シリアで、アメリカの本格的戦争になるのか?
スティーブン・レンドマン
2018年4月29日
(stephenlendman.org Home – Stephen Lendman)
2011年3月に、オバマが対シリア戦争を開始して以来、ワシントンの狙いは、当時も今も、政権転覆、欧米寄り政権の樹立、シリア分断、資源略奪、国民搾取、そして、イラン・イスラム共和国を、同様に標的にするのに先立つ、イラン孤立化だ。
こうした狙いの追求で、ワシントンは、NATOやイスラエルや他の地域諸国と同盟しており、人的損失はどうでも良いのだ。
シリアは世界で最も危険なホットスポット、今にも爆発しそうな火薬庫だ。戦争をエスカレートするための口実で、次の化学兵器攻撃偽旗が実行されるのは時間の問題に過ぎない - おそらく、アメリカが率いる全面的な攻撃が続き、主要二大核大国が対抗することになろう。
中東と世界の平和の運命を含め、危険は巨大だ。
土曜日、モスクワで、セルゲイ・ラブロフ外務大臣はこう述べた。
“人種的、宗教的理由で、シリアを分割する企み(が行われつつあるが)”現在起きていることは“全く容認できない”更に、
“特に‘現地の’各当事者間の信頼を強化することにより、この状況を克服することを狙っている“
シリアにおける、明白なアメリカの狙いを考えれば、彼がこれが可能だと考えているとは想像しがたい。シリアにおけるアメリカの侵略に対し、ロシアがより力強く対決し損ねたことで、解決しようとする努力を損ない、アメリカによる戦争のエスカレーションを助長した。
“ここ数週間の進展は、全員がシリアにおける平和回復を望んでいるわけではないことを示している”と言うラブロフ外務大臣は、控えめな表現の極みだ。
ワシントンと、NATOと、イスラエルと、連中のならずもの仲間は、紛争解決の取り組みを損なうため総力をあげている。ラブロフ外務大臣が他の表現をしていても、ジュネーブも、アスタナも、ソチ交渉も結実しなかった。
先週の議会証言で、マティス戦争長官は、(テヘラン)が現地で、ヒズボラを通して、代理作戦を継続しているので、シリア国内でのイスラエルとイランとの紛争“の可能性は非常に高いとのべ”更に
“どのようにして、それが始まるだろうから想像できるが、いつ、どこかは分からない。”彼はシリア国内でのアメリカ軍作戦を“再度活発化”させると誓った。“我々は撤退しない”と彼は強調した。
ワシントンで、イスラエルの戦争大臣アヴィグドール・リーバーマンは、マティスとジョン・ボルトンと会談し - 三人のごろつき連中が、次の行動をたくらんだ。
トランプの外交的でない国務長官として、最初の海外訪問先ブリュッセルで、マイク・ポンペイオは、NATO本部で各国の外務大臣たちにタカ派発言をしたと、同日の記事にある。
イスラエルとヨルダン訪問前のサウジアラビアで、彼に同行したブライアン・フック国務省政策顧問は“イランのミサイル計画に関与している個人や組織の制裁”を主張した。
アメリカが画策しているサウジアラビアによるテロ爆撃を無視し、彼は、テヘランがミサイルをイエメンのフーシ派に供給していると偽って非難した。
彼は頭の中で、真実を逆立ちさせて、こう主張した。
“イランのミサイルが中東における戦争と苦難を長引かせている。彼らは我々の安全保障と経済権益を脅かしており、とりわけサウジアラビアとイスラエルを脅かしている。”
イランは誰も脅かしていない。ワシントンと、そのならず者仲間が世界平和を脅かしているのだ。
イランのミサイル開発と製造は全く合法的だ。イラン人軍事顧問は、ダマスカスの要求に応じて、シリアにおり、アサドがアメリカが支援するテロリストと戦うのを合法的に支援している。ワシントン軍隊のシリア駐留は目に余る国際法違反だ。
5月12日、あるいは、それ以前に、イラン核合意がどうなるか分からない。現在の形のままで済む可能性は極めて低い。トランプが望んでいる変更は受け入れがたい。
核にまつわる経済制裁を、イランに再度課すか、それとも、これまでのように差し控えるか、彼は決定しなければならない。再度課せば、合意を終わらせる可能性が高い。
もし事態がそういう展開となれば、アメリカが恫喝する経済制裁は本格的な経済的打撃になるので、イランへの外国投資は抑制されるはずだ。
金融戦争は、常備軍同士の戦い同様に、破壊的になり得るが、ワシントンがイランに対して繰り返し演じる汚らしいゲームは、もし核合意が崩壊すれば、エスカレートする可能性が高い。
ワシントンと、そのならず者仲間が、シリアにおける平和と安定性の回復ではなく、果てしない戦争と政権転覆を望む限り、シリアにおける紛争解決は実現不可能だ。
アメリカの覇権に対する渇望には世界戦争の危険がある。シリアにおける全面戦争がその引き金になりかねない。事態が制御しきれなくなって、誰も望んでいないことが起きる可能性がある。
*
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編集者、寄稿者としての最新刊の書名は“Flashpoint in Ukraine: How the US Drive for Hegemony Risks WW III”
www.claritypress.com/LendmanIII.html
記事原文のurk:http://stephenlendman.org/2018/04/full-scale-us-war-syria-coming/
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外国の知人から、自分の国も色々多難だが、日本の首相スキャンダルと彼の去就、北朝鮮事情の進展について質問が来た。独断と偏見を書き、文末に森嶋通夫氏の未来予想を引用して返事をしたところ、一行「それにくらべれば、わが国の問題は小さい」と書いて来た。
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コメント
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中東地域が紛争地域なのは宗教的対立によるところ大というのは、よく知られていますね。
「分断して統治せよ」は、たしかタルムードの教義にあったような・・。
シリアやパレスチナなどの虐められている国々の事を思うと辛いですが、この日本もこのまま多国籍巨大資本に食い荒らされ国力を失えば同じような状況下に陥る事必至。
決して対岸の火事では無い筈なのに無関心な人が多いのは、マスコミが伝える情報が少なすぎるからではあろうかと思われるなれど、基本的にはゆでガエル状態に置かれているという事でしょう。
そこで何時ぞやの続きを少々。
日本人の平均寿命は戦後伸び続けてきましたけれども、男性は伸び止まりの様で。
女性はまだ僅かに伸びている様ですけど、これはおそらく健康関連のテレビ番組を見ている人が多い事が理由の一つなのだろうと推測できます。
しかし、そこはやはりテレビですから、肝心な事は伝えないのであります。
平均寿命は延びているものの、実態は寝たきりや認知症の人を入れての話。
昭和30年頃までだったら考えられなかった事です。
なぜか?それは医療技術が発達してなかった事と、一世帯あたりの家族数が多かったので、臨終間際のお年寄りの面倒は家族が見ていたから。
ところが現代では、お年寄りは施設に入るのが当たり前、病気になったら延命治療が当たり前。
飽食で長生きする人は増えたけれども、一方では寝たきりや痴ほう症の人も増えてきた訳です。
これが今は高齢者だけの問題と片づけられていますが、これからは比較的若い世代でも起こりつつある事が懸念されている訳です。
それは何故か?日本人が毎日食べる食料に異変が起きているからです。
少し前までの生易しいレベルではなくなってきているからです。
コンビニ弁当、おにぎり、サンドイッチに使われている添加剤の種類は60種以上とか。
これに加え、残留農薬の基準緩和で農薬の残留量も増えてます。
パンに至っては、原料である小麦の農薬残留値は以前の300倍から400倍、平均で30ppmです。
スーパーで売られている同様のものも同じです。
何も知らない大半の日本人や日本に住む外国人は毎日食べ続けている訳です。
とても恐ろしい事です。
かなり健康な人でも、最初に表れる症状として血糖値の上昇とそれの恒久化が起こります。
血糖値が高いままの状態が続くと欠陥が劣化し動脈硬化が起こります。
同時にⅡ型糖尿病、高血圧症も発症するでしょう。
鬱、倦怠感、自閉症なども増えるでしょう。
現時点でも、透析患者は増え続けている現状を見るにつけ思う事は、医療費負担の増大という懸念です。
知り合いに透析を受けている人が居て、いろいろ聞いてみた事があります。
最初は血尿から始まったそうです。
本人はストレスが原因だと言ってましたけど、やはり外回りの仕事というのは外食やコンビニ弁当に頼る事が多く、それに長時間労働と精神的ストレスが加わって高血圧になった事が複合的に重なっての事でしょう。
誰でも血尿などが出れば驚いて直ぐ病院に駆け込むのですが、実際は鼻血のようなものです。
一時的に急激な血圧上昇などで弱いところに負担が掛かる事はあるものです。
そこで医者は血圧を下げる処方をする訳ですけれども、恒常的な高血圧症ではない為、今度は急激な血圧低下が起こる訳です。
そして尿が出難くなる、実際には腎臓の尿を作る能力が低下する、という現象が起こる訳です。
そして透析患者の出来上がりという訳です。
4年程前の動画になりますが、安保徹博士が語ってますね。
当時で透析患者の数は40万人とか言ってましたから、今頃は50万人位でしょうか。
透析患者を責めている訳ではないので誤解の無いようにしていただきたいのですが、透析に掛かる医療費は一人当たり年間500万円ほどです。
これに糖尿病、精神疾患などの所謂現代病、癌などの利権病を加えると、この国の医療費は世界一であろう事は疑いのない事実と言えるでしょう。
これにより福祉医療制度が崩壊の危機にある事を、どれ程の人が認識しているでしょうか。
しかし、それに加え考えなければならないのは、我々自身の死に際についてであります。
今や福祉施設はパンク寸前であり、福祉を担うう動力も不足の一途です。
日本人はモルモットであると同時に金蔓でもあり、生かさず殺さず、搾り取れるだけ搾り取るという利権構造に組み込まれた家畜なのだという事を自覚しなければならないのです。
食の安全について語ると、軟弱な思考だと笑われる風潮がある為、なかなかその重要さが浸透しないもどかしさがあります。
本当は死に際までをも左右する深刻な問題なのに、軽視され無関心、無頓着な人が多い事が残念でなりません。
自身の健康について無関心な人ほど、恐らくは鬱、認知症、寝たきりになる時期が早い傾向になる事は紛れもない現実であり、そこに生きている意味を見出すのは辛いものがあると言えるのではないでしょうか。
化学農薬、化学薬剤、添加物などによる複合的な病気は、身体全体を蝕むもので、最終的には認知症や寝たきりといった他人の手を永く煩わせるばかりか、社会的負担の増大を招き、結果的に経済力、国力を失い、亡国に至るという事を認識していただきたいものです。
投稿: びいとるさいとう | 2018年5月 2日 (水) 08時00分