1996年7月18日~21日
長岡市立劇場
上映作 上海ルージュ (中国・フランス)、 わが家の問題(朝鮮民主主義人民共和国)、 霧の村(韓国) 、君さえいれば 金枝玉葉(香港)、ピロスマニ (グルジア)、ナヌムの家(韓国)、格闘飛龍・方世玉(香港)、川の流れに草は青々(台湾)、白い風船(イラン)、 眠る男(日本)
ゲスト: 佐藤忠男、 関川夏央、小栗康平
↑「第1回長岡アジア映画祭」のラインナップとゲストで
オープニング上映作『上海ルージュ』の上映後に講演いただいたのが佐藤忠男先生でした。
3月17日にお亡くなりになられたという訃報を聞き、やはりこの日の講演のことを思いだしてました。
長岡市立劇場という大会場ながら、まるっきりお客さんが入らず、
微々たる入りのなかで佐藤先生にお話しいただくのは本当に失礼ではないか、
舞台裏で戦々恐々としていましたが、先生はきちんと用意した原稿を手元に、
お客さま一人ひとりに語り掛けるようにアジア映画の魅力についてお話しいただき、
講演のあとはスズランビル4階にあった市民映画館をつくる会事務所まで、
奥様と一緒に階段を自ら上ってきて、
手さぐりで始めた映画祭について今思えば大変貴重なアドバイスをいただきましたが、
当時の自分はどこまで先生の言ってることを理解したのか甚だ疑問なのが恥ずかしい限りですが。
何しろ先生のお話を伝える後日掲載された新潟日報の記事に、
お客さんが少ないという異例ともいえる一文が掲載されてたほどで、
あの時のことを思えば以後の上映会でどんなにお客様が少なくとも恐れることはなし。
そのぶん来ていただいたお客様がいるならきちんと開催するよう心掛けてるか、
あの日のほんとうに数少ないお客様に向けて話していた佐藤先生のような気概で挑んでいるか、
自問自答をしたりしてます。
しかし先のラインナップは辛うじて『君さえいれば 金枝玉葉』と『眠る男』には
お客様が来ていただいたものの、他の作品は広い市立劇場が余計に広く感じられたほど、
本当に少ないお客様でしたが、ラインナップを眺めるとよく集めたと思うほど、
当時も今も貴重なフィルムばかりなので1映画好きとしてこの時の市立劇場で存分に映画を観ていたかった思いが。
『格闘飛龍・方世玉』などジェット・リーのスペクタクルカンフーが市立劇場の大スクリーンで上映されてたなど、
もし客席にいたら興奮のあまり身震いしながら観ていたハズなので、僅かにいたお客様が大変羨ましい思いが。
話を佐藤先生に戻して最も記憶にある先生の言葉は、
欧米一辺倒でなく、そのほかの国と地域の作品を観ていくことで
「世界を公平に観る」ことが映画で養われること。
その後、担当者は偏りすぎたりしますが、
この言葉は確かに今でもこちらを貫いたりしています。
お疲れさまでしたと本当にありがとうございました。