◎『香川1区』長岡上映と大島新監督講演
日時 2023年1月7日(土)9時40分~
会場 アオーレ長岡市民交流ホールA
上映後 13時より 大島新監督講演をながおか市民協働ルームにて開催。
*日本語字幕付き上映
*UDCastで音声ガイド対応
●コロナ感染症対策にご協力願います。
〇当日、体調の悪い方、体温が37,5度以上ある方はご参加いだけません。
〇参加される方はマスクの着用をお願いします。
〇当日は受付時に手指の消毒にご協力ください。
〇受付でお名前、連絡先の記入をお願いします。
*今後の状況により、上映会が中止・延期になる場合があります。
*入場料
前売 1200円
当日 1500円 障害者手帳、療育手帳をお持ちの方、高校生以下(学生証を提示願います) 500円
プレイガイド アオーレ長岡ながおか市民協働センター、文信堂書店、ら・なぷぅ、キャラメルママ、西時計眼鏡店、Rs、ハーブ談話室(長岡市) みずすまし(三条市) シネ・ウインド(新潟市)
*実行委員(ボランティアスタッフ)随時募集中。
主催 長岡アジア映画祭実行委員会!
問 電話09045204222 e-mail
[email protected]Blog
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/スタッフ
監督:大島 新 プロデューサー:前田亜紀 撮影:高橋秀典 編集:宮島亜紀 音楽:石﨑野乃
監督補:船木 光 制作担当:三好真裕美 宣伝美術:保田卓也
宣伝:きろくびと 配給協力:ポレポレ東中野 製作・配給:ネツゲン
2022年 / 日本 / カラー / 156分
公式HP
https://www.kagawa1ku.com/予告編
https://www.youtube.com/watch?v=A8grZWAAF5Y&t=137sイントロダクション
衆議院議員・小川淳也氏(50歳・当選5期)の初出馬からの17年間を追った『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年公開)は、ドキュメンタリー映画としては異例の観客動員35,000人を超える大ヒットを記録、キネマ旬報ベスト・テンの文化映画第1位を受賞し、NetflixやAmazonプライムビデオなどで配信され、今なお広がり続けている。
続編への期待が寄せられる中、次作に向けて小川議員への取材を続けていたが、この秋に行われた第49回衆議院議員総選挙に焦点を当てた新作ドキュメンタリー『香川1区』の公開を急遽決定。
本作は『なぜ君…』の続編的位置付けとして、いまや全国最注目といわれる「香川1区」の選挙戦を与野党両陣営、各々の有権者の視点から描き、日本政治の未来を考える一作として世に問いかけたい。
“なぜ君”は終わらなかった!
全国最注目! “小川 VS 平井” 18年目の戦い
われわれが政治家に求めているのは何なのか?
前作『なぜ君…』の公開後、映画の主人公・小川淳也議員に対し、その純粋さ、清貧さ、生真面目さを知った観客から「こんな政治家がいたのか?」という声が上がり、その注目度は一気に高まった。しかし、小川は選挙に弱い。2003年の初出馬から1勝5敗と戦いに窮し、比例復活当選を繰り返してきた。
その選挙区「香川1区」で小川の前に立ちはだかってきたのが、自民党の平井卓也議員(63歳・当選7期)である。平井氏は3世議員で、地元でシェア6割を誇る四国新聞と西日本放送(日本テレビ系)のオーナー一族。現在も平井氏の弟が四国新聞社の社長を務め、母親が社主という地元では誰もが知る「香川のメディア王」である。一方の小川は、「地盤・看板・カバンなし」の「パーマ屋(美容室)のせがれ」。これほど対照的な候補者が並び立つ選挙区が他にあるだろうか。
前回2017年の総選挙では“希望の党騒動”が勃発するも、両者の票差は2000票にまで縮まり(当確ラインは約8万票)、平井氏が辛勝。その後、小川は統計不正についての国会質疑で注目を集め、映画が話題になったこともあり、知名度は全国区に広がりつつあった。
一方、平井氏は2020年9月に菅義偉政権が誕生すると、内閣の目玉である「デジタル改革担当大臣」に就任。保守地盤である香川の有権者にとって、「大臣」の名は絶大だ。もはや平井氏の地位は盤石、小川の苦戦は免れない…と思いきや、大臣として注目を浴びる平井氏はオリパラアプリに関する不適切発言などによって新聞や週刊誌のスクープの標的となっていく。そんな中、平井氏が意外にも本作の取材に応じた。『なぜ君』は観てはいないが、タイトルがキャッチーでいいと褒め、悠然たる面持ちで自らの政治観を語る平井氏に大島監督はどう斬り込んだのか。
そして公示直前、この激戦区に日本維新の会から町川順子氏が名乗りを上げた。香川1区はさらに混沌の渦に巻き込まれていく…。
人々が求めるのは、現状維持か変革か。この国の民主主義の成熟度はいかに……。
2021年10月31日の投開票日、映画は有権者の手によって結末を迎えたが、それを機に新たな現実が大きなうねりとなって動き始めている。そのただ中、本作は公開を迎える。
監督プロフィール
大島新(おおしま・あらた)
ドキュメンタリー監督、プロデューサー。
1969年、
神奈川県藤沢市生まれ。
1995年、早稲田大学第一文学部卒業後、フジテレビ入社。
「NONFIX」「ザ・ノンフィクション」などドキュメンタリー番組のディレクターを務める。
1999年、フジテレビを退社、以後フリーに。
MBS「情熱大陸」、
NHK「課外授業ようこそ先輩」「わたしが子どもだったころ」などを演出。
2007年、ドキュメンタリー映画『シアトリカル唐十郎と劇団唐組の記録』を監督。
同作は第17回日本映画批評家大賞ドキュメンタリー作品賞を受賞。
2009年、映像製作会社ネツゲンを設立。
2016年、映画『園子温という生きもの』を監督。
2020年、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を監督。同作は第94回キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位となり、文化映画作品賞を受賞。
2020年日本映画ペンクラブ賞文化映画部門2位、第7回浦安ドキュメンタリー映画大賞2020大賞、日本映画プロフェッショナル大賞特別賞を受賞した。
プロデュース作品に『カレーライスを一から作る』(2016)、『ぼけますから、よろしくお願いします。』(2018)
など。
文春オンラインにドキュメンタリー評を定期的に寄稿している。
なぜ『香川1区』なのか
大島 新
タイトルは、映画を観るときの補助線になる。前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、小川淳也の17年間にわたる記録だが、このタイトルをつけたことによって観客はその視点から映画を観ることになる。これが『ある野党政治家の17年』というタイトルだったら、また違う印象を与えただろう。
さて、『香川1区』である。続編とうたいつつも、前作とはまったく異なる無機質なタイトルにしようと当初から考えていた。そしてタイトルは、観る側だけでなく、取材する側の姿勢をも規定する。『香川1区』と決めたからには、小川陣営だけの取材でいいはずがない。むしろ、選挙で勝ち続け、小川にとっては高い壁となっている平井卓也陣営や自民党支持者の在り様をきちんと描かなければ、と考えた。取材によって見えてきたのは、おそらくは日本中の選挙区で見られるであろう、自民党の底力であった。その力の源泉には、なるほどと思うこともあれば、これが民主主義と呼べるのか、と言いたくなるような側面もあった。
そうした自民党の強さを上回るには、魅力的な野党候補と、その人をサポートする支持者たちの熱量しかない。10月31日の午後8時、歓喜の小川事務所で、私は「これは小川の勝利というよりも、支持者たちの勝利だ」と感じていた。
結末はわかっているドキュメンタリーなのだが、2021年6月から本格的に始めた取材は、「これでもか」というくらい様々なことがあった。特に10月の1か月間は、怒涛の日々だった。前作では、私たちは取材者であり、記録者であったが、本作では期せずして「当事者」にもなっていった。その過程も、すべて盛り込んだ。完成した映画の尺は156分。私は自分が観客の場合、2時間を大幅に超える映画には行きたくないと考えるタイプだ。そんな私なのに、2時間半を超える映画を作ってしまった。「そこで何が起きていたのか」を真摯に表現するために、これでもぎりぎりに絞り込んだ結果である。表面上の主人公はもちろん小川淳也であり、対抗馬の平井卓也と町川順子も当然ながら重要な存在だ。だが私の中では、「この映画の真の主人公は有権者だ」という思いが日に日に強くなっていった。そしておそらくは、日本中に『香川1区』は存在するはずだ。