花屋
- 2011/02/26 21:42
- Category: bologna散策・あれこれ
毎日快晴だ。寒いけれど快晴はとても嬉しい。それが週末に当たれば尚更で、休みの日くらいゆっくり寝れいればいいのに、いそいそと身支度をして外出した。このところ少し頭が混乱しているようだ。それで気分転換にもってこいの町歩きに繰り出したのである。外は10度もない。しかし春まで待てないと言わんばかりに沢山の人が旧市街に集まった。勿論皆冬支度。この冬の終わりに風邪でも引いたら損してしまうと言わんばかりに。通りかかった小さな店に入った。Piazza Santo Stefano から直ぐ其処の店で、私の気に入りのひとつだ。ちょっと他の店にない感じの衣服やアクセサリーを置いている。特別高い店ではない。しかし決してリーズナブルな店ではない。だから見るだけのことが殆どで、振り返ってみても割引をしてくれる時期以外に購入したことは今まで一度もない。先日冬のサルディを利用して襟巻を2本購入した。とても気に入ったので早速首に巻いて出掛けたところ、思いがけず色んな人に褒められて益々この店が気に入ったというわけだ。店にはいると狭い店内に先客が幾人もいたが、いつもの店の人が直ぐに私に気がついてくれた。彼女は私の首に巻きつけられた襟巻を見て、気に入って頂けたようで嬉しいです、と囁いてまた先客の元へと戻っていった。今の時期は大変微妙で、店内は冬物と春物が其処此処に置かれていた。先客の美しいシニョーラはどうやらこの店の常連らしい。幾枚もの春先の襟巻と衣服を試し、どれもこれも気にいって困ってしまった様子である。あら困ったわ、などと言って。そうしてひと唸りしてから決めたと言わんばかりに顔を上げ、全部購入してしまった。あら、びっくり。それは私だけでなくて他の客も、そして店の人も。私は狭い店内を一通り見てから、また来るからと挨拶をして店を出た。自分への小さなご褒美でもと思っていたのだけど、何も見つからなかった。カメラを手に路地を歩き大通に出てはまた路地に入り込みしているうちに食品市場界隈に入り込んだ。その一角の間口の狭い花屋。寒いけれどここだけには春がやって来たらしく、目に眩しいほどの春の色が散りばめられていた。足を止めて花に見入っていたところ、女性が後ろから私を追い越して店員に声を掛けた。これをひと束。贈り物ですかと訊く店員に、ううん、自分用だからそのままで、と答えて彼女はそのまま花束を受け取った。そうだ、と思いつき私も店員に声を掛けた。これをひと束。私は先程の女性とは違う花を指差して、自分用だからそのままで、と言った。すると店員が今日は自分用の花がよく売れると言ったので、まだ横にいた先客の女性と私は顔を見合わせて笑った。自分用の花。いい響きだ。私は鼻歌を歌いながら歩き始めた。そのうち頭の中の混乱は快晴の空に空気と化して飛んでいった。
inei-reisan
もーすぐカーニバルですからへんな衣装を着ている人もうろうろしています。笑