スクリパリ親子は決して話すことを許されない可能性が高い
The Vineyard of the Saker
2018年5月11日
[本コラムはUnz Review向けに執筆したもの。]
今週は、プーチンがメドベージェフを首相に再任命し、ビビ・ネタニヤフが訪問直前、ロシア同盟国シリアを爆撃したにもかかわらず、彼を戦勝記念日パレードでモスクワに招待したことを含め大きな進展があったが、全て良くないものだった。モスクワに着くや否や、ネタニヤフは、イランを何とナチス・ドイツになぞらえたのだ。実に独創的で深遠だ! 更に彼はモスクワ滞在中に、二度目のシリア爆撃を命じたのだ。だが、日本の首相に特注の靴で食事を出すのが適切だと考えるような自己崇拝するうぬぼれ屋から他に一体何が期待できよう? この男は明らかに目茶苦茶に狂っている(だからといって、彼のあくどさや危険性が減じるものではない)。しかし、実にうんざりするのはロシアの対応だ。皆無、全く皆無なのだ。他の人々と違い、シリア(あるいはイラン)をイスラエルから“守る”のはロシアの責任ではないと、私ははっきり述べている。しかし、ネタニヤフがあからさまにプーチンを軽蔑し、プーチンがそれを受け入れたと、私は心の中で確信している。私はプーチンを大いに尊敬しているが、今回彼は、トランプがマクロンを扱ったように、ネタニヤフが彼を扱うのを許したのだ。プーチンの場合、自国の首都でそういう扱いを受けたという違いはある。それで事態は一層ひどくなる。
[興味深いことに、“ナチス・イラン”に関してぐずぐず泣き言を言いながら、ネタニヤフは、実に核心を突く、真実を語ったのだ。彼はこう言った。“重要な歴史の教訓は、残忍なイデオロギーが現れたら、人は手遅れになる前にと闘わなければならないということだ。”これは、イスラエルと、そのシオニスト・イデオロギーに関し、実際、まさに世界中の大半の人々が感じていることだが、悲しいかな、彼らの声は、彼らを支配する連中に完璧に無視されている。だから、そう確かに私には“手遅れ”になりつつあるように見え、我々の集団的臆病さの結果として、わがシオニスト最高君主について、ありのままの真実を語ることを我々の大半が完全に恐れており、我々は途方もない代償を負担することになるだろう。]
そして、もちろん、イランが完全順守しているにもかかわらず、またアメリカには、この多国間合意から一方的撤退する権限がない事実にもかかわらず、いわゆる包括的共同作業計画 (JCPOA) から脱退するドナルド・トランプがいる。誇大妄想狂で、言うまでもなく、イスラエル・ロビーの意気地のないお先棒かつぎトランプは、これらをすべて無視し、アメリカと、アメリカが、狂気じみたイスラエル追随で、アメリカ支持を強いようとして、今恐喝し、いじめるだろう世界の他の国々の間に、更なる緊張を作り出した。イスラエルについて言えば、彼らの“高度な”“戦略”は極端なまでに粗野だ。まずトランプに、イランと最大の緊張を作りださせ、更に出来るだけ露骨かつ傲慢に、シリア国内のイラン軍を攻撃して、イランを報復するようおびき出し、そこで“あらまあ!!!”とわめき、声の限りに何度かホロコーストに触れ、“600万人”という人数を投げ入れ、アメリカにシリア攻撃をさせるのだ。
人々が、一体どうしてイスラエルを尊敬、まして称賛できるのかは理解を超えている。イスラエル以上に、より卑劣で、腹黒く、反社会性人格障害の誇大妄想症悪党集団(意で気地なし)を私は思いつくことができない。あなたは思いつけるだろうか?
とは言え、シオニストが、同時に、一国ではなく、二つの(そう思われている)超大国を彼らの要求への屈伏を強いる十分な力をもっていることは否定しようがないように見える。それだけでなく、彼らには、この二つの超大国をお互い、このままでは紛争に突入する路線を進ませながら、そうさせる力があるのだ。少なくとも、これは二つのことを示している。アメリカ合州国は今や完全に主権を失い、今やイスラエル保護国だ。ロシアについては、そう、比較的良くやっているが、ロシア国民が投票で、圧倒的なプーチン支持を示した際の、完全な再主権化は実現しなかった。ロシアのチャットで読んだ、あるコメントにはこうあった。“Путин кинул народ - мы не за Медведева голосовали”翻訳すれば、“プーチンは国民を裏切った - 我々はメドベージェフに投票していない”。“国民を裏切った”が公正な言い方かどうか確信はないが、彼が多くの国民を失望させた事実は実に明白だと私は思う。
現時点で、何らかの結論を出すにはまだ早過ぎ、余りに様々な未知の変数があるが、プーチンの基本的政策に関する大きな疑念で、4年間で初めて、私は非常に懸念していることを認めよう。私は自分が間違っていることを望んでいる。比較的すぐにわかるだろう。それが大戦争という形でないことを願うばかりだ。
とりあえず、スクリパリ事件に再度焦点を当ててみたい。私が当初無視したが、実に気がかりなことになった極めて奇妙なことが一つある。イギリスが、セルゲイとユリア・スクリパリを明らかに監禁している事実だ。言い換えれば、二人は拉致されているのだ。
ユリア・スクリパリと従妹のヴィクトリアはたった一度の電話通話しかしておらず、その中で、ユリアは、自分は大丈夫だと言った(彼女がヴィクトリアを安心させようとしていたのは明らかだった)が、彼女が自由に話せなかったのは明らかだった。しかも、ヴィクトリアがユリアに会いに行きたいと言うと、ユリアは‘誰もあなたにビザを発給しない’と答えた。その後は、完全な沈黙だ。ロシア領事館は、面会できるよう無数の要求を行っているが、以来、イギリスがしたことと言えば、ロンドン警視庁に、ユリアによって書かれたものではないことが明らかな書簡を投稿させたことで、そこにはこうある。
“私は友達や家族と連絡できますし、ご親切に、何であれ、できる限りの支援を申し出て下さったロシア大使館の具体的な連絡先も承知しています。当面彼らの支援を受けたいとは思っていませんが、考えが変わった場合、彼らとどう連絡をとるか分かっています。”
一体どういうお友達だろう?! 一体どういう家族だろう?! くだらない!
従妹は公式ルートを含め様々な経路で何度も連絡しようとしたが、全く絶望して、
彼女は下記メッセージをFacebookに投稿した。
“親愛な従妹、ユリア! あなたは私たちと連絡をせず、あなたとセルゲイ・ヴィクトリビッチについて、私たちは何もわかりません。あなた方の承認無しで、あなたがたのことに干渉する権利がないのは分かっていますが、大変心配です。あなたと、あなたの父親のことが心配です。ヌアルのことも心配です。[ヌアルは、イギリス旅行中、ペットホテルに預けておいたユリア・スクリパリの飼い犬]。ヌアルは今ペットホテルにいて、支払いを要求されています。彼をどうするかを決めなければなりません。あなたが帰国するまで、私には彼を引き取って面倒を見る用意があります。ヌアルに加えて、あなたのアパートと自動車も気になっています。この二つの安全と維持について何も決まっていません。私たちが面倒を見てあげることはできますが、私か妹レーナの名前で、あなたの委任状が必要です。もしこうしたものが大切と思われたなら、どこの国であれ、ロシア領事館で委任状を書いてください。もしあなたがそうしなければ、それまでで、あなた方には干渉しません。
ヴィーカ“
何の返事もない。
グーグルで、 “スクリパリ”という言葉で検索してみた。4月10日には、彼女が病院から退院したという記事があった。それが見つかった最新記事だ。Wikipediaも見てみたが、全く同じで、本当に何もないのだ。
最初にロシアの不平を聞いた際、これは大したことではないと思ったことを認めなければならない。“イギリス人は、スクリパリ親子に、プーチンが二人を毒ガス攻撃しようとしたと言い、二人はたぶん恐れており、たぶん何であれ、二人の体調を悪くしたもののおかげで、まだ具合が悪いのだろうが、イギリス人は、二人の外国人を、決して公然と拉致することはせず、まして、これほど公式な形では、そうするまいと私は考えていた。”
もはや、そういう確信はない。
まず、明らかなことを排除しよう。スクリパリ親子の身の安全に関する懸念だ。これは全くのたわごとだ。イギリスは、イギリス国内で、戦車、SASチームを待機させ、空中のヘリコプター、爆撃機などを用意して、厳重に守られたイギリス施設で、ロシア外交官との面会を手配できるはずだ。ロシア外交官は、防弾ガラス越しに電話で彼らと話せるはずだ。それに、ロシア人は実に危険なので、武器の身体検査もあり得る。スクリパリ親子が、彼なり/彼女なりに言うべきことと言えば“ありがとう、皆様のお世話は無用です”だけだ。それで会話は終わりだ。ところが、イギリスは、それさえ拒んでいる。
スクリパリ親子は悪のロシア人に大いに怯えているので、二人はきっぱり拒否しているとしよう。テレビ会議でさえ。二人にとって、実にトラウマ的なのだ。結構。
ならば、記者会見はどうだろう?
更に気がかりなのは、少なくとも私の知るかぎり、欧米商業マスコミの誰も、彼らとのインタビューを要求していないことだ。スノーデンは、ロシアから安全に話せ、大きな会議で講演さえできるのに、スクリパリ親子は誰にも語ることができないのだ。
しかし最悪なことはこれだ。スクリパリ親子をイギリス当局が完全に秘密裏に拘留して既に二カ月だ。二カ月、つまり60日間だ。尋問の専門家や、あらゆる心理学者に、60日間の“専門的治療”が人に一体どのような影響を与えるか尋ねていただきたい。
もう“拉致”に関するロシアの声明をはねつけるてはいない。私の考えはこうだ。実質的に、MH17やドゥーマの化学兵器攻撃と同様に、スクリパリ偽旗作戦は崩壊し、燃え尽きたが、MH17やドゥーマとは違い、スクリパリ親子は、その証言が、メイ政権にとってのみならず、イギリスとの“団結”を示した意気地なしのヨーロッパ人全員にとって、途方もないスキャンダルという結果をもたらす可能性がある証人だ。言い換えれば、スクリパリ親子は、おそらく決して自由に話すことを許されないだろう。二人は殺害されるか、完全に洗脳されるか、行方不明になるかしかないのだ。ほかのどの選択肢も世界規模のスキャンダルという結果を招きかねない。
セルゲイ・スクリパリに同情するようなふりをすることはできない。国に忠誠を誓い、その後、国を裏切り、イギリスに寝返った諜報職員(マスコミが書いている通り、彼はロシア・スパイではなく、イギリス・スパイだ)。現在、彼を確保しているのは、彼の元雇い主だ。だがユリアは? 彼女は完全に無辜で、4月5日時点(彼女が従妹のヴィクトリアに電話した際)、彼女は明らかに元気で、頭もはっきりしていた。今、彼女は行方不明で、彼女が決して再び現れないかも知れないこと、それとも、何カ月ものイギリスによる“カウンセリング”の後、彼女が、ある日、再び現れることのどちらがひどいのか、私には分からない。父親に関しては、彼はすでに裏切りの代償を支払っており、彼も、毒ガス攻撃され、利用され、行方不明にされるより、もっと良い運命に会う資格があるのだ。
巨大な出来事(我々の全世界に対するシオニスト戦争)の中では、セルゲイとユリア・スクリパリのような二人の個人は重要でないのかも知れない。だが、この二人と、その苦境を忘れずにいるくらいは当然だろうと私は思う。
これは我々が一体どのような世界に暮らしているのかという問題も提起する。イギリス国家が、そのような手口(連中はいつもこの手口を利用している)を用いた事実に私は驚かない。自由、多元的共存と“ヨーロッパの価値観”(それが何を意味するのであれ)がある、いわゆる欧米“民主主義”の中で、イギリスが何の罰も受けずに済んでいることに私は驚いている。
多少はスクリパリ親子と“団結”されてはいかがか - ヨーロッパ人のあなた方よ?!
The Saker
記事原文のurl:https://thesaker.is/the-skripals-will-most-likely-never-be-allowed-to-talk/
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昨日のBS-TBS週刊報道LIFEには驚いた。小選挙区制の問題を正面から取り上げたのだ。小林良彰教授のコメントも流された。
猟奇殺人事件やタレント・セクハラではなく、終日、連日、小選挙区制問題こそ報じられるべきだろう。
インチキ・データをもとに無意味な論議を強いていた自民党は、「高度プロフェッショナル制度」を強行採決するだろう。これも、小選挙区制のおかげで成立する悪法。
小選挙区制によって、25%の異様な連中に、我々は永久に搾取されつづけるのだろうか?
大本営広報部、スクリパリ事件でロシア犯行説だけを垂れ流したあと、二人の行方不明という現状を報じているだろうか?虚報を垂れ流し、洗脳するのが商売なら、知的な病気を引き起こす公害企業も同じことではあるまいか?
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