12月24日

24122024small.jpg


クリスマスを前にして街はせわしない。日本ならば大晦日にせわしないという言葉がぴたりとくるけれど、イタリアはクリスマスが一年の頂点みたいなものだから、その前日ともなると色々忙しいのである。家族が集まるクリスマス。そのためにどの家のお母さんも腕によりをかけて料理するが、そのための買い物の量と料理に掛ける時間と情熱と言ったら大変なものなのである。集まる大切な家族の為ならと、お母さんはそんな事すら嬉しいのである。だから旧市街の青果店の前や精肉店の前には長い列ができている。精肉店に関して言えば、もう何日も前から予約をしている人が殆ど。その日に店に行ったって大したものは手に入らないのだ。そういうことを姑が元気だった頃に教えて貰ったものだけど、26年前に倒れてからは姑の手料理を愉しむことが出来なくなった。彼女の手作りトルテッリーニは格別だった。どれもこれも遠い昔の話だ。姑が倒れて、舅が逝って。現実として受け止めるのに随分と時間が掛かったが、今はもう慣れたものだ。と言っても相棒にしてみれば、ついこの間のことに思えるのかもしれないけれど。

今日は足の手入れに行った。足の手入れとは、つまり足を手入れして貰うことだ。爪や踵を滑らかにして貰って、ネイルカラーを施して貰い、それから足の裏をぐいぐい押して貰う。私は沢山歩く人間。歩くことは少しも苦ではないけれど、時々こんな風にして足の裏を押して貰う必要がある。押すというよりは揉み解すと言った方がぴたりとくるだろうか。自分ですればいいじゃないかと人は言うけれど、それで自分でしたこともあるけれど、なにぶんにも身体が固くて足が攣って大騒ぎになった。それ以来こんな風にして他人にお願いするのである。そのついでに足を綺麗にして貰う。贅沢と言えば贅沢。でもたまにはこういうのも良いと思う。こんなことで一年を締めくくって、気持ちよく新しい年を迎えられるなら、全く安い話なのだ。それに私は疲れていたのだ。かなり前から疲れていた。だからこんな感じの癒しの時間が必要だったのである。
足の疲れが取れて、足取り軽くポルティコの下を歩いた。今日はあちらこちらの店の外で、シャンパングラスを傾ける様子に出くわした。皆着飾って。どんな種類の人達なのだろうか。昼からシャンパングラスを片手にお喋りする男女たち。40代後半くらいから70代くらいまでの大人の集まりで、仕事絡みだろうか、だとしたら華やかな業界の人達に違いない。そんなことを考えながら横を通り過ぎた。
昼過ぎには旧市街のカフェやレストランを除く多くの店がシャッターを下ろしてしまった。店の人達もクリスマスの準備がある筈だから、当然と言えば当然。今日の午後から26日の祝日まで、たっぷり家族との時間を過ごすのだろう。

ところで昨日手に入れた手袋の使いやすいこと。暖かいこと。私が手袋の代金を払う頃には店の中は客で一杯になり、扉の向こう側にも中に入りたい人が沢山居たから、私は運が良かったのだ。それとも。人が入っている店は魅力的に見えるのかもしれない。誰かが中で買い物をしていると、其処で買い物をしたくなるのかもしれない。どちらにしても運が良かった。そして良い手袋を手に入れて、私は大変機嫌がいい。 




人気ブログランキングへ 

Pagination

Comment

Jacqueline

yspringmindさん、Buon Natale e Buone Feste☆☆☆
そう、日本人からすると、クリスマスでお正月が早まったような雰囲気ですよね。
やっぱりクリスマスにトルテッリーニが出て来るところはボローニャらしいなあと思いながら、クリスマス時の街の様子を拝読させていただきました。
引き続き、穏やかで楽しく癒しのクリスマスタイム、年末年始をお過ごしくださいませ☆

yspringmind

Jacquelineさん、Buon Natale.
イタリア人のクリスマスに注ぐ情熱は凄いですね。元旦はあっけにとられるくらいさっぱりしたものなのに。
でもこの季節は華やかで賑やかでいいですね。人混みは苦手だけど、この雰囲気はなかなか好きですよ。
Jacquelineさんも暖かい素敵なホリデーシーズンをお過ごしください。
  • URL
  • 2024/12/25 17:25

Post Your Comment

コメント:登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

yspringmind

Author:yspringmind
ボローニャで考えたこと。

雑記帖の連絡先は
こちら。
[email protected] 

月別アーカイブ

QRコード

QR