先日のプレイベントの打ち上げで盛り上がった話題に
大林宣彦監督作「この空の花 長岡花火物語」にエキストラ出演した実行委員が何名かいて、
中には完成後に10回以上、観たという剛の者もいました。
一昨年の夏に長岡全編ロケされ、街は大いに盛り上がっておりました。
担当者はクランクイン初日まで裏方に潜入・参加させていただきましたが、
やはり映画人というのは職人の世界で生半可な気持ちではダメなことを痛感いたしました。
それだけに完成した作品を観て自分が作った灯篭が柿川に幻想的に流れるシーンに
いろんな意味で感慨深く思っていました。
ただあの方が手を合わすのは余計に映りましたが。
あとクランクインまでとある倉庫で準備をしていたのですが、
ある日、大林監督が来訪し握手をしてただいたものの、
心なしかちょっと元気がないようなのが気になりました。
長岡の夏も大変暑いのでこれからの撮影、体力的に大丈夫だろうかと。
しかし一晩だけ撮影現場で目にした大林監督は大雨の中、
誰よりも元気で嬉々と撮影をしており、
やはり映画監督というのは何より現場で輝き、生き生きとすることを実感しました。
http://tsukurukai.blog103.fc2.com/blog-entry-1516.htmlただし完成した作品を観て主人公二人の若き日の別れの理由が引っかかるものがあり、
この辺を広島、長崎の人は観てどう感じたのか今も気になっています。
1991年に長岡のNCホールで大林監督の講演会があり足を運びました。
今も印象に残ってるのは、50代となった大林監督がこれからどんな映画つくりをするか、
映画監督は誰も50代が一番脂の乗った作品を作ってることもあり、
考えた結果、黒澤明監督の「夢」のメイキング撮影を手がけ、
その感想を講演で熱弁していました。
「夢」の現場で目にした、普通ならもういいお爺ちゃんである
高齢の黒澤監督が必死になってどんな思いで撮影のOKを出したか、
その姿を見て自分が簡単にOKを出すことを良しとしない旨を話してました。
映画の偉大な先輩の現場に尽いたことで大きな経験を得たという話だったと思います。
もうひとつが戦時中の話。
自身が過ごした幼年期の尾道での体験。
広島の原爆投下に絡んだ大変凄惨な話をして強烈に脳裏にこびりついていたものの、
それ以後、監督の著作やインタビュー記事を読んでも、
先の黒澤監督のOKのエピソードは見かけるものの、
こちらに強烈にこびりついた戦争体験の話はどこにもなく、
次第に年月が経ち、そんな話は本当にしたのか?こちらの記憶違いではなかろうか?
と、自分を疑いはじめる有様でしたが、
後に「冬のアルパカ」に出演もした某新聞社の長岡支局長が、
「この空の花」公開にあわせて大林監督にインタビューすることになり、
何か資料はないかと尋ねられたので著作をお貸しし、ついでにNCホールで聴講した
凄惨な戦争体験の話をして、あれは本当なのか確認してほしいと依頼をしました。
結果的にはやはり本当のことだったものの、今は封印しているとのこと。
監督の口からその凄惨な話を直接耳にした支局長は圧倒され
そのエピソードを映画化したらどうかと進言したものの、
うまくはぐらかされたようですが、
監督にとってのその戦争の記憶が、おそらく戦争をテーマにした
「この空の花」のどこかに染みているのでは、
その染みを確認できたら「この空の花」はまた別の深い意味を持つのではと思い返してます。
「この空の花」が長岡まつりにあわせてTジョイ長岡で
7/27(土)~8/9(金)にリバイバルされます。
いまだDVD化されてないので、今回1000円で観賞できるのは大変お得ではないかと思います。
Tジョイ長岡公式HP
http://t-joy.net/site/nagaoka/index.html「この空の花」公式HP
http://www.konosoranohana.jp/また大林監督はご存知のようにAKB48の「so long!」のPVを長岡で撮影しました。
http://www.youtube.com/watch?v=eZ4jYWQh7tEこれにあわせてAKBを使って「この空の花2」のような中篇映画も撮ってしまうのは、
サスガ映像ととことん戯れる大林監督だと思いましたが、失礼ながらもまだ見てないのは、
やはり大林映画作品なのでいつかスクリーンで観たいという願望があるからです。
長岡だけでも公開していただけないだろうかと。