急に暖かくなった。昼間は20度を越え、もうウールのセーターなど着ている場合ではない。セーターならばコットン、木綿の薄いシャツ一枚でも良いくらいだ。ところが朝晩の冷え込みといったら驚くばかりで、其の上風が吹こうものならジャケットを着てスカーフをぐるぐる首に巻きつけていても寒いくらいなのである。これは典型的なボローニャの春。気をつけないとあっという間に風邪を引く。金曜日もそうだった。明るくて穏やかな昼間からは想像できぬほどの冷え込みで、友人と其のまた友人たちと旧市街で食事をしていたらうっかり11時になってしまい、それではと店を出たところひゅーひゅーと風が吹き荒れていて驚いた。勿論、寒いと言っても冬のように骨までしみこむような鋭い寒さではなく、春の嵐という言葉がぴったりくるようなものだったけれど。翌朝はまた穏やかな日になっていた。木綿のシャツ一枚にスカーフで良いくらいの気候。しかし寒がりの私だから一応薄手の革のジャケットを羽織って出かけることにした。足元は歩きやすいモカシンシューズ。これを素足で履けるようになったら初夏。そんなことを考えたら急に嬉しくなってきた。旧市街にはスニーカーで軽快に歩く人が沢山居た。そんな彼らに混じって私も何時もより軽快に散策した。Via De’ Chiari、此処を歩く人は少ないけれど私のお気に入りのひとつである。特別興味を誘うような店はなく、道の片側に長いポルティコが続いているだけなのだ。しかし色合いがよくて歩いていると気持ちが落ち着く。この通りを歩くのは大抵この辺りの住人で、カメラを持って歩く私を不思議に眺める。こんな何にもない道なのに? まるでそう言っているかのように。何もないから良いときもある。何か特別なものがありすぎて居心地悪いときもある。最近そんな風に思うようになった。
今日から夏時間が始まり、たったの1時間の違いなのに朝からぼんやりしている。そんな人は私だけでないに違いない。
追記。今日で1000回目の記事になりました。気まぐれで飽きっぽい私の割には良く続きました。それは楽しみにしてくれる人達が居たからで、改めて読者の皆さんに感謝です。これからも肩の力を抜きたくなったら、息抜きがてら遊びに来てください。