クリスマス寒波の只中、富山から北陸・上越新幹線を乗り継いで
『裸のムラ』シネ・ウインド公開初日に五百旗頭幸男監督は舞台挨拶に登壇。
映画『裸のムラ』は前作『はりぼて』のような明快な汚職告発映画ではなく
石川県知事の長期政権の弊害によって忖度の度が過ぎる県議会の弛んだ空気と
市井に生きるムスリムとバンライファー(車中生活者?)の家族を対比させながら、
男社会、家父長制家族について考察していく一筋縄でいかない作品。
舞台挨拶に立った五百旗頭監督はまず『はりぼて』のラストでチューリップテレビを退社した後に、
石川テレビに就職後、取材した石川県庁の富山とまた違う違和感を感じたことを話した後に、
チューリップテレビに侵食した空気に抗いきれずに辞めてしまったことで、
この空気を描いたと語り、以降司会者の質問に応える形で映画のエピソードを披露。
その中で印象に残ったのが取材対象者相手に聞きたくないことを聞くことによって本質がわかること。
ただしそこまで信頼関係を築くプロセスがあると。
映画の中でムスリム家族の次女が頑なに取材を拒む姿を執拗にカメラを向けてハラハラしましたが、
その拒む姿を見てこちらは彼女がかなりキツイ差別を受けてきたことを想像できるとはいえ、
これはかなりギリギリの角度で攻めてるように観えたのも事実。
そこをわかった上で批判も承知で五百旗頭監督は残してることも手強い映画に思いました。
その後の観客からの質問でムスリムの家族の部屋の壁に条文みたいなのが貼られているが意味は?
と尋ねられて五百旗頭監督は映画には特に意味がなく、そこまで観ていてくれて嬉しいと話した後に、
『香川1区』を例に出し小川議員の両親のインタビューの際、
ご夫妻がいいことを言ってるけど取材先の家の机に小川議員の著作が積まれてることを指摘し、
大島新監督はその本をどかさずにそのまま映すことによって、
両親は小川議員をアピールしてる姿をとらえていると。
前日に『香川1区』の試写をした際に、そのシーンは小川議員と和田静香氏の著作
「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」が卓上に確かに積まれており、
こちらは観てて少し気になったものの五百旗頭監督のように
そこまで思いを巡らすことが出来なかったのでなるほどと思いました。
舞台挨拶を終えてサイン会となり、列に並んだ最後にこちらの番になり、
ようやく今年6月の『はりぼて』長岡上映会へリモートで質疑応答に参加いただいたことのお礼を直接伝えることができました。
それで五百旗頭監督にはふたつの質問を。
ひとつは大島新監督にも絡むのでまたいづれ書けましたら。
もうひとつは映画のなかで新知事となり女性が活躍する社会の実現などと耳にいいことを話しながらも、
実際には前県知事のやりかたを踏襲するような男社会を築いてる馳浩石川県知事について、
プロレスラー時代、ファンではなかったけど注目してたことは確か。
それが闘魂三銃士がいることでトップに立てないので政界入りしと認識してると話し、
それで総理を目指してる(週プロ情報)と聞いてたのが、
今度は石川県知事なのはやはりどういうことかと。
総理でなく石川県知事として骨を埋めようとしてるのか、
その点を尋ねましたが、数年前から知事に色気があったようで
やはり週プロ情報は誤報だったのかと。
映画の中でリング上で豪快に受け身を取ってる昔の馳浩が出てきて、
あのまま継続させていけば記憶に残る立派な名レスラーとして語り継がれたものを、、、、
パンフレットには大島新監督の寄稿もある中で
五百旗頭監督の現在の上司がプロダクションノートを寄せており、
テレビ局に勤めながらドキュメンタリー映画の風雲児が部下となり、
これまでの慣習にとらわれない「正解のない番組づくり」をする姿に驚かされることを正直に書いてて、
読んで面白かったです。
『裸のムラ』は1月6日までシネ・ウインドで。
1月14日~1月27日まで高田世界館で公開。
1月14日はまた五百旗頭監督の舞台挨拶があります。
しかしニュースキャスターを務めてただけに五百旗頭監督は話がうまいばかりか、
間近で目にするとやはりかなりの美形でありました。
『ハダカの村』公式HP
https://hadakanomura.jp/1/7 『香川1区』長岡上映と大島新監督講演
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-3576.html