宝物

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昨日頑張り過ぎたのが祟って、今日の体調はぼろぼろ。天気のせいもあるかもしれない。雨は降っていないにしても低気圧が上空を覆っているらしく、朝から鼠色の雲が垂れ込めているから。こんな湿度の多い日は身体がぎしぎし言うものだ。若いお嬢さんなら兎も角、私くらいになると湿度が健康に影響するのだ。
昨日寝室のあれこれを新調したのは良いけれど、新しい枕やマットレスに身体が驚いたらしく、眠れなかった。相棒にそれを報告したら、え、本当かい? 僕はよく眠れたけれどなあと言うので、自分の繊細さが嫌になった。旅先のホテルで眠れなかったことなどないのに何故。巷に居る自分の枕でないと眠れないから、自分の枕を持って旅する人ほどの繊細さではないにしても、全く困ったことである。ああ、今日の体調がぼろぼろなのは、案外新しい枕とマットレスのせいなのかもしれないと思いが至り、図太い神経を手に入れるには、などとネットで調べているが、もしかしたら新しい寝具でもよく眠れる図太い神経を手に入れるにはと、検索内容を変えたほうが良いかもしれない。

メールを開けたら、迷惑メールが2通届いているのに気が付いた。あまりないことである。それでファイルを開けてみて、あっと思った。
昨年10月に私は友人にメールを送った。友人は日本で仕事をしていた頃の会社の先輩で、色んなことを共有できる人。姉と同じ年の彼女は私より5歳近く年上。そういえば私が職場で仲良くしていた人達は年上の人が多かった。彼女とアメリカに行った事がある。私がアメリカの海の街に夢中になったら、是非一緒に行きたいと言ったのが彼女だった。それは彼女の叔母さんが昔その辺りに暮らしていたから、関心を持ったに違いなかった。私がアメリカへと飛び出すことを決めた時に喜んでくれたのも彼女。アメリカに行く寸前に隅田川の花火を見に行こうと誘ってくれたのも彼女。アメリカへと発つ日に空港で見送ってくれたのも彼女だった。聡明な人でどれほど仲良くなっても深いところにずかずか入り込むことがない。それが私には丁度良く、だからよい距離感を持って長い間友人関係を続けている。
その彼女と音信が途絶えてしまったことが気になっていた。今時の若い人のようにチャットで連絡をするような関係でない私達だが、メールで時々やり取りしては互いが元気かどうか、愉しくやっているかどうかを確認していたのに。それで10月にメールを送ってみたのだが、返事がなくて心を痛めていた。まさか、病気ではないだろうか。それとも事故などに会って病院に居るとか。あれから3か月経って、見つけた、彼女からの2通のメール。迷惑メールに入っていたから2日間遅れで読んだ彼女からの便りで、彼女が元気であること、パソコンの問題でメールが届いていることにすら気づかなかったことなどが分かってほっとした。私達の世代にはパソコンの不具合があるとお手上げの人が多く居る。私もその部類に入るから、彼女の状況が分からなくもない。昔からアクティブな彼女には何時も脱帽していたけれど、近年好んでしているのは山歩きとのことだ。イタリアのドロミテを歩く夢を数年後に叶えたいらしい。幾度もそう言っては直前に駄目になってしまったこの夢が、今度こそ叶えばいいと思う。その時は私もドロミテ迄会いに行こう。それともミラノに数泊するならば、ミラノに会いに行くのも良い。そんなことを考えていたら愉しくなってきた。何時も会えないけれど長く細く続いている友人関係。私の宝物のひとつ。これからもずっと大切にしていく。

猫は寝室が新装されたことを好ましく思っていないようだ。朝から大変機嫌が悪く、私を避けて通る。どうしてなの、教えて頂戴と声を掛けるが、戻ってくるのは不満めいた荒い鼻息だけ。新しい寝具で眠れないし、可愛い猫には嫌われるし。散々な日曜日である。




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朝から忙しい土曜日

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今日は朝から忙しい土曜日。7時に起きて朝食を済ませるなり活動開始。相棒と一緒に寝室のあれこれを新しくすること2時間。疲れたなあと思いながら家を出た。

何故だかすることが詰まった一日になってしまった。それもあれも此れも14時までに終わらせることばかり。折角の土曜日なのだからもう少しのんびりしたかったけれど、此れを全てやっつけてしまえば、残りはしたいことだけすればいい週末。最近バスと相性が良くない。寒風の中、停留所でバスを待つのが辛い。そしてやっと来たバスは大抵混んでいて、混んだ場所が嫌いな私はバスに乗るをの諦めてしまう。だからまた停留所で次のバスを待つ。ところが今朝は違った。確かに随分待ったけど、やって来たバスは空いていた。途中で乗車券の検察をすべく、バス会社の人が3人乗り込んできた。面白いのは乗車券を持っていない男性が自首したことだ。まだ乗車券の提示を求められていないのに、すみません、僕は乗車券を持たずにバスに乗りました、と。
彼は土曜日の午前中によく一緒になる、歳の頃は40を超えたくらいの、首や顔、腕にも小さなタトゥを沢山いれて、髪を微妙に刈り上げた、一見怖そうな感じの男性。顔つきも怖い。何か悪いことをして一度くらい警察の世話になったに違いないとか、麻薬などに一度くらい溺れたに違いないとか、私はそんな風に想像していた。兎に角そんな風帽だから、誰もが彼と目を合わさないようにしていた。だけど私は知ったのだ、彼が優しくて親切なことを。12月だっただろうか、彼が座っていたら小さな老女がバスに乗り込んできた。小さくて細くて転んだらぽっきり折れてしまいそうな、可愛い笑顔の老女。その姿を見るなり彼がさっと立ち上がった。シニョーラ、此処に席が空いていますよ。その言葉を耳にして、周囲に居た誰もが驚いたようだった。若い人たちや元気な男性達は誰も席を譲ろうとしなかったのに、彼が立ち上がって席を空けた。老女は彼に大変感謝して、あなたは優しいのねえ、と言うと彼は酷く照れて、もうすぐ降りるからなんて言った。でも降りなかった。終点までずっと隅っこに立っていたのを私は知っている。あの日から彼への印象が変わったのは私ばかりではないだろう。それで、その彼が乗車券を持たずに乗車したことを自首したのである。これには検察員も驚いた。大抵の人は持っていないことを隠したり胡麻化したり、逆切れするのに。だから検察員は彼に好意的で、あっという間に手続きが終わり、彼に礼などを言ったものだから、見ていた人達の顔に笑みが浮かんだ。

ボローニャが勝った。サッカーのセリエAの話である。昨年好調だったボローニャだが、今年はどうかなあ、今ひとつなんじゃないかなあ、というのが私の印象だった。勿論そんなことは相棒の前で言ってはならぬ。ツマラナイ言い合いや喧嘩になること間違いなしだからだ。そのボローニャが今日は3-1でモンツァに勝って、相棒は大変機嫌が良い。勝利の後の監督のインタビュまでしっかりテレビで見届けて、足取り軽く外に出ていった。行き先は言わなかったけれど知っている。近所のバールに違いない。あそこで知人たちと勝利の喜びを分かち合うのだろう。老いた母親の世話とかなんとか、色んなことでしたいことを存分出来ない相棒だ。こんなことで開放感や喜びを味わえるなら安いものだ。存分愉しんでくるのだよ。そうして今夜は機嫌がいいところで美味しい夕食を作ってくれるといいなあなんて、妻は思っているのだ。




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気になる焼きそば

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金曜日は嬉しい。実際は金曜日の夕方から嬉しいのだが、今日は朝から嬉しかった。天気が良かったからかもしれない。窓の外が明るくて、差し込む日差しが眩しい日が嬉しくない筈がない。だけど気付いたのだ、今日が17日の金曜日であることに。17日の金曜日はイタリア特有の迷信で、不吉な日とされている。かなりの偏見や先入観によるこの17日の金曜日は気にしなければ気にならないが、一度気付いていしまうと、例えば誰かが、あ、今日は17日の金曜日じゃないか、なんて言っているのを耳にしてしまうと、何故か酷く気になるものだ。それで積極的に面白いこと愉しいことを探して笑うようにしたが、案外うまく行ったと思っている。

今日は頭の中が焼きそばで一杯だった。というのは数日前に以前知人から頂いたインスタントの焼きそばを食べたら大変美味しかったからである。焼きそばは30年近く食べていなかったから懐かしかった。そして予想を超えた美味しさで、一種の恋のようなものに陥った。数年に一度は日本に帰省するけれど、ああ、焼きそばを食べたい、と思うことはなく、正直言えば焼きそばの存在を忘れていたような感がある。それよりも蕎麦、寿司、そして蕎麦、それから蕎麦と私は日本蕎麦が大好きで、ざる蕎麦に天婦羅が添えられていたらそれだけで幸せ。そんなだから焼きそばが私の心に入り込む隙間などなかったのだ。久し振りの焼きそばの旨さにはっとして、夏の帰省時に是非とも焼きそばを! と思い調べてみたが、ありそうでないものである。昔の上司の好物が焼きそばだった。好物が焼そばなんて、つまらないことを言っているなあと当時の私は思ったものだけど、今の私は理解できる。焼きそばは好物と呼ぶ価値のある食べ物なのだ。現代は何でも豪華版にしたがるけれど、私は昔ながらの素朴な焼きそばを食べたい。家族が暮らす街にそんな店があればいいと思いながら、私の焼きそば屋さん探しは暫く続く。

8月中旬まであと7か月。7か月もあるのかとがっかりしながら、たったの7か月とも思える。昨年3月の帰省時に見た景色を思い出しながら、指折り数えて待つのだ。あと7か月。




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ワインのない夕食なんて

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木曜日を迎えて、今週も後半に入ったと嬉しく思う。長い休暇でたっぷり休息をとり、存分したいことをして愉しんだのは良いけれど、未だに調子が戻らない。早起きして朝食を済ませ片付けをして身支度をして家を出る。今迄普通にしていたことなのに、うまく行かない。そもそも起床から躓いている。目覚ましアラームが鳴って止めたところまで覚えているが、知らぬうちに再び眠りに落ちてしまう。はっと気づいて目を覚ますと30分ほど過ぎていて。だから家を出るまでが忙しくて仕方がない。今週はもう2度もそんな事があって、もしや私は疲れているの?なんて自問しているが、多分もっと簡単なことだ。眠いだけ。それにしても二度寝はどうしてこんなに気持ちが良いのだろう。と、そんなことを言っている場合ではなく、いつの間にかついたこの悪い癖を治さねばならぬと思っている。

最近私は寄り道ワインをしていない。寧ろその習慣を辞めようとすら考えている。それから週末のバールやカフェ。最近店の人の質が落ちているような気がして、折角美味しいワインやカッフェなのにがっかりすることが多いからだ。私の寄り道ワインや週末のカップチーノは、数多い愉しみのひとつだから淋しくない筈がない。まあ、良い店を発掘すればいいことかもしれないけれど、今のところそういう店が見つからない。代わりにワインは家で堪能している。今夜は先日相棒が自慢気に持ち帰ったフランスはプロヴァンス地方の赤ワインの栓を抜いた。美味しそうだとは思っていたが、期待以上の味わいに脱帽。へええ、こんなに美味しいなんてねえ、と目を丸くすると、相棒は嬉しそうだった。それにトリュフのペコリーノチーズと新鮮なパン。簡単なパスタと野菜の夕食だったけど、思いがけず美味しくて愉しい夕食になった。ワインのない夕食なんて。寄り道ワインをしない分家で愉しみたいと思う。肩の力を抜いて時間を気にすることもなく堪能できるなんて素敵じゃないか。日本に居た頃お酒類はまったく飲めなかった私が、何時かこんなことを言うようになるなんて、毎晩夕食時にワインをグラスに一杯頂くようになるなんて、誰か想像できただろう。兎に角今夜のワインが気に入ったので、また近いうちに手に入れて欲しいと頼んでおいた。ちょっと値が張るワインらしいけれど、こんなことくらいで妻が喜ぶならばいいじゃないかと言ったら、相棒はお腹を抱えて笑っていたけれど。

明日は金曜日。待望の金曜日だ。周囲で風邪が流行っているから気をつけようと思う。週末に寝込むなんてことがないように。折角の週末に、太陽を仰ぎながら街散策が出来なかったら残念過ぎるから。




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外国人

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今日は乾いた冷たい空気が肌に刺さるような、そんな寒さだった。でも、そういうのは嫌いではない。霧に煙ってじめじめしているよりずっと良いと思う。そんな中、遠くに雉の鳴き声を聞いた。この乾いた天気を、雉も喜んでいるのだろう。まあ、こんな乾燥だから喉が乾かないように水分を摂るのが大切だ。喉が乾いたらアウト、あっという間に喉が痛んでしまうから。それから保湿。肌の保湿にも気をつけたい。そうでなくても若い頃の肌とは違うのだから、せめて保湿をして乾燥を避けたいと思っている。

きつくなった衣類は思い切って廃棄した。捨てたというよりはリサイクルにだしたと言えばいいだろうか。兎に角クローゼットの中から撤退させたのは良いが、すっかり品薄になった。特にボトムス。ジーンズやパンツ。これは3キロは減らさないとと思うようなものは潔く手放したら、ほとんど残らなかった。それで少し買い足すことになった。この冬は夏の帰省の航空券という大きな出費があったので、サルディで買い物はしないと思っていたけれど、そんなことを言っている場合ではなくなった。寧ろ今購入しなかったら、何時購入するのだと思い、パンツやジーンズを手に入れた。どれもシンプルでベーシックな物。色も形も普通だけれど、素材と手触りと着心地だけは拘った。これでこの冬は安泰。毎朝パンツを選ぶことで困ることはない。
さて、私は小柄なので、必ず丈詰めが必要だ。購入時に丈詰めを頼むことも出来るけど、何しろ簡単な丈詰めなので敢えて頼まず、家の近所の店に持ち込んだ。うちから歩いて5分と掛からない場所に、サイズ直しの店があるのだ。2年くらいに開業した店。始めは客が入らず、店内に攣る下げられている仕上がった衣類の数があまりに少なかったけど、昨年くらいから客が増え、昨夏一度だけジーンズの丈直しにだしてみた。そうしたら代金があまりに安く、そして丁寧に仕上げられて、全く感心したものだった。簡単な丈詰めは此処でお願いするのがいい、と思うようになった。さて、パンツ類を買い足して、先日それらを店に持ち込んだ。此処はブロンドヘアのガタイの大きい女性が店主である。注文の多いイタリアのご婦人もうまくあしらう、素晴らしい会話力で、それに大変丁寧に説明してくれる。此れはしないほうがいい、寧ろこうしたほうがいいなんて言って、気難しい客の同意を得るのもお手の物だ。ところが先日パンツ類を持ち込んだところ、電話口で外国語を話しているではないか。これには驚いた。私はてっきりカラーブリア辺り出身のイタリア女性だと思っていたからだ。彼女は外国人だったのだ。今日の夕方、頼んでおいたものを引き取るべく店に立ち寄った。綺麗に仕上がっていて満足だった。代金を払いながら私は話し始めた。あなたのことをイタリア人と思っていたけれど、外国人なのね、先日話していた外国語は何処の言葉なのか大変興味があるのだけど。まあ、そんな感じのことを言ってみたところ、私はアルバニア人なんです、と彼女は言った。アルバニアはイタリアから海を渡って直ぐ其処に在る国。近いけれど、私の周囲にはアルバニア人はひとりもいなくて、正直言って初めてのことだった。それにしてもイタリア語がイタリア人同様だけどと称賛すると彼女は大変喜んで、こんなことを教えてくれた。彼女が若かった頃、アルバニアにはイタリアのラジオ放送があったそうだ。けれどもこれは秘密のことで、それが国にばれたら大変なことになったそう。兎に角彼女はイタリア国営ラジオが好きで毎日聞いていたら、そのうちイタリア語が分かるようになったのだという。こんな風にして当時の若者たちは、まだ見ぬ海の向こうのイタリアに思いを馳せていたのだそうだ。彼女がイタリアに暮らすようになって20年経ったらしい。こんなに言葉が達者になったのはふたりの子供という厳しい先生のおかげらしい。お母さん、そういう言い方は正しくないよ。お母さん、その発音はおかしいよ。そんな風にして何時も直されているうちに、イタリア人並みになったらしい。素晴らしいわと褒めたたえると、彼女はとても嬉しそうだった。外国人同士。私もイタリアに暮らして30年近く経つけれど、これからまだ何年居ても外国人であることには変わらない。だから此処で頑張っている外国人と知り合うと、嬉しくなり、助けたくなる。頑張る彼女の小さな店がこれからもっと繁盛すればいいと思いながら店を出た。

こんなに寒いのに、ジェラートが恋しい。そうだ、冬のジェラートは魅力的なのだ。じゃあ、明日の夕方に出も旧市街のあの小さい店に立ち寄ってみようか。食べ終えて店を後にするなり寒い寒いと言いながらポルティコの下を歩くこと間違いなしだけど。




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