に無防備なダマスカスに入り込んだりするのではなく、ロシアは、シリア北部の戦闘地域に機器や軍隊さえ送り込むのに使える新たな橋頭堡を、シリア北部に作り出したように見える。

ちなみに、これは、ロシアが海軍歩兵部隊をクリミアからシリアに派兵していることに関するパニック状態のうわさの説明になる。海軍歩兵部隊は、そうした基地を防衛するのには理想的で、前線がさほど遠くはないことを考えれば、ロシアが、こうした部隊で、その橋頭堡を守るのは、つじつまは良く合っている。

さらに、重い機器は概して海運によるが、ロシアは防空システムを空輸できるのだ。AN-124なら、S-300を簡単に輸送できる。この事実だけでも、英米シオニストのパニックは説明できる。

起きていると思われることはこうだ。ロシアは、どうやら、ある種限定されているが、シリア軍を緊急支援するための重要な機器を送っているのだ。そうすることで、彼らは選択の自由を確保しておくための条件も生み出している。だから、本格的なロシア介入は起きていないが、シリア紛争において、何かが大きく変化したのだ。

政府軍は最近シリア北部の(ラタキアからさほど遠からぬ)イドリブ空軍基地を失いはしたが、私の情報源全てが、シリア軍は、ダーイシュよりはるかに良い立場にあり、戦争は、タクフィール主義者にとって、非常に不利に進んでいると確認していることを私はここで補足したい。ダーイシュが、大半が砂漠の広大な土地を依然支配しているというのは事実だが、シリアは最近ザバダン市を解放し、大半の場所で攻勢に出ている。

ここまでを要約して、こう言いたい。彼らの対シリア戦争が失敗したため、英米シオニストは、びびっているのだ。ダーイシュが、いくつかの国々で、大惨事とテロをもたらしたが、それぞれの国が次第に、断固行動を起こすことに決めたという多くの兆候がある。アメリカは、アサドを追い出すことにも失敗し、膨大な難民危機が、ヨーロッパで本格的政治危機を引き起こし、現在、ヨーロッパは、アサドを、これまでとは劇的に異なる視点で見ている。ロシアは、地域の全勢力の政治的関与を得て、アメリカを効果的におしのけると明らかに決めており、ロシアが選択の自由を確保している、分かりやすい兆候がある。ロシアが紛争に量的な本格的軍事介入を計画していると推測する理由は全くないが、ロシアの支援が新たな質的レベルに強化された兆しはある。

ここで、二つ強調すべきことがある。

第一に、政治レベルでは、ロシアが、この戦争で、大規模な一方的行動をとる可能性は、まだ極めて低い。シリアは主権国家で、シリア-ロシア協定は、両国が合意した、いかなる軍事的行動も法的に正当化するのに十分だが、ロシアは単独では行動しないよう頑張るつもりだろう。これが、一体なぜラブロフ外務大臣が、ある種の連合を作り出そう懸命に努力しているかという理由だ。

第二に、軍事レベルでは、注目すべき国は、ロシアではなく、イランだ。イランは、シリア(北イラク経由で)への安全で確実な地上通信線を有しており、対ダーイシュ戦に有利に参戦することが可能な種類の戦闘部隊も擁している。戦略的に極めて重要な地域で、シリアを支援するためのエリート部隊を送りこんでおり、将来も送り込めるヒズボラにも同じことが言える。シリア軍支援で、本格的な地上作戦が必要となれば、ロシアではなく、こうした勢力が介入すると考えるべきだろう。

結論として、我々が目にしている起きていることは“典型的プーチン”だと言いたい。欧米指導者は、概して即効的(だが短期的な)結果をもたらす、非常に目立つ行動を好むのだが、プーチンは、漸進的に、ゆっくりと介入する前に、敵が彼に最大量の被害を与えるようにさせるのを好んでいる。英米シオニストがダーイシュを解き放ったのは、ある種“政治的な衝撃と畏怖”で、すんでのところで、シリア政府を打倒するところだった。最初の“即効性”ながら短期的戦略が失敗した際、アサドは依然残ったが、ダーイシュは、あらゆる人々を脅かすが、誰もそれを支配できないゴーレム妖怪に変身した。アサドは、自国民を毒ガス攻撃する“新ヒトラー”から、明らかに(最終的にどのような“解決策”が出現しようとも)解決策の一部の人物へと、次第に格下げされた。

帝国に抵抗するあらゆる人々にとって教訓は明らかだ。一番困難なのは、帝国勢力が食らわせる最初の“一撃”をうけた後も、耐えつづけることだ。もし最初の一撃を生き延びられれば(ドンバスとシリアがしたように)、時間が味方をしてくれて、帝国の立場は、その内部矛盾ゆえに、ゆっくり、しかし着実に弱体化し始める。このプロセスが始まったときには、やり過ぎという罠にはまってはならず、自らの足場を固めながら、崩壊のプロセスで、帝国があきらめた、それぞれの場(政治的なり、他のものなり)を、徐々に占拠してゆくことだ。

勝ち誇るには、まだ余りに時期尚早だ。ダーイシュは、いまだ存在しており、キエフのウクライ・ナチスも存在しており、帝国もまだ決して彼らをあきらめたわけではない。良いニュースは、形勢は今や明らかに変わり、依然、長い戦いは続くだろうか、タクフィール主義者とナチスの最終的な敗北は、不可避のように見えることだ。

記事原文のurl:http://www.unz.com/tsaker/so-what-are-the-russians-really-doing-in-syria/
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この国の外務大臣、税金を使って、何をしにいったのだろう。

NEWS23の、二人並んだ場面で、日本外務大臣の発言に、即座に反論コメントをする、ラブロフ外務大臣の様子を見るかぎり、わざわざ喧嘩を売りにいった結果となったようだ。

そうなると計算してでかけたのだろう。いつものロシアの悪魔化、「ロシアはあくどい連中だ」というのを見せつけるため。

ウクライナのファシスト政権に金融支援をして
辺野古で大基地建設を推進して
そして、戦争法案の強行採決モドキをしておいて、

ロシアから、好意的な対応が期待できるはずがないのは誰にでもわかるだろう。まさか「姑息な傀儡属国が何を言うか?」と真実までは言わないだろうが。

ロシアが、日本外務省の北方領土返還主張に、対応するわけがないではないかと、例えば、下記の本を読んで、素人は思う。このテーマ、戦争法案を、国民のためなどと真っ赤なウソを平然という傀儡政権の主張と、大本営広報部洗脳報道だけから、ロシアがとんでもないと判断されないよう。お読みになった後でも、そう思われるなら、それまで。

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905) 孫崎享著
北方領土問題―4でも0でも、2でもなく (中公新書) 岩下明浩著
北方領土・竹島・尖閣、これが解決策 (朝日新書)岩下明浩著

大本営広報部の深夜の番組のツィッターを書いておられる方々、上記の本をお読みだろうか。傀儡政権の主張と、大本営広報部洗脳報道と同じ意見ばかり書かれる不思議。時事公論、声を張り上げる様子、北朝鮮の女性アナウンサーを連想させられて、うんざり。

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コメント

The Unz Review さんはロシアの軍事力、プーチンの先を見通す眼力をよくみている。

米・欧の戦力がシャープな切込みをするとするなら、ロシアは鈍く、どっしりと、しかし絶大な力を駆使して対応してくることは確かだ。(歴史的に見ても短期戦で勝利を目論んでいたフランスのナポレオンが鈍重なロシアに負けた例は典型的な例だ。)

本文にあるように戦車そのものを運搬できるアントーノフという巨大な運搬航空機も保有(時々災害用にも救急車、医療機器、医師、看護師、犬など必要なものは一切ひっくるめて運搬している写真をよくみかける)しているので長期戦にはもってこいなのだ。

The Unz Reviewさんはさらにそれを敷衍化させて、ロシアの対応は「“典型的プーチン”だと言いたい。欧米指導者は、概して即効的(だが短期的な)結果をもたらす・・・、」とロシアのことを実によく観察し理解も深い。それもそのはず、プーチンは目先の利益にはこだわらない、長いスパンで物事を見極め決断する哲学と構想力をもっている。だからこそ、プーチンはシリアのことはシリア自身が決めればいいのだとRTでも表明。介入は避けており、そのことはラブロフも全く同じ考えに立っている。

海外記事 翻訳ありがとうございます。このごろ帝国は、アサドを応援すると難民が増える?とか支離滅裂でつじつまが合わなくなってきたようにみえていたので、内部矛盾 弱体化という解説は現実味があります。特に論理的なドイツは気がついてゆくのでは。戦争法案も、人と富を米国に差し出す内部矛盾に、じわじわ日本人も気きがついてゆくでしょう。

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