美味しいオレンジを探しに行こう
- 2023/02/28 22:12
- Category: 好きなこと・好きなもの
寒い寒いといったい何度言ったことか。山のほうでは雪が降ったのではないかと思うほど、今日のボローニャは寒かった。皆で寒いねえと言いながら、2月だから仕方がないねと言って笑った。それも明日には通用しなくなる。何故なら明日はもう3月だからだ。今の窓から見える栃ノ木の枝に小さな新芽が付いた。その横にあるアカシアの樹は枯れ木のままだけど。しかし植物の生命力というのは目を見張るものがある。枯れ木だと思っていた樹も、気が付くといつの間にか生き生きとした葉をつけて、そよぐ風に葉を揺らすのだ。早くそんな時期になればいいと思う。その頃には重い冬のコートを脱いで、軽快な丈の短いジャケット姿で街を歩いているだろう。
この冬はシチリア産のオレンジを食べていない。タロッコと呼ばれるシチリア産のオレンジは瑞々しくて果肉が甘く、そのまま頂いても絞って飲んでも美味しい。私の好物のひとつで一日ひとつの割合で冬中愉しむのが私の冬の習慣だったが、今年は一度も、である。理由は美味しそうなオレンジに出会えないからだ。街を歩きながら青果店の前を通ると足を止めて眺めるも、美味しそうなオレンジがない。理由は気候のせいかもしれない。水不足だ。それはずっと前から誰もが懸念していたこと。かといって降る時は集中的に降り、水害になる。イタリアに限らず世界中で。地球はどうしてしまったの?
今度の土曜日にオレンジを探そうと思っている。冬が終わる前に一度くらいは美味しいのを頂きたいのだ。丁寧に皮を剥いて、丁寧にすじを取り除いて、ひと房、そしてもうひと房と口に放り込むのを想像すると居ても経っても居られなくなる。果物にしても野菜にしても、その季節に頂くのが一番で、それは手頃にできる贅沢でもあるのだ。
それにしても夜になると眠気が襲ってくる。それはポルトガルの、ナザレの海の大波のように。ああ、眠い。もう限界だ。