イラン、ソレイマーニー将軍の死後暗殺
Finian Cunningham
2020年1月5日
Strategic Culture Foundation
イランのガーセム・ソレイマーニー将軍は、埋葬前にさえ、彼の性格や軍事経歴を中傷されて、アメリカの手にかかって、二度目の暗殺に耐えなければならなかった。
アメリカのトランプ大統領は、1月3日金曜日、バグダッド空港で、ソレイマーニーの車列への空爆を開始し、「世界ナンバーワンのテロリスト」がアメリカ軍に「捕捉され」「殺害され」たと宣言した。イランの精鋭クッズ軍司令官は粉々に吹き飛ばされ、遺体は後に左手にしていた特色がある赤い石の指輪でようやく確認された。
イラク人民動員隊(PMF)のアブ・マフディ・ムハンディス副司令官を含め、軍用車列の少なくとも6人の他のメンバーが殺された。PMFは、アメリカが同盟していることになっているイラク国防軍の公式に認められている一部だ。
ソレイマーニーとムハンディスは、イランとイラクで、中東中で、イスラム国テロ集団や複数のアルカイダ分派連中を見事に打ち破って崇拝されていた。イランと、イランに支援される民兵は、アルカイダとつながるテロ・ネットワークを、イラクとシリアで敗走させる上で重要だった。
ソレイマーニーはイラン・イラク戦争(1980-88)中の勇敢な指導力ゆえに、イランで国民的英雄として同じく宴をはってもてなされた。
今、トランプ政権によれば、イラン人将軍は、死んだアルカイダやイスラム国の指導者や、オサマ・ビンラディンやアブーバクル・アル・バグダディと同列なのだ。トランプは、自分がソレイマーニー殺害を命じたから、世界がより安全になったと自慢した。
「これをテロリストへの警告にしよう。皆さんが御自身の命が貴重だとお考えなら、皆さんは、我が国民の命を脅かしはしないだろう」とトランプは、暗殺数時間後に宣言した。彼はイラン人司令官は「無辜の人々を殺す病的情熱」を持っていたと言って、ソレイマーニーの死を「これら怪物」と、ひとまとめにした。
侮辱に侮辱を重ねて、フロリダで、トランプは、福音主義キリスト教徒の支持者に、アメリカは「戦争はせず」、むしろ「平和と調和の世界」を求めたのだと述べた。大統領はイランとの「戦争を妨ぐ」ため、ソレイマーニー殺害を認可したと述べた。
フロリダ、マー・ア・ラゴの彼の豪奢な岸辺の大邸宅で、親しい友人たちとミートローフとアイスクリームの夕食を食べながら、暗殺が認可されたと言われている。
トランプはソレイマーニーが中東じゅうで何百人ものアメリカ外交官や兵士を殺す陰謀をくわだてていたという「訴訟を基礎づけるに足る諜報情報」を得ていたと主張した。それは証拠を決して提示しないアメリカ機密情報まじない論理に過ぎない。彼は、イラン人将軍は「何千人もの」アメリカ兵の死と、「何百万人もの」無辜の人々の死に責任があったとも言った。明白な名誉毀損だ。
ガーセム・ソレイマーニー将軍をテロリストとして描くのは、「世界最高のテロ支援者」だとしてイランを悪者にするアメリカのプロパガンダ言説では論理的な手順だ。だがその言説は、アメリカが主張する美徳と同じウソだ。ソレイマーニーへの誹謗中傷の必要性は、殺人という野蛮な行為をトランプ政権が正当化する必要性から生じているのだ。
テロリストを根絶し、シリアとイラクでISカリフ体制を独力で打ち破ったというトランプの主張こそが、本当の「病的情熱情」を示している。
ソレイマーニーが率いたイランの戦略的介入とロシア介入がなかったら、シリアでの戦争は、イランとイラクで、また確実に他の中東諸国で、テロ・カリフ体制が拡大ていたはずだ。
この地域中でテロの大流行を生み出したのは、百万人以上の人々を殺し、社会を丸ごと破壊した、イラクとアフガニスタンでのアメリカによる違法な戦争だった。アメリカとその同盟国は、政権転覆作戦のために、これらテロ集団を利用したのだ。
ソレイマーニーは、アメリカ人中傷屋が主張するようなテロ立案者ではなかった。彼は中東でのアメリカ不法占拠と国家テロに対する合法的抵抗の立案者だった。シリアとイラクでのイスラム国や、彼らの様々な代理人の敗北が、アメリカが画策した汚い戦争や、「テロとの対い」という乱雑な偽善の主張を暴露した。
ロシア国防省は敬意を表し、シリアとイラクでテロ集団を打ち破った彼の貢献に対し、ソレイマーニー大将を讃えた。
それがソレイマーニーがワシントンからこれほど憎悪される人物になった理由だ。戦略上の欲望に従って地域を征服しようとするアメリカ帝国主義の狙いを阻止していたのだ。
トランプとマイク・ポンペオ国務長官は、アメリカはイランとの戦争を欲しないと不条理にも言っている。ポンペオは、ホワイトハウスがテヘランとの「緊張を減少させようとして」いるとさえ言った。
鼻につく不誠実さで、大統領は述べた。「私はイラン国民には深い敬意を持っている。彼らは素晴らしい伝統と、無制限の可能性を持った優れた民族だ。我々は政権交代を求めない。だが、地域や近隣を不安定にするための代理戦士利用を含め、イラン政権による侵略は終わらなくてはならず、それは今終わらなくてはならない。」
イラン政権による侵略? これが、同時に数カ国に爆弾を投下し、この地域に何万人もの兵士を配備し、首を絞めるような経済封鎖/経済戦争を利用し、国際軍備管理協定を破棄し、その手が何百万人もの血にまみれたアメリカ政権の言いぐさだ。
タカ派の元国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンはソレイマーニー暗殺を政権転覆の第一歩としてトランプを祝った。
もう一人のタカ派取り巻きリンゼー・グラム上院議員がこう述べて、戦争エスカレーション論理の定式化を支援した。「もしイランがアメリカや同盟国を攻撃し続けるなら、彼らは石油精製所の破壊を含め、大きな代償を支払うことになる。」
ドナルド・トランプ支配下のアメリカは、妄想とプロパガンダのウソの致命的なとりこになっている。大統領が教会の熱狂的会合に出席して殺人を祝う国は絶望的だ。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
----------
大本営広報部のどこかの呆導番組のアメリカ国民インタビュー、なぜか大統領無条件支持者が三人、反対が一人。無条件で支持する三人に唖然とする。洗脳、ポール・クレーグ・ロバーツ氏が再三指摘される「マトリックス」の産物。
葬儀直後、イラク内米軍基地へのミサイル攻撃は驚きだ。葬儀参列者の大変な人数、国民の怒りを考えれば、不利を承知で、実行せざるを得なかったのだろうか。参列者のなかから圧死者が50人出たとも報じられている。
孫崎享氏の今日のメルマガ題名:
イラン、最大級の反撃。イラク内米軍軍事基地に、イラン国内からミサイルで攻撃。米国はイラク内米軍軍事基地、バグダッドの「グリーンゾーン」という攻撃に極めて脆弱な拠点を抱えたことになる。これへの防衛はまず無理。トランプも屈服の形はとれない。
イラン国会は七日、米国防総省を「テロ組織」に指定する法案を可決した。当然。国自体、長年のならずもの国家。この国は、ならずもの国家の最大属国なので、テロ組織下部組織の艦船を現地に派遣する。属国には、外交、軍事の独自選択肢は皆無で、自動的に、実質的にイランとの戦争状態にはいっているのだろう。ポチ本人、中東歴訪をさっさと延期。毎回お得意の逃げ足だけは早い。
日刊ゲンダイDIGITAL 高野孟氏記事 永田町の裏を読む
Litera記事
植草植草一秀の『知られざる真実』2020年1月8日記事も明快。
というわけで、ヒアリング、見ずにはいられない。
【IWJ・Ch4】10:00~「第1回 自衛隊中東派遣問題 野党合同ヒアリング ―中東地域への自衛隊派遣について、防衛省、外務省、内閣官房より」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4【IWJ・Ch4】11:00~「第21回 総理主催『桜を見る会』追及本部ヒアリング ―内容:安倍総理の公選法及び政治資金規正法違反疑惑、ジャパンライフ問題、廃棄簿不記載問題などについて、内閣府、内閣官房、消費者庁より」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4
« プーチン決断の時期は迫っている | トップページ | レジスタンス枢軸、ガーセム・ソレイマーニー仇討プロジェクトを発表 »
「イラン」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- もう一つの国が帝国の塊に吸収された(2024.12.15)
- シリア崩壊(2024.12.11)
- クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉(2024.12.09)
- ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由(2024.12.07)
「イラク」カテゴリの記事
- クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉(2024.12.09)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- フィクション 歩きながら政治について語る二人のアメリカ人(2024.07.20)
- アメリカは「中東で紛争を求めていない」と言いながらに中東に積極的爆弾投下するバイデン(2024.02.16)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
「Finian Cunningham」カテゴリの記事
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- バイデンの哀れなATACMS挑発をプーチン大統領が無視すべき理由(2024.11.21)
- ドイツがアメリカのポチでいることの破滅的代償を示す選挙混乱とフォルクスワーゲンの苦境(2024.09.10)
「トランプ大統領」カテゴリの記事
- ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由(2024.12.07)
- トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう(2024.12.06)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- トランプの「嵐」に対抗する反乱鎮圧作戦「開始」(2024.11.28)
« プーチン決断の時期は迫っている | トップページ | レジスタンス枢軸、ガーセム・ソレイマーニー仇討プロジェクトを発表 »
コメント