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オートハープと日本のフォーク




高田渡と五つの赤い風船
 
 バンドゥーラと無縁ではない楽器を忘れていました。アメリカン・フォークで使われるオートハープです。ドイツに起源があるらしく、簡易ツィターともいうべきか。日本のフォーク界で、オートハープの使い手といえば、高田渡と西岡たかし(五つの赤い風船)が思い起こされます。オートハープの「オート」とは何か。自動的にコードが押さえられるようになっているのです。大正琴をイメージしていただきたい。ピアニカの鍵盤のようなボタンがたくさんあるでしょ。大正琴は単音を押さえてその音を鳴らすのに対して、オートハープはコードのボタンがあり、そのボタンを押すと、コード(和音)に不要な弦がミュートされる仕組になっている。この場合、問題なのは、キーと楽器が1対1の対応をしている点です。たとえば、上の「生活の柄」はGキーであり、下の「遠い世界に」はDキーなので、同じ楽器を使えない。別のオートハープを使わざるをえないということです。また、「遠い世界に」を聴けばわかるように、イントロや間奏においてメロディを弾いているようで、じつはメロディに近いコードを奏でているにすぎない。メロディを弾けないことはないけれども、単音は弾きにくく、コードで代替することになります。それでも、中学生のころ、「遠い世界に」を初めて聴いたときにはひっくりかえって腰が抜けました。バックに聴こえる中川イサトの3フィンガー(ギター)もものすごく安定感があって素晴らしく、オートハープとの相性抜群ですね。


 5:00~オートハープ調律~哀れな草


 高田渡がオートハープを弾きながら「生活の柄」を歌う姿は、バンドゥーラを弾く吟遊詩人コブザーリそのものではありませんか。竪琴を弾き語りする歌旅人。画面に井上陽水が映っていますが、「生活の柄」は陽水のお気に入りの曲だったようです。「遠い世界に」は反戦歌というよりも、反体制の歌ですね。「血まみれの鳩」が反戦歌だ。高校時代、鳥取市民会館で五つの赤い風船のライブを聴きました。もちろんみんなで「遠い世界に」を歌いました。当時の五つの赤い風船はビブラフォンの比重が大きく、ちょっと難解なジャズっぽい匂いの曲が多かったように記憶しています。アコギの名手、中川イサトはそのころすでにバンドを離れていました。音楽性が違う方向にむいていたのは、その後のイサトさんの活動をみれば明らかでしょう。





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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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