(c)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会
三上智恵 @chiemikami
文化庁長官は私の目の前最前列で、場違いな私の挨拶を頷きながら聞いてくださっていました。本当に不交付の撤回を実現して欲しい。土井俊邦監督も仰っていたが、政治を批判する私たちの作品を評価してくれた太っ腹を愛知の件でも見せて欲しい。文化行政に若い人たちが絶望するような汚点を残さないで
https://twitter.com/chiemikami/status/1188967486642765824本年度の文化庁映画賞 文化記録映画優秀賞を『沖縄スパイ戦史』が受賞。
文化庁長官(佐渡出身)も出席した贈呈式が開催されて三上智恵監督、大矢英代監督も出席。
しかし文化庁主催ということで、やはり三上監督は現在のしんゆりの問題に連なる
あいちトリエンナーレへの交付金の撤回について文化庁長官を前にしスピーチの中で抗議をしたそうです。
大矢監督とともにスピーチを『沖縄スパイ戦史』のFACEBOOKから転載します。
●三上智恵監督
「私どもの映画に、このような大きな光を与えていただいたこと、心から感謝申し上げます。この受賞は、私が一番ですが、私どものスタッフも大変驚いています。と、申しますのも、私はこれまで3作品、高江や辺野古など、国の国防をめぐる政策のなかで20年、しわ寄せを食っている現場からの映画を撮ってきました。
そういったなかで『三上さんのような反日的な映画が文化庁映画賞!?』『映画賞を取り消されるのではなの!?』などと身内に限って驚いていて、何十人にも言われてきましたが、(笑)、文化庁からお墨付きをいただくような、そんな日が来るとは本当に意外でした。また私は、まったく反日のようなつもりはなく、この国を愛しています。
と申しますのも、いま起きている出来事というのは、沖縄にとっての『安全』と、国が、中央政府が考える『安全』とのズレが不幸にも20年続いてしまっているのだと思います。
沖縄からすれば、自分のふるさとや家族を守るために、立ち上がらざるを得ない人たちを描いていく、小さき、抑圧されがちな声に耳を傾けることを、私は映画製作者として、まずやらなければならないことだと思っています。そうした私たちの仕事を、このように国にも評価をしていただいたことで、勇気100倍の気持ちでいます。文化庁の方たちにはこのように『表現の自由を必ず守るんだ』という応援を一貫していただきたいと思います。
同時に、あいちトリエンナーレに対する交付金の不交付については、真逆の方向のことだと思っています。ものを作る人間として、ここは抗議をさせていただきたいし、今からでも決して遅くはありません。この場をお借りして、不交付をもう一度交付に、交付撤回の撤回をお願いしたいと思います。
さて、私たちの映画の前半に出てくるのは、沖縄戦でスパイ戦をさせられた当時10代の沖縄の少年たち「護郷隊」なんです。戦後74年間、護郷隊はずっと証言をすることを躊躇ってきたおじいちゃんたちなんです。彼らに『文化庁から賞をいただくよ』と伝えたら、それこそ紅白出場か!?というくらい、すごく喜んでくださいました。ずっと光があたってこなかった少年兵部隊だからなのだと思います。私は映画に出てくださったいま90歳、91歳のおじいちゃんたちがこんなにも喜んでくれた、ということが何よりも幸せに思っています。
最後になりますが、これからも私たちは頑張って良い映画を作っていきたいと思いますし、それをまた文化庁の皆さんに応援していただけたら、こんなに嬉しいことはないと思います。どうもありがとうございました。」
●大矢英代監督
「まず初めに、私たちの映画をすばらしい賞に選んでくださった選考委員の皆さま、文化庁の皆さまに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
私と三上さんが10カ月という短い期間で全速力でこの作品を作った背景には、やはり今の時代に対する、危機とも呼べるような焦りがあったのだと思います。よく私の周りの方からは『大矢さんはまだ若いのに何で沖縄戦を取材しているの?』などと言われるのですが、やはり若い世代だからこそ、沖縄戦の教訓を学ばなければならないと思っています。
中学・高校の歴史の授業を思い返せば、沖縄戦は教科書のなかで1行、2行くらいしか載っていなくて、なぜこれだけ多くの民間人が亡くなったのか、自国軍である日本軍が住民たちを利用し、どんなふうに始末をしていったのかといった、この映画で私たちが描いたような歴史の真実は全く教えられてきませんでした。
私の世代で教えられてこなかったということは、次の世代にはもちろん伝わることはありません。拭い去ることができないこの歴史を、私たちの世代がしっかりと伝えることが、もう同じような悲劇を繰り返さない、住民たちが二度と戦争で犠牲になることがない、そして次の戦争に加担することがない、そういう日本社会を作っていく一歩になると信じています。
いま私はアメリカ政府の奨学金であるフルブライト奨学金をうけて、アメリカで次の作品の製作をしています。今回、文化庁からこのような栄誉ある賞をいただくことになり、久しぶりに帰国をさせていただきましたが、以前よりも増して、世の中がだんだんと、ものを言えない風潮になってきていると感じています。
私はひとりの表現者として、どんな作品を作っても社会に伝えることができる、その環境が守られ続ける、そんな日本社会であってほしいと思っています。これからも一生懸命、作品を作り続けていきますので、ぜひ見守っていただけれればと思います。この度は本当にありがとうございました。」
文化庁映画賞の受賞記念上映会が今週末11/2(土)に東京都内の神楽座(飯田橋)で行われます。
<受賞記念上映会>
日程:11月2日(土)10:00~
会場:神楽座(飯田橋)
10:00~『沖縄スパイ戦史』*上映後、三上智恵監督トーク
13:00~『ぼけますから、よろしくお願いします。』
16:00~『福島は語る』
https://www.facebook.com/spy.senshi/posts/2352590308201910?__xts__[0]=68.ARB2DjfC7IFDmI0Gb15kl4JnzG9P1cpu6bai_uznRGE6JnRPfzxyamDXWQOoQAUqeT7QJSGxJr6yq2ukzzSZT5hDykyAEom62U2INg6H2WV4acVsGQA4BHtZ6Z-m0Rt1mVTPDpb0e07BnioRmruA-QEZ6GroGiVwcMo3gE_eOfNr_CoPnLb8hb9cOn5s4TfdvuqqOYnnh4XlIsXyBoDgFqt6C3WuDoRzfKXEBsuCJ0u8l6ZczFq4uMLK0xyrj8aLzroccqzzIYe1zu8EBzkmNG3Npl97kRyJ-TFuYlKSCChgnm9y3Blyz0izAQ8vW7dI3_5jyepOEMjKAqSPeaQnLRSqiA4&__tn__=H-R
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◎ 『愛と法』長岡上映会
日時 11月9日(土) 10時30分~
上映後 黒田隆史弁護士講演 「弁護士という生き方~LGBTsに関わるということ~」
会場 アオーレ長岡市民交流ホールA
*『沖縄スパイ戦史』長岡上映会
日時 11月9日(土)14時~
上映後 福本圭介氏(新潟県立大学准教授)講演 「今、一市民として沖縄の米軍基地問題をどう考えるべきか?」
会場 アオーレ長岡市民交流ホールA
主催 長岡アジア映画祭実行委員会!
電話 09045204222 e-mail
[email protected]HP
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