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2014年度実績報告(3)

研究種目: 平成26年度鳥取環境大学特別研究費助成研究
代表者 :   浅川 滋男
研究題目: 摩尼寺境内建造物の総合調査
      -登録文化財・登録記念物にむけての基礎的研究-


【研究概要】

 摩尼寺(鳥取市覚寺)境内に含まれる本堂・仁王門・山門・鐘楼・庫裡・三祖堂・閻魔堂・善光寺如来堂を対象に実測・写真撮影・調書取りをおこない、また境内全域の建物配置をトータルステーションで測量し屋根伏図を作成した。
 2013年度後半から調査を進めていた本堂・山門・鐘楼については、2014年春に文化庁に対して登録文化財申請をおこない、6月に文部科学大臣に答申がなされ、新年1月に官報告示がなされた。本堂は安永7年(1860/棟札)、山門・鐘楼は明治中期(財産台帳)の建築である。いま問題となっているのは、傷みの激しい庫裡である。文政六年(1823)の棟札を残す境内最古の建造物であり、県内最古の庫裡である可能性もある。現在、市教委文化財課と保存対策を協議中であり、「登録」よりも「指定」で対応しようという方向で検討中である。
 文科相に対する答申の報を受け、2014年より門前の住民を主体とする「摩尼寺保存会」を組織し、2014年11月29日に本堂・山門・庫裡の登録文化財答申を祝う摩尼寺紅葉トークセッション&境内コンサート2014「思い出の摩尼」(摩尼寺保存会主催)を開催した。トークセッションでは、3棟の登録文化財認定を受けて、今後は庫裡の文化財指定および摩尼寺「奥の院」遺跡の登録記念物へむけて活動を移行していく方向性を確認した。


【研究成果】

 摩尼寺境内建造物の調査成果は『鳥取環境大学紀要』第13号に投稿し、審査を終え掲載された。
  
   宮本・吉田・中塚・浅川
    「摩尼寺建造物の調査」『鳥取環境大学紀要』第13号、2015:pp.79-97

 本論文では本堂小屋梁の酸素同位体比年輪年代測定を試み、樹皮直下の年輪年代(伐採年代)=西暦1846年という結果を得た。棟札年代を遡ること14年の暦年代である。
 上記論文を巻頭とし、2012年度本学特別研究「摩尼寺奥の院遺跡の文化資産保護と環境整備」の成果論文2篇等を含む報告書も刊行している。

   浅川編『思い出の摩尼-建造物の調査と景勝地トライアングルの構想-』鳥取環境大学、2015:83p.

 今後は、17世紀末以降、摩尼寺を末寺化した大雲院(鳥取東照宮別当寺)および安楽律院(比叡山横河)との史的関係を理解するとともに、摩尼寺から砂丘に至る遊歩道を探し、鳥取東照宮(樗谿神社)から摩尼山を経由して砂丘に至るトレッキング大会などのイベントを秋に開催したいと考えている。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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