月面探査機 出動

日本の月面探査機スリムが月面に降り立ちました。
インドに抜かれてしまいましたが、世界で5番目の快挙です。
我が国の技術は世界一~って感じですね。
ただ、見ての通り90℃傾いて着陸した探査機、目標値から55m離れたところに降り立ったそうですね。
そんな探査機を見てJAXAは60点という低い評価を行っています。
ピンポイント着陸も成功確実なスリム なぜ60点なのか JAXA幹部が辛口採点
日本初の月面着陸を20日未明に成功させ、わが国を世界5番目の月面着陸成功国へと押し上げた小型実証機「スリム(SLIM)」。だが、快挙にもかかわらず、着陸後に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の幹部が下した採点は「60点」だった。なぜこんなに厳しい採点となったのか。
スリムが月面着陸に成功した直後の20日未明に開かれた記者会見で、報道陣から着陸について採点を求められた国中均・宇宙科学研究所長は「ぎりぎり合格の60点だ」と苦虫をかみつぶすような表情で語った。
地球から最も近い天体である月への着陸は、実は非常に高度な機体の制御技術が必要だ。地球の約6分の1に当たる強さの重力があるからで、機体の降下速度や姿勢を高度に制御しないと、月面に引き寄せられて衝突に至る。月面着陸の成功国が4カ国にとどまっていたのはこのためだが、スリムは見事に成功した。これだけでも十分に素晴らしい成果だ。
それに加えて、スリムは「ピンポイント着陸」の成功も確実視されている。各国の月探査機の着陸は、目標地点に対する誤差が数キロ~数十キロと大きかった。だが、スリムは新開発の高精度な位置把握技術で、誤差わずか100メートル以内のピンポイント着陸を目指した。
詳細なデータ解析が必要な成否判定には約1カ月かかるが、国中所長は会見で「既に判明している飛行データから、成功はほぼ確実だ」と指摘。これも大きな成果になった。
それなのに、なぜ60点なのか。理由は、着陸自体は成功したが、月面到達後に太陽電池が発電しなくなり、月面でのその後の活動を大幅に縮小せざるを得なくなったためだ。
スリムには、月の成り立ちを探るため、隕石(いんせき)の衝突などで月内部のマントルが露出しているクレーター付近の斜面に着陸した後、岩石を特殊なカメラで撮影して成分を分析するという使命があった。これに必要な電力は太陽電池で供給するが、大気のない月に降り注ぐ強い太陽光で100度以上の高温になって内蔵される半導体が壊れるため、活動の限度は数日間だった。
ところが、太陽電池のトラブルで内蔵バッテリーしか使えなくなり、活動可能な期間はわずか数時間に縮小。岩石の撮影は行われたとみられるが、予定の画像撮影量を大きく下回り、分析結果に影響が出るのは確実だ。それが、採点を大きく減点することにつながったとみられる。
いったいなぜ、太陽電池は発電しなくなってしまったのか。国中氏は現時点での可能性として、計画と異なり太陽電池に太陽光が当たらない向きで着陸してしまったケースと、着陸時に機体がひっくり返って太陽電池のある面が下側になったケースを挙げた。
スリムは斜面に着陸するため、世界で初めて「2段階着陸方式」を採用している。着陸時に機体底面の一端が接地した後、斜面に沿って倒れ込むような形で機体上部の側面を接地させて着陸するものだが、倒れ込む際に勢い余れば、国中所長が指摘するようなケースになりかねない。
機体がひっくり返ってしまった場合は、復旧できる可能性が非常に低い。一方、計画と異なる向きでの着陸の場合、月が軌道を周回するうちに太陽光の角度が変わり、太陽電池が復活するかもしれないという。その可能性を確認するため、JAXAは機体の状態の把握に全力で取り組み、データ分析を急いでいる。
倒れて着陸してしまったので活動時間が大幅に削減されたのが60点という低い自己評価なのでしょうね。
快挙を成し遂げた後とはいえ、次につなげれる評価をいただきたいものです。
スリムにはお助けロボとしてSORA-Qが搭載されており、そのカメラで現在のスリムの状態が判明したそうです。
ピンポイントの月面着陸に成功 実証機スリム、「倒立」で 月面ロボ画像で判明
世界5カ国目の月面着陸に成功後、太陽電池が発電せず活動を停止した日本の小型実証機「スリム(SLIM)」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、目標地点から約55メートルの位置に着陸したと発表した。目標地点への誤差を100メートル以内に抑える高精度な「ピンポイント着陸」に成功したのは世界で初めて。飛行データや月面ロボットの撮影画像から判明した。ただ、降下途中にエンジンが破損し姿勢が乱れ、予定の姿勢から180度回転した形の「倒立状態」で着地したという。
JAXAによると、スリムは20日、月の約15キロ上空から、クレーター周辺の斜面に向けて正立状態で、月面の画像を撮影しながら降下した。事前観測で用意した月面地図と14回にわたり照合し、自分の位置を正確に把握。搭載していた目標地点から約55メートルの場所に着陸することに成功した。
目標地点周辺の障害物を自律的に回避していたことから、JAXAでは最終的に目指した地点への着陸誤差は少なくとも10メートル以内で、わずか3~4メートルだった可能性が高いとみている。
一方、着陸姿勢は計画と大きく異なった。スリムは着陸直前に、超小型の月面ロボット「ソラキュー(SORA-Q)」と月面探査機「LEV-1」を放出。その後、機体底面の一端で接地してから機体を斜面に倒れ込むように傾け、上部側面も接地し斜面で姿勢を安定させる「2段階着陸」を行う計画だった。
だが、2基のエンジンのうち1基が破損し、逆噴射の出力を失ったことから姿勢を崩したという。着陸姿勢は、飛行データの解析のほか、ソラキューが月面で撮影し、LEV-1が地球に送信した画像から、倒立状態と判明した。太陽電池は太陽光が差し込まない西側を向き、発電できない状態だった。エンジン破損の原因は不明で、着陸時に機体がどのような動きをしたかも含め、解明を急いでいる。
JAXAによると、太陽電池は真下を向いていないため、太陽と位置関係が変わって西側から光が当たれば、発電を開始する可能性があるという。光が当たる位置関係は今月中に訪れる見通しで、太陽電池が稼働すれば、周辺の岩石の撮影など、数日間の月面での活動を再開する。
スリムは昨年9月7日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、今年1月20日に日本初の月面着陸に成功したが、直後に月面での活動エネルギーを賄う太陽電池が発電せず、数日間を予定していた月面活動が困難と判明。
獲得済みの飛行データや月面の画像を、持続時間わずか数時間の内蔵バッテリーで地球に送信した後、太陽電池の発電が可能になった際にシステムを安定的に再起動できる最低限の余力を残し、電源をオフにしていた。
エンジンのうち一基が破損しても無事着陸できたことは素晴らしいですね。もし壊れていなかったら5m以内ってのもすさまじい話です。
お助けロボもしっかりと働いておりますので今後の仕事がはかどるのでしょう。頑張っていただきたいものです。
今回活躍しているお助けロボはトランスフォーマーなどの技術を応用したものだそうです。
日本のおもちゃ技術、月へ 変形ロボットが〝倒立着陸〟の探査機撮影
世界で5カ国目となる月面着陸に成功した日本の小型実証機「スリム(SLIM)」から着陸直前に分離された超小型変形ロボット「SORA―Q(ソラキュー)」は正常に作動し、スリムが頭からひっくり返るように月面に接地している様子などを撮影した。
タカラトミーなどが開発した「SORA―Q」は直径約8センチ、重さ約250グラムの球体で、野球ボールほどの大きさ。生き物の動きから着想を得たおもちゃ企業ならではの技術が詰まっており、月で撮影した写真を地球に送り届ける。
月面で球体が左右に開いて変形。外殻を両輪のように回転させて走行する。前後2台のカメラで、走行中の周辺環境や着陸後のスリムを撮影する。写真やデータは別の小型探査機を経由して地球に送信する。電池が切れるまで活動を続け、地球には戻ってこない。
球体からの変形は、乗り物がロボットに変形する同社のおもちゃ「トランスフォーマー」の技術を活用した。両輪が回転する「バタフライ走行」と交互に回転する「クロール走行」は、干潟で動くムツゴロウやウミガメの動きがヒントになった。砂をかき分けて体を浮かせながら移動し、30度の斜面も上れる設計だ。
ちなみに市販されているそうですね。面白い技術だと思います。
これも日本ならではなのでしょうね。
そしてスリムも無事太陽光発電を開始して活動を再開したそうです。
実証機スリム活動再開 月が「昼」になり発電可能に 撮影も
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、世界5カ国目の月面着陸に成功後、太陽電池に太陽光が当たらず活動を停止していた日本の実証機、「スリム(SLIM)」が月面活動を再開したと発表した。機体周辺が月の「昼」になって太陽光の向きが変わり、発電が始まったとみられる。着陸地点周辺の岩石の撮影も行っているという。
JAXAによると、スリムと地球との通信が28日午後11時に復旧。太陽電池が電力の供給を始めてスリムのシステムが再起動し、月面での活動を再開したことが確認された。送られてきた機体のデータから、観測用の特殊なカメラも稼働可能と分かり、周辺の岩石の撮影を実施。画像は順次、地球に届いている。
スリムの太陽電池が発電しなかったのは、エンジンの破損で姿勢が乱れ倒立状態で着陸し、上を向くはずだった太陽電池が西を向いたため。月の1日は地球の約27日に当たり、スリムが20日未明に着陸した月の赤道南側の「神酒の海」は「朝」だった。そのため太陽光は東から差し、機体西側で影になる太陽電池に当たらなかった。その後、「昼」になって太陽光の向きが変わり、発電が可能になったとみられる。
ただ、「昼」の月面温度は100度を超えるため、機器の半導体の損傷が予想され、正常な月面活動が可能なのは数日程度とみられる。また、2月に入ると周辺は「夜」となり闇に包まれ、特殊カメラでの撮影が困難になる。JAXAは「機体の状態を見守りながら、可能なかぎり月面活動を続けたい」としている。
望みを捨てない日本の技術、無事に活動を再開して月面の調査を行っているようですね。
2月に入ると活動できないとのことです。それまでに出来るだけの情報を取ってもらいたいものです。
わずかな予算でここまでの快挙を成し遂げたJAXA
我が国の誇りですね。
(ブラッキー)


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