失礼ですが、ン・マンタさんですか?
「Excuse me Mr.Ng Man-tat?」
「Yes」
「I like your movie」
「Thank you」
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チャウ・シンチーと名コンビ、俳優ン・マンタが死去=「少林サッカー」などヒット作多数
映画監督で俳優チャウ・シンチー(周星馳)との名コンビとして知られる香港の俳優ン・マンタ(呉孟達)が27日、肝臓がんのため入院先の香港仁安医院で亡くなった。享年70歳だった。
https://www.recordchina.co.jp/b872707-s36-c70-d0196.html
香港映画全盛期の80年代、90年代にハマった香港映画好きなら、
親戚のおじさん、もしくは近所のおじさんの如く身近に思っていた、
多分、出てくるたびにニヤニヤ、ニコニコしてしまう名バイプレイヤー、ン・マンタが亡くなったと昨晩知りました。
なんといっても香港の喜劇王チャウ・シンチー映画に数多く出演、
それもチョコマカ動き回るすっとこどっこいのチャウ・シンチーに振り回されて毎度あたふたするオジサン役に大笑いしてました、
というかあんなに年が離れながらも仲良く毎回ドタバタしてる名コンビって映画史的にもそんなにいないように思いますが、
いづれにしてもン・マンタの出てないチャウ・シンチー映画は
クリープのないなんとやらと同じ感じで物足りなくなってたのも事実、
しかしン・マンタの凄いのはチャウ・シンチーだけでなく香港映画続けて5本見たら、
5本とも主役じゃないけど、脇役で出てきたのも珍しくないほどの超売れっ子、
いかに香港人にとってン・マンタが慕われてるのかと登場するたびに思ってました。
長岡アジア映画祭では『チャウ・シンチーの熱血弁護士』と『1000の瞬き』を上映。
『チャウ・シンチーの熱血弁護士』は奥さん役のアニタ・ムイ姐さんが圧巻で、
ン・マンタの影がやや薄かったですが、特筆なのが『1000の瞬き』。
レオン・ライ扮するチンピラがお嬢様ン・シンリンと恋に落ちるラブストーリーと並行する
カタギになれない息子レオン・ライを不器用に愛しながら素直に愛情を示せない片親の父親の思いを
普段のコメディ演技を封印しシリアスに味わい深く演じて演技派としての一面を見せつけてました。
代表作に『男たちの挽歌Ⅱ』の悪役もあったりしますが、
こんな一庶民の心情を丁寧に演じ、併せて息子の窮地のために身体を張って守り信じぬく父親の姿に、
チャウ・シンチー映画のドタバタを知らない観客が見たら素直に香港にいい俳優がいるなぁ、と思ったハズです。
『1000の瞬き』はナンセンスコメディを得意とするジェフ・ラウ監督のシリアスなラブストーリー、
まだ歌手活動に重きを置いてたレオン・ライが俳優としてもブレイクするきっかけとなり、
本作を観たウォン・カーウァイ監督が気に入り『天使の涙』に抜擢、
その後に名作『ラヴソング』に主演することを思うと、いろんな意味で貴重な作品ですが、
日本ではレオン・ライの幻の傑作扱いでひっそりと公開され、
それを長岡でフィルムで上映してたのは、当時は当たり前とはいえ、こちらも貴重な上映だったと、
今回のン・マンタの訃報で思い返してました。
併せて『カンフーハッスル』でシンチーとの行き違いのいざこざから、コンビを解消してたと知り、
そういえば最近のシンチー映画に出てなかったことを気にしてたので成程と思いながらも、
訃報を知ったシンチーは「彼は私の長年のパートナーで親友、死を受け入れられない」とコメントを発表した模様。
画像は『1000の瞬き』のン・マンタが写ってる場面がなかったので『アンディ・ラウの逃避行』から拝借。
この映画、アンディ・ラウはここでもお嬢様役のン・シンリンと恋に落ちながら未来を蹴って、
舎弟ン・マンタの窮地に駆け付け共に破滅してしまいますが、
ヒロインよりも愚かな弟分との討死を選ぶのが香港映画のミソ、こちらも傑作でありました。
担当者は90年代のいつの年か香港映画好きが昂じて香港詣した際に、
高級ホテルのシャングリラホテルに宿泊でなくトイレを借りたところ、
後から入ってきたのが本物のン・マンタだったんでビックリ。
冒頭の拙い初心者英語で声を掛けたら嫌な顔をせず、
もちろん用を足し手を洗った後に握手をしてもらった思い出が。
無論、シンチー映画のようなハチャメチャな性分でなく、
映画の印象よりも背が高い物静かな紳士だったので、ますますファンになっておりました。
チャウ・シンチーとコンビを復活してまた大笑いさせてほしかった思いがありますが、
お疲れさまでしたとこの場を借りてご冥福を。
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